第135話 アリババとロベリア
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議会が終わった後、アリババはルガールや使用人と元老院を出たが、そこでロベリアを見つけ、近づいて声を掛けた。
「にゃ~さっきは助かったにゃ~」
「あら? ふふ、アリババ商会長からお声が掛かるなんて光栄ね」
ロベリアがニコリと微笑み掛けてきた。すぐ横には秘書の若い男の姿もあるが彼はどこか戸惑っている様子だ。
その秘書のことはアリババも知っていた。ヨクゴウの時代から秘書だった男だ。もっともヨクゴウの秘書はすぐに変わるので、そこまで詳しく知っているわけではなかったが。
ただ、彼は当然ヨクゴウがアリババを嫌っていたことを知っていただろうから、その娘であるロベリアが議会で彼を擁護するような発言をしたことにも、アリババから話しかけられ快く反応したことにも驚いているのかもしれない。
「にゃ~挨拶が遅れてもうしわけなかったにゃ~遅ればせながらトヌーラ商会の商会長への就任おめでとうにゃ~」
「ありがとうございます。素直に受け取らせて頂くわね」
この会話に周囲の注目が集まった。アリババ商会とトヌーラ商会はかつては犬猿もとい犬猫の仲とされるほど関係は最悪だった、というのが周囲の認識であった。
実際それは間違ってはいない。もっともこれまでは一方的にトヌーラ商会がちょっかいを掛けてきたり喧嘩を売るような発言をしてきたりというのが多く、アリババ商会側から仕掛けるようなことはなかったのだが。
とは言え、ここにきてトヌーラ商会が歩み寄りの姿勢を見せたのか? とそういう意味では注目度が高いのである。
「それにしても僕としても意外だったにゃ~」
「金のことかしら? なら別に貴方のためにやったわけではないわ。今の状態はうちとしても迷惑なのよ。砂漠で金が大量に採れるというなら活用しない手はないでしょう?」
「全くもってその通りにゃ~それについては意見がぴったりあったにゃ~」
「ふふ、そうね」
そう言いつつ、ロベリアは煙草を一本取り出しライターで火を点け吸った。相手によっては失礼にとられかねない行為だが、彼女が吸うと妙に様になる。
「うちで扱っているライターにゃ~ご愛用ありがとうにゃ~」
「……しかし、驚きだな。まさかトヌーラ商会の商会長がうちのライターを使ってみせるとは」
ルガールが言う。彼女が使ったのはアリババ商会製の魔法のライターだ。以前のヨクゴウであれば考えられないことだ。ヨクゴウはアリババ商会の商品など決して使うことなくそれでいて性能への批判ばかり繰り返していた。
「私、いいと思った物なら例えライバル店の物でも使うの。それに魔導具に関して言えばアリババ商会は本当にいいものを揃えているもの。前の会長は愚かよね。意地を張って使わないから最初は仕事場も不便でしかたなかったわ。今は色々揃えさせてもらったから環境も大分良くなったもの」
「うちの品を評価してもらってありがとうにゃ~」
「ふふ、私達は確かに周りからはライバル扱いね。実際それは間違ってはいないかもだけど、でもお互い理解はしあえると思うの。そう思わない?」
「にゃ~それが大変有意義なお話にゃ~勿論いがみ合ってばかりいるよりは、互いを尊重し合うほうがより良い結果につながると思うにゃ~」
「えぇ。だからそれが互いの理に叶うなら時には譲り合う事も必要よね」
探るような目でロベリアが言った。言外に何かを求めているような空気が滲んでいる。
「例えばヨクゴウは自分の欲ばかり優先させて大事な取引先になりかねない相手の不興を買ってしまった。結果的に貴方のほうが先に接触を図ってしまった」
「それはバラムドーラのことにゃ~?」
「ふふ……」
ロベリアははっきりとは答えず意味深に口元を緩ませた。
「先程の話でトヌーラ商会もバラムドーラに行ったことがわかったにゃ~話は出来たかにゃ~?」
「結構意地が悪いのね。今の話でわかるでしょう? 残念ながら取り引きは断られたわ。奴隷を扱っているのが気に入らなかったみたいね」
ロベリアが肩をすくめる。
「奴隷かにゃ~確かにホルス王なら忌避感がありそうにゃ~」
「そうみたいね。でも、奴隷が駄目なら建築関係で協力できると思ったのだけどね」
「……そういえば最近職人が来てまたトヌーラ商会の仕事をすると謝りに来たにゃ~」
思い出したようにアリババが言う。ホルスに家屋などのことで助言し、その折に職人を含め相談を受けたが、砂漠から戻ってからしばらくして職人が謝罪しに来たのだ。
「お気にめしませんでしたか?」
「……もともとうちは建築は門外漢にゃ~ただトヌーラ商会が安値でこき使うようになったということで手助けしていただけにゃ~けれど言っていたにゃ~商会長が変わって条件が良くなったとにゃ~それならばそれにこしたことはないにゃ~」
「ですが随分と急に待遇を変えたのだな」
ルガールが怪訝そうに問う。警戒心は解いていないようだ。
「寧ろ前のやり方がおかしかったのよ。私は能力が高い相手にはそれに見合った報酬を支払う主義なの。勿論出来ない奴には施すつもりもないしすぐに切るけどね」
「にゃ~とても合理的だと思うにゃ~ただ、随分と方針が変わったようだにゃ~」
「当然ね。私は前の商会長の否定から始めているもの」
「否定?」
「そうよ。折角トップが新しくなったのに今までと同じことをやっていたら意味がないと思わない? だから私は体質そのものを変えている。悪しき前例も既得権益も全て破壊して一からやり直すつもりでやっているわ」
「にゃ~大した心意気だにゃ~でも、あまりに急な変化は不平も買うものだにゃ~僕が言うこともないと思うけどにゃ~さっきの議会での件も含めて敵を増やす可能性も高いと思うにゃ~」
「あら? それなら余計な口出しはしないほうが良かったかしら?」
「それは助かったにゃ~素直の気持ちにゃ~だからこそ敢えて注意を呼びかけたにゃ~」
「そう。それなら心に留めておくわ」
「……それと、借りを作りっぱなしは性にあわないにゃ~だから近い内に返すとするにゃ~」
「ふふ、厚意はありがたく受け取るとしましょう。楽しみに待ってるわね」
そして二人は別れた。その後、アリババは再びバラムドーラへ向けてエルドラを出発することとなる――
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