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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第五章 砂漠と帝国の刺客編

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第164話 招かれざる客

 その日マインは地下の集落から外に出ていた。最近は兄のクリムゾンもそこまでうるさくなくなった。以前は皆の目を盗んで外に遊びに出ていたが、今はその必要はない。


 ただ、念の為護衛は三人つけられていた。族長であるクリムゾンの妹なのだからやはりそこは気を遣うところなのだろう。


「最近はマイン様もより活発になられたな」

「あぁ、まるで水を得た魚だな」

「やはり外が恋しい年頃なのだな」

「辺り一面砂なのにな」


 護衛の三人が苦笑いを浮かべる。最近はホルスが国造りに勤しんでおり、行き来も自由とされているので、オアシスでちょっとした自然も楽しめるようにはなってきているが、それでも土地の殆どが砂であることに変わりはない。


「今日はこのままホルスの町に行っちゃおうかな~」

「マイン様。つい先日もお邪魔したばかりですし」

「え~? いつでも来ていいよっていわれてるも~ん」

「それはそうですが……」

「テメェらか。砂漠の変わった種族ってのは」


 マインと護衛がそんな会話をしていると、突如聞き覚えのない声が耳に届いた。

 

 護衛たちの顔が引き締まる。マインも、え? という顔を見せていた。この辺りは砂漠で岩や丘もなく視界も広い。


 誰かが近づいてきていればすぐに気がつく筈だった。にも関わらず突然の来訪者がすぐそこまで近づいてきていた。


「えっと、人だよね?」

「あぁ、そうだ。ところで今、お前らホルスって名前を出してたな。お前らあの野郎を知ってるのか?」

「誰だお前たちは!」

「マイン様後ろへ!」

「それ以上近づくな! 先ず素性を明かせ!」


 槍を構えマインを囲むような陣形をとった後、護衛の三人が警戒心を強めた。ここ最近はホルスのこともあり、以前よりは人への理解が深まったが、それでも誰でも彼でも受け入れるわけではない。


 何よりこの連中からはどことなく邪悪な気配を感じた。


「素性ね。こう言えば納得するか? 俺はお前らの知っているホルスの兄シュデルだ」

「え? ホルスのお兄さん!」

 

 マインが弾んだ声を上げた。兄と聞き安心感も生まれたようである。


「何だ、お兄さんなら平気だね」

「マイン様! 油断してはいけません!」

「兄とは言え、雰囲気がまるで違う……」

「ほう? よくわかってるじゃねぇか。そうだ、俺はあんな愚弟とは違う。才能も将来性も顔も魔法も何もかもがな」


 シュデルがニヤリと人を不快にさせる笑みを浮かべる。その言葉にマインがムッとした。


「兄弟なのにそんなことを言ったら駄目だよ」

「ふん。あんな奴と兄弟を名乗るもの本来は御免こうむるってもんよ。だけど、まぁお前らは確かに珍しい」


 そしてシュデルが後ろで控えるワズイルを振り返り言った。


「お前の情報は本物だったな。良かったな俺のお前への評価が少し上がったぞ」

「ハッ! ありがとうございます」


 砂の上で跪くワズイルを見て湯悦に浸るシュデル。その挙動一つとっても彼はホルスとはまるで違った。


「さてと。俺様は優しいからお前らに選択させてやる」

「選択だと?」

「そうだ。このままおとなしく仲間も含めて俺様の奴隷になるか、見せしめに何人か殺された後に奴隷になるかだ」

「ふ、ふざけるな!」


 護衛の一人が怒声を上げ、同時に蠍の尾がシュデルに向けて伸びた。


「おせぇよ」

「なに? ぐ、ぐわあああぁああぁああ!」


 仕掛けた護衛が悲鳴を上げる。尻尾が途中からブツッと切れてしまっていた。シュデルのベルトから飛び出た剣が迫る尾を断ち切ったのである。


「全く酷い奴等だ。この俺様が平和的に話し合いで解決しようってのにいきなり攻撃してくるんだからなぁ。これはもう宣戦布告と見ていいよなぁお前ら?」

「はい。明らかに向こうから攻撃を仕掛けてきました」

「敵対行動なのは間違いない」

「帝国に喧嘩を売るとは命知らずな馬鹿どもだ」


 千鋭百鬼団の騎士達がシュデルの宣言を肯定した。これでシュデルがパピルサグ族を侵略する理由が出来たってことなのだろう。


 もっともシュデルからしてもこんなのは茶番でしか無いが。


「というわけだ。全くお前らは頭が悪いな。今の行動一つでお仲間は無事では済まなくなったぞ」

「ふざけるな! 仲間を傷つけたのはお前たちの方だろうが!」


 もう一人の護衛が近づき、槍の一撃を放った。鋭い突きだった。帝国兵でもそうそう躱せない速度と威力の乗った一突きだ。


「だから無駄だと言ってんだろうボケが!」

 しかし、シュデルの剣術は更にその上を行く。剣で捌き、半身を逸し避け、槍の連続攻撃が掠りもしない。


「どうしたこんなもの、お?」


 しかし、槍に気を取られていたシュデルの側面から蠍の尾が迫った。これがパピルサグ族の戦士の戦い方だった。槍の攻撃に毒の尾による攻撃も加わる。


「無駄だ」

「ぐうぅうぅぅうぅうぅううう!」


 しかし、苦悶の表情を見せたのはパピルサグ族の方だった。尾はベルトから飛び出た別の剣によって仲間と同じように切られてしまったからだ。


「はは、よえ~よえ~! なんだこいつら。蠍人間と言ってもこんなもんかよ。ハッ、所詮はゲテモノの醜い亜人ってことよなぁ雑魚ども」

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― 新着の感想 ―
[一言] 奴隷兵として酷使するのが目に浮かんで、まさに侵略者の所業...!
[良い点] 楽しみにしています。 [気になる点] 意図があって、悪というか敵が攻勢をかけている様を描いていらっしゃるとは、わかっているのですが、今ひとつ、ホルスの反撃ターンが薄くて、短いというか、なん…
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