第159話 シュデルの自信と砂漠の披露回
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「議員だ外務卿だと言っても、所詮は人任せな男だったということですよ。その点私には抜かりはありませんから」
帝国の第四皇子であるシュデルを前にそう息巻くのは、トヌーラ商会でかつて商会長だったヨクゴウの長男アングルである。
アングルは皇帝へ奴隷を献上するために帝国を訪れていた。シュデルに面会を願ったのはご機嫌取りと御用聞きのためでもある。
「全く。おかげで出陣が遅れただけだろうが。親父も下手な手を打って結局失敗してるんじゃ意味がねぇな」
シュデルが悪態をつくのを、敢えて聞き流すアングル。シュデルは普段の態度は皇子としてみればかなり悪い。
それでも父である皇帝やそれ相応の地位のある相手の前ではそれ相応の態度はとるが、本質的には粗暴で傲慢な男なのである。
「私がお会いしたときも相当不機嫌でしたが、奴隷を献上し多少は機嫌も良くなったようです」
アングルはこの機会に帝国との関係を深めようと躍起になっていた。それもロベリアがどうやら砂漠の王国に興味があるようだと勘づいたからだ。
つまり、今回の戦で帝国が勝利したならロベリアを追い落とす材料になるとアングルは考えている。
アングルはこれはチャンスとも考えていた。ロベリアが国とも言えないような連中にご執心の間に自分は帝国との親睦を深め、商会に有利になるよう働きかけていたと幹部にもアピール出来るからだ。上手く行けば一気に自分の側へ引き込みロベリアの退任請求も可能となる。
唯一の懸念は魔法火薬が入ってこない要因となったのがトヌーラ商会だったことだが、アプステアがそのことに触れることはなかったようだ。
ロベリアが倉庫を放火した犯人を突き止めていたことが効いた形であり、アングルとしてはそれが幸いした。もっともそれすらも計算の内なのだが――
「なにか入用があれば、奴隷でもなんでもすぐにでもご用意しますので」
「必要ねぇな」
アングルが仕事に繋がらないかと彼に告げるが、シュデルはその話を一蹴し、獰猛な笑みを浮かべて言葉を続ける。
「今回はワズイルが案内役を買ってくれている。砂漠については死にそうな目にあったアイツのほうが下手な奴隷や兵士より詳しくなったことだろうよ」
「ですが、相手には強力な仲間がいるとも聞きますが」
アングルは父親であったヨクゴウが死んだのも、砂漠の国に手を出したからではないかと考えている。
ヨクゴウと常に一緒にいたサディスはかなりの手練だったが、それも死体こそ戻らなかったが返り討ちにあったのは間違いないだろう。
つまりそれだけの相手が砂漠の陣営には控えているということだ。
「はっ、だからどうした」
アングルの話を鼻で笑い飛ばし、ツカツカと歩いていき、壁に備わった戸を開いた。そこには様々な剣が飾られていた。それ以外にもこの部屋には壁一面に数多の剣が掛けられている。
「俺は剣魔法の使い手だ。ここにある剣も全て俺の手にかかればその力を万全に発揮できる。ただの剣じゃねぇのさ。魔法の剣の数々がここにある。巨人殺し、魔獣殺し、竜殺し、何でもありだ」
「いやはや、流石は帝国が誇る皇子にして剣の申し子と呼ばれるだけありますね。これだけの剣はそうそう集められない」
アングルのおべっかは見え透いたものだったが、剣のコレクションを褒められることに悪い気はしなかったようだ。
シュデルは上機嫌で答える。
「これだけじゃねぇ。この戦争では親父に頼んで宝剣カラドボルグの持ち出しも許可された」
「な、なんとあのカラドボルグを!」
アングルが驚く。カラドボルグはアーティファクトの一つとされレアリティもかなり高い。雷鳴の剣と呼ばれ、その刃には常に雷が宿り、天に掲げれば戦場に稲妻が落ちるとされる。
