第110話 砂漠でトヌーラ商会と話をする
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「わ~綺麗なお姉ちゃんなの!」
「うふふ、ありがとうね」
砂漠側から一応は王国となっている敷地内にロベリアを招き入れることになった。
近づいてきたマインはロベリアに興味津々といった様子だね。ただ他の子達やジャックとラビアに関しては別だった。
どうやらロベリアがトヌーラ商会の後継者だってことがもう皆に知れ渡ったみたいだね。皆トヌーラ商会に良い感情は持っていない。奴隷として扱われていたから当然だ。
だからあまりみんなの目があるところでは話は避けた方がいいだろうね。城に来てもらって部屋の一つに案内する。
フィー、モルジア、イシスは同席することになった。アインやライゴウとアローネは待機してもらっている護衛の側にいる。念の為に見張っていた方がよいであろう、とはフィーの判断だ。
ライゴウは凄く同席したがっていたけどアローネに咎められていたんだよね。
「お兄様、油断してはいけませんの」
「うん。わかってる」
相手は一応謝罪を口にしてくれたけど、それでもトヌーラ商会だからね。
「特にあの胸とか、むむむ、絶対に油断してはいけませんですの!」
「へ?」
胸? 胸の内ということだろうか? 確かに内面までは中々読めないからね。
席についてもらい、お茶はイシスが淹れてくれた。アリババ商会の魔導具のおかげでこういった作業は随分と楽になっている。
「宜しければどうぞ」
「あらあら、ありがとうね」
「頂きます」
机を挟んだ正面ではロベリアと執事の姿があった。僕もお礼を言ってお互い先ず喉を潤す。そしてカップを静かにおいた後、ロベリアが口を開いた。
「早速ではありますが、謝罪を受け止めて頂き、こうしてお話する機会まで与えて頂きありがとうございます」
「いえ」
「ス~ナ~」
「うふふ、肩のその子、可愛らしいわね」
スーに目を向けながら微笑みを浮かべてくれた。
「確かに王はお主を招き入れたが、だからといってあまり調子には乗らぬことだぞ。王とて全面的にお主を信頼したわけではないのだからのう」
すると先ずフィーが釘を刺すように彼女に言葉をぶつけた。中々手厳しい。
「そうですの。幾ら美人だからってお兄様を誘惑しようとしても無駄ですの!」
「モルジアってばもう……」
なんだろう? モルジアはロベリアの容姿を気にしているのかな?
「モルジアは十分可愛いよ。ロベリアさんは美人だけど、それぞれに違う良さがあると思うし」
「はう! お、お兄様……」
モルジアの目がうるうるしだしたよ。そこまでロベリアとの違いを気にしていたのかな?
「ふふ、私の容姿を褒めて頂きありがとうございます」
「え? あ、いや……」
何かロベリアからは笑顔を振りまかれてしまった。確かに綺麗なんだけど、それが逆に怖くもあるよね。
「それにしても驚きました。このお城は砂で出来ているのですね。これは魔法で?」
「はい」
「うふふ、なるほど。想像以上ですわ。それにしてもその若さで一国一城の主とは素晴らしい」
「ふん。いい加減猫を被るのはよすがよい。見ていて痛々しい。用件があるならはよ言うが良いであろう。王もそのような