第119話 砂漠の開戦?
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「まさか、ワズイルがこんなところまでやってくるなんて思わなかったですの――」
僕が砂眼で見た内容をみんなに伝えると、モルジアが両肩を抱くようにして声を震わせた。
何か様子がおかしいと思った。だからワズイルと何かあったのか聞いてみたのだけど。
「ごめんなさいお兄様……もっと早く言っておくべきでしたの。実は私、あのワズイルと無理やり結婚させられそうになって、それで――」
モルジアが帝国で起きたことを伝えてきた。ひとつ上の兄だったシュデルの提案でモルジアがあのワズイルと一緒にさせられそうになったらしい。
それもあってモルジアは帝国から逃げてきたんだね。
「ごめんなさいお兄様……結局私のせいでこんなことになってしまいましたの……」
「何を謝る必要があるの? 悪いのはモルジアの気持ちも考えず無理やり結婚させようとした向こうだよ。安心して絶対にモルジアは渡さないし兄として大事な妹のことは僕が絶対に守るから」
「お、お兄様――」
モルジアが僕を見つめてきて瞳を潤ませた。よっぽど心配だったんだね……
「王様大変だ! 向こうから兵士がこっちに突撃してきているぜ!」
すると塔に戻って監視してくれていたサーチから緊迫した声が飛んできた。
どうやらかなりの数らしくしかも牛のような魔力を纏って突撃してきたようだ。
「それってもしかして陣形魔闘術か? だとしたら厄介だぜ。騎士が主に扱う強力な攻撃だ」
ライゴウが真剣な顔で教えてくれた。騎士に伝わる陣形術か……話には聞いていたけど、まともに受けたら危険かもしれない。
だけどそんな僕の不安を他所にフィーが前に出て宣言してくれた。
「ふむ、ま、問題なかろう。王よ。ここは妾が見せつけてやろうぞ。鼠ごときが獅子にいくら噛み付いたところで手痛い反撃を受けるだけとのう――」
◇◆◇
上空からホーが戻ってきた。小高い砂丘には帝国軍の騎士や兵士が陣を張り待っていた。
「おお、戻ったかホー」
「あぁ」
斧を肩に担いだモーがホーを出迎えた。空を飛べる鳥人のホーは索敵には最適であった。
「それで、どうだったのか?」
将軍のワズイルが成果を問う。するとホーが頷き、見てきた情報を伝えた。
「ふむ、オアシスが出来ていて城まであるのか。それに見張り用の塔があると。それで戦力はどうだった?」
「それについては全く問題がないだろう。戦える人材は決して多くない。変わり種で蟻の化け物が多くいたが、それを合わせても戦力は百に届くかといったところだ」
「は? 百だと? ふん。何だそんなものか。まぁ所詮は追放された塵が興した国だ。そんなものだろう。しかし城とオアシスがあるとはな。妻を取り戻し塵共を片付けた後は帝国で精々有効活用してやるか」
ニヤリとワズイルが口角を吊り上げる。するとモーが鼻息を荒くさせ奴隷たちに発破をかけた。
「野郎ども! 残ったテメェらはここで活躍できれば帝国側が兵として雇ってくれるそうだ。この機会を逃すんじゃねぇぞ!」
「「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」」
モーも随分と張り切っているようだった。敵の戦力が大したことないようだが、だからこそ自分たちの部隊が光る可能性がある。
「ふむ、モーお前らは遊撃隊だ。好きに動いてみろ」
「はは、そうこなくちゃな! ぶっ殺しまくってやるぜ!」
モーは張り切っているが好きに動いていい遊撃隊ということはつまるところ、いつでも切り捨てられる存在ということでもある。
「さて、なら早速動き出すとするか」
「へへ、総攻撃ですかい?」
「馬鹿言うな。確かに相手はどうみても雑魚でしかなく、勝負など一瞬で付くだろうが、だからこそ簡単に終わらせては勿体ない。先ずは五百で出ろ。五十名ずつで十の部隊にわかれ猛牛の突撃で突っ込むのだ。蟻ごとき虫けら蹴散らしてしまえ」
「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」
そしてワズイルの命令通り五百の兵が準備を終えた。陣形魔闘術は騎士が指揮官となることで発動が可能である。
「さぁ行け! 一気に蹴散らしてしまえ!」
「「「「「「「「「「うぉおぉおぉぉおぉおおぉおぉおおおおおお!」」」」」」」」」」
ワズイルの号令を受け、砂煙を上げ十の部隊が砂の王国目掛けて突撃を開始した。
陣形魔闘術の効果で牛の如き魔力を纏い砂煙を撒き散らしながら一気に加速。更に次第に勢いも増していった。ちょっとした城壁程度ならこの突撃で軽々とぶち破れてしまう。
ワズイルの考えでは、この先制攻撃でほぼ勝負は決まる予定だった。勿論多少は相手の兵力も残るだろうが、所詮は百程度の戦力だ。
その後は奴隷兵どもを動かして適当に残った連中を殺し、使えそうな奴らは捕まえさせておけばいい。
勿論妻のモルジアのことを忘れてはならない。
愛する妻を救出するのは夫たる自分の仕事だろう。
追放された愚かな皇子の首を取り、目の前にその頭を掲げ、勝利を宣言することで自分の偉大さを魅せつける事ができる。
そうすればきっとモルジアは自分の虜になることだろうと、ワズイルは本気でそのようなことを考えていた。
――ドォオオオォオォオオォォオオォオオオン!
その時だった。派手な轟音と突風がワズイルの控えていた砂丘にまで届き、兵の何人かが吹き飛ばされていった。ワズイルは何とか堪える。届く風は熱風だった。そして正面には巨大な火柱が発生し後にはきのこ雲が空を覆った。
一体何が起きたのかワズイルにはすぐに理解が出来なかった。
「な、何だ今の爆発は! 何が起きた!」
「ホー!」
「あ。あぁ!」
モーに言われ、ホーが砂の大地から飛び上がる。翼をはためかせ上空から爆発の起きた地点を見下ろした。
爆発の生じた地点では砂が焦げてしまっており一部はマグマのようにドロドロに変化してしまっていた。ワズイルが向かわせた五百の兵もこの状況では絶望的だろう。
だが、何故突然にこのような爆発が生じたのかまではホーにも全く理解が出来なかった。
ただ一つだけ言えば、砂漠の国にて一人の女が腕組みし、空から俯瞰するホーのことを居丈高に見上げていたことだろう。
とにかく、これでワズイルの思惑は完全に外れた。初手からいきなり五百もの兵が失われた。
圧倒的優位を魅せつけるはずが、逆に相手の底しれぬ実力を見せつけられてしまった形だ。
仕方がない。ホーはとにかく陣地に戻り見たままを伝えた――
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