「俺の剣魔法は、剣の力を更に引き出す。ただでさえつえーカラドボルグに俺の魔法が乗れば天下無敵よ。まぁ、ここまでする必要があるかは疑問だが一応はあの馬鹿の軍を退けたようだしな。特別にあの出来損ないにも俺の力を少しだけ見せてやるよ。ま、その時にはもう灰すら残らず消え去っているだろうがな。ギャハハハハハハハハハハッ!」
高笑いを決めるシュデル。その絶対の自信にアングルの期待も高まった。
◇◆◇
ロキが何やら披露したいって言い出した。何かと思っていってみると、なにか巨大な物に布が掛けられていた。あと地面にもなにかあるのかな? そこにも布が掛けられていた。
「おお坊主来たか!」
「ずっと思ってましたけど、お兄様は王様ですの。その言い方はちょっと」
ロキが僕を見て声を張り上げた。そんなロキにモルジアが抗議の声を上げる。
「悪いがドワーフはそういうのに頓着はねぇんだよ」
だけどロキは相手の立場とか気にしないようだね。そして僕もそれでいいと思っている。
「はは、僕も気にしてないし、なにかロキはその方がロキっぽいからこのままでいいよ」
「おう、坊主は乳袋はなくても懐は広いな」
うん。後はそういうところをもう少し抑えてもらえるとね。
「とにかくだ、これが俺が作成した新兵器の試作品だ!」
「オィッス!」
「キュ~イ」
「おお! なにかすげーな! 期待できるぜ!」
ライゴウの鼻息が荒い。こういうのが好きだよねライゴウは。
「ス~ナ~?」
「うん。なんだろうね?」
スーも今回はちょっとワクワクしているように見えるよ。
「ンゴ~」
「勿体付けるのも愛よね愛!」
さて、皆が何かな? と様々な思いで見ている中、いよいよロキが布に手をかけた。
「見ろ! これが俺の作成した新しい兵器だ!」
バサッと布が剥がされた。そこに出てきたのは、えっと、人? 巨人の上半身だけといった様相のなにかだった。その両肩には大砲が備わっている。
「な、何だこりゃすげぇえええぇえええ!」
ライゴウが目をキラキラさせた。その姿にアローネが呆れている。
「でもそれ、足がねぇぞ~!」
塔の上からサーチが突っ込んだ。うん、確かに足がない。
「ふん。いいか? 足なんて飾りなんだよ!」
「えぇええぇえええ!?」
驚いた。まさか足が飾りだなんて!
「というのは冗談で、本来はここに車輪つけてこういう感じのベルトを巻きつけて完成なんだがな。まぁそのあたりは後で考えるとしてだ。これが俺が考えた最強の戦車だ!」
「これが、戦車……」
正直驚いたよ。それにしても本当ゴツいよね。金属を使ってるんだろうけど全体的に迫力がある。
「ちなみにこの形に落ち着いたのは坊主の魔法をヒントにしたからだ。本当はもっと違った形だったが坊主の魔法のおかげで俺の大砲魂に火がついたのさ!」
そ、そうなんだ。上半身みたいな本体に目が行くけど、ロキとしては大砲部分の方が重要らしいね。
「ところでその下のは?」
「おお、そうだった。それはこれだ!」
そしてロキは下の布も捲ってみせたけど、そこには筒の先端が円錐みたいになった金属製の何かがあった。
「これは?」
「おうよ。これこそが俺が名付けた戦車用の最強装備! おっぱい砲弾だ!」
お、おっぱい砲弾?
短編を公開しました。
『施工費高すぎ!と追放された宮廷建築士、未開の島に渡りドワーフの王に気に入られ建築革命を引き起こす~え?国の建物が一斉崩壊したから戻ってこいと今更言われてももう遅い勝手に国ごと倒壊してください~』
というタイトルです。
URL
https://ncode.syosetu.com/n3153go/
宮廷建築士が理不尽な理由で追い出されるも追い出したばかりに王国は崩壊していき主人公は建築士としてドワーフの国で成り上がるという内容です。少しでも興味が湧いたなら是非!この下のリンクからでも作品ページへ飛べます!
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