第131話 北の国にて
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死の砂漠にてホルスがバラムドーラ王国を建国しどんどんと発展を遂げていた。
さて、その王国が興された死の砂漠。この砂漠は広大であり大陸の中心に大きく広がっている。そしてそこから東西南北には主要となる国々が存在している。
その内、大陸の北側に位置する国をニルヘイム女王国と言う。代々女王が国のトップとして君臨しており、この地は極寒の地としても知られていた。
一年を通して寒さが続き国全体も雪と氷で覆われている。
砂に覆われたバラムドーラ王国とは対極にあると言っても良いだろう。同時にこの地での暮らしもまた厳しいものである。
しかし、それでも人はこの地に国を興し雪と氷に包まれた国で独自の発展を遂げていった。
だが、ここニルヘイム女王国においても動乱の火種がくすぶり始めていた。その最中――
「おい、そっちの材料持ってきてくれ」
「オイッス!」
雪で出来た雪洞の中で一人のドワーフが鎚を振っていた。その周囲では七人の小人達が忙しなく動き回っている。
高炉の前には赤い皮膚をした蜥蜴が、高炉の炎の様子を探りながら時折口から火を吐き中の炎を調整していた。
炎はガンガン燃えているが雪洞は全く溶ける様子は見せていない。煙突からは外に向けて煙が吐き出され続けていた。
そしてしばらくしてドワーフの手の動きが止まる。汗を拭い、ストップだ、と一言声を掛けた。
ドワーフは作業場を見回す。壁際には布で覆われた何かがあり、これがあるおかげか手狭にも感じられた。
小人と蜥蜴の動きが止まりドワーフが移動するとぞろぞろとついていく。雪洞は工房として使われており隣接部分に住居があった。もっともこの住居にしても雪洞だ。
出入りする扉は氷で出来ている。この地ではこれが普通だ。樹木すら氷で出来ているのだから建築用素材も限られる。
ただ鉄だけはこんな地でも存在した。いや、むしろこの地ならではと特殊な金属も存在し、彼がこの地に留まり作業してきたのもそれがあったからだろう。
そう、彼らはドワーフの中でも変わり者とされる北のドワーフである。そしてここが彼の作業場。
極寒の地でも特に険しいとされるアストラン山脈にて、たった一人で暮らし鍛冶に明け暮れていた。
「さてと――」
ドワーフは地下に設けられた氷室から氷を持ってきて砕き、氷のジョッキの上に乗せた。
「頼むぞファー」
「キュ~イ」
赤い蜥蜴が高い声で鳴き、そして氷に向けて火を浴びせた。解けた氷が液体となり下の氷のジョッキに溜まる。
するとドワーフは溜まったソレをグビグビと呑み干した。
「プハァ! やっぱ仕事終わりのバッカス酒は最高だぜ!」
それは酒の神バッカスの名がついた酒だった。かつてこの地にバッカスが残した酒が凍りついたものとされている。
神が愛した酒だけに解凍しても水っぽさはまるでなくアルコールにしても高いままだ。ドワーフは平気で呑んでいるが並の人間ならひと舐めしただけでぶっ倒れることだろう。
百パーセントのアルコールの更に十倍は強い酒だ。言うならばアルコール度数千パーセントと言ったところだろう。神が残したとされるだけあって常識外の酒である。
こうして一人晩酌を楽しむドワーフであったが――突如氷の扉が勢いよく開かれ、氷の鎧を纏った騎士たちがなだれ込んできた。
「遂に見つけたぞロキ! 観念しろ!」
「……全く。こっちは気持ちよく酒を呑んでるってのに勝手にやってきて何のつもりだ?」
「黙れ。雪の女王直々の罪状だ。許可もなく勝手に武器を密造した罪で貴様を連行する!」
「……密造ね。ならその女王様は申請すれば許可を出すのかい?」
「は、馬鹿が。貴様らドワーフみたいな野蛮な亜人にそんな許可が下りるわけ無いだろう」
「どっちにしろ貴様らに自由なんてないんだよ」
「そういうことだ。北のドワーフなどと前の女王が甘く見たせいで調子づきおって。だがこれでお前らも終わりだ」
「やれやれ、新しい女王様は随分と他種族が嫌いなようだな。だが、こっちにもやることがある。友人から頼まれた品も出来てねぇからな」
騎士たちが武器を構えジリジリと近づいてくるが、ロキと呼ばれたドワーフは慌てる様子もなかった。
「友人、まさか噂のオークのことか?」
「ふん。あんな野蛮な化け物が友人とは恐れ入った」
「やはり所詮は亜人だ。付き合う連中も薄汚い連中ばかりだ」
「いいことを教えてやろう。そのオークにも手配書が回っている。どのみちすぐに捕まって処刑だ」
ロキがギロリと騎士たちを睨みつけた。だが、すぐに、カカッ、と笑い。
「あいつがお前らごときにやられる玉かよ」
「黙れ、どちらにしろお前は終わりだ。この状況で逃げられはしないさ」
「それはどうかな? ファー!」
「キュ~イ!」
するとロキの肩に乗っていた赤い蜥蜴が騎士に向けて火を吐いた。
「チッ、噂通りのサラマンダーか!」
「怯むな! この鎧はこの程度でビクともしない!」
確かに騎士の纏っている氷の鎧が溶ける様子はなかった。
だが、火が収まった時、既にそこにロキの姿はなかった。
「しまった! 奥に逃げたぞ!」
「ふん。馬鹿が奥に行っては自分から逃げ道を塞いだようなものだ」
騎士たちがぞろぞろと隣の雪洞に移動する。ロキとその肩にファー。それに七人の小人の姿がそこにあった。
「往生際の悪い奴だ。こんなところに逃げ込んだところでもう何も出来まい」
「それはどうかな?」
ニッ、とロキが不敵に笑い、壁際のあったソレの布を剥ぎ取った。
「な、大砲だと!」
騎士から驚きの声が上がる。そう、布で覆われていたのは見事な出来の大砲だった。
大砲を見た騎士たちが数歩後ずさる。
「それを我らに撃つつもりか!」
「馬鹿な、こんなところでそんなものをぶっ放したら貴様だってただではすまんぞ!」
「カカッ、お前らに向かって撃つ? い~や違うね――」
そう言うが早いかなんとファーを乗せたロキと七人の小人が一斉に大砲の中に飛び込んでいく。
「「「「「「はっ?」」」」」」
その姿に騎士たちは唖然となり一様に怪訝そうな声を上げた。
「ロキ、貴様! 何のつもりだ!」
「見ての通りさ。これは砲弾を撃つためのもんじゃねぇ。俺たちを新天地に導く、人間大砲だ! いやこの場合ドワーフ大砲か? とにかく、やれフィー!」
「キュ~イ!」
そしてフィーが大砲の奥に向けて火を放つ。すると中に込められていた魔法の火薬が点火し爆発!
その勢いに乗ってドワーフ達が飛び出した。雪洞の屋根を突き破り空高く打ち上がる。
その姿を騎士たちが呆然と見送った。このような逃げ方をされては彼らも手の出しようがない。
「どう、致しましょうか?」
「そのまま報告するしかあるまい。しかし、馬鹿な奴らだ。この方向では例えこの国から脱出出来ても向かう先はあの死の砂漠だ。極寒の地で過ごしたドワーフが生き残れるわけがないさ――」
こうして騎士たちは雪の女王が統治する雪の王都へと戻っていくのだった――
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