第121話 砂漠の戦力
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「馬鹿な、何故こんなことが起きる――」
目の前で起きていることをワズイルは信じられない物を見るような目で見ていた。
騎士が一人進言してきたように、砂漠に来るまでと、初手で手痛い反撃を受けたことでワズイル率いる騎士と兵は合計で千二百まで減っていた。それに奴隷兵が二十名加えた数が今の彼の戦力だった。
しかし、それであっても相手の兵力は何とか百に届くかといったもの。しかもその殆どはただの巨大な蟻である。
あの魔法は脅威だがそうそう撃てるものではなく、相手の準備が調うまでに攻め込めば陥落させることなど容易い、それがワズイルの想定したシナリオだった。
だが、甘かった。その想定は既に目の前で完全に覆っている。ワズイルの予想の内、相手があれだけの魔法を使ってこないという点だけは当たっていた。もっともこれはホルス側が敢えてしなかっただけなのだが、ワズイルはそれを思ったとおりだと考えほくそ笑んだ。
だが問題はそこからだった。先ず将軍が舐めていた蟻、アイアンアントの兵は思った以上に強かった。
彼は知らなかった。アインが人化しホルスを王と定め家臣を名乗るようになってからというもの、蟻達にも自ら指導し、槍の使い方から仲間との連携に至るまで徹底的に教えこんでいたことを。
これによりアイアンアントの兵たちは下手な国の兵士よりは遥かに手強い存在となっていた。一部のアイアンアントなどは単純な強化系の魔闘技を使いこなせるまでになっている。
だがそれよりもワズイルを驚かせたのはそれ以外の戦士の戦闘力であった。
国として間もなく騎士や兵といった区別こそはっきりされていないが、それでも彼らは強かった。
こんな戦闘の場に子どもまで出てきたものだから、ワズイルはまともな戦力も確保できなかったのかと嘲笑いもしたが、それから一〇分もすれば顔色が如実に変化していた。
例えば子どもたちの中にはベアードという熊の獣人がおり、そのままでもかなりのマッソーな筋肉の持ち主でもあるが、ライゴウとの訓練により獣人族に伝えられてきた種族特有の魔闘技【獣化闘争】を自然と使えるようになっていた。
これは魔力によって肉体を活性化させ先祖の記憶を呼び戻し、その姿に合った獣に変化するというものであり、完全な熊の姿になったベアードはその腕の一振りだけで同時に何人もの兵を戦闘不能に追い込んでしまった。
更に驚くべきは魔獣に乗った可愛らしい少女がいたことだ。ワズイルの趣味にどんぴしゃであり、お持ち帰りしたいと思ってしまったほどだが見た目ほど彼女は、正確にはプリティの操るオルトロスは甘くはなかった。
そもそもからすれば、なぜBランク魔獣のオルトロスがこんなところにいるのか! とワズイルは思わず突っ込んでしまった程だが、戦場を駆け回るオルトロスの爪と牙はあっさりと兵士たちを狩り、一部の兵士の戦意を喪失させてしまった。
その上で相手側の後方支援も強力無比だった。
例えばアンという赤毛の少女は子どもたちの中でも最も幼く、ワズイルは生け捕りにしてお持ち帰りしお人形さんにして愛で続けたいと思った程だが、そんな変態的な感情が吹っ飛ぶほどの魔法を見せつけた。
これに関して言えばホルス達がダンジョン攻略した際に手に入れた戦利品の中にあった杖の効果も大きかったが、しかしそれを考慮してもアンの魔法のセンスは高く、炎の弾幕を張り前を行こうとする兵たちの動きを阻害した。
「弾幕負けてるぞ! 何してるの!」
「だ、駄目です! 押されてしまいます!」
張り合った魔法兵の声が耳に届き、ワズイルはぎりぎりと奥歯を噛み締めた。さらにそこに矢の雨が降り注ぐ。アローネと彼女から弓を教わっていたグレテルの放った矢だった。
アローネはともかく、猫の獣人でもあるグレテルにしてもワズイルの好みであり、生け捕りにして愛玩動物として精々かわいがってやろうなどと思ったこともあったが、最早そんなふしだらなことを考えている余裕もない。
そして当然だが手強いのは子どもたちばかりではなかった。寧ろそれよりも遥かに強力なのはアイン、ライゴウ、アローネ、スイム率いる水の竜団などであった。
さらに言えば全く攻撃は仕掛けてこないまでも見上げるほどの巨体を誇る半巨人のジャックも防御面で厄介だった。
右翼をジャックが担当したことで片側の翼は抑え込まれたも同然となったからだ。
その上で更に脅威となったのは――王であるホルスの砂魔法である。
「砂魔法・砂人形!」
ホルスの砂魔法により戦線に砂のゴーレムがどんどんと生み出され投入されていった。更に砂鉄を利用したゴーレムまで生まれる始末で、兵力の優位すら徐々に削がれていくことになった。
「何してる! あの馬鹿を押さえ込めば勝利であるぞ!」
ワズイルの命令で動線が開いたと見た騎士や兵士がホルスに切り込んでいく。だが、それは明らかな誘いだった。
「砂魔法・砂巨烈鉄拳!」
砂鉄によって生まれた巨大な拳が近づいてきた騎士も兵士も纏めてふっ飛ばしてしまった。
だが、本来ならこのような見え透いた手に引っかかるようなことはないだろう。
だがあまりに想定外の出来事が続きワズイルにしても冷静な判断が取れなくなっていた。
こうしてワズイル率いる兵力はあっというまに削がれていくことになったのだった――
更新間に合った!
ここまでお読み頂きありがとうございます!そういえばまだ評価してなかったな~そろそろ評価してもいいかな~と少しでも思って頂けたならこのしたの★で評価して施して頂けると凄く嬉しく倍返しの気持ちで執筆を頑張ろうという気持ちになれると思います!
ブックマークがまだだったな~という方がいましたらこの機会に是非!
それではここまでお読み頂きありがとうございます!明日も更新を頑張って恩返しできればと思います!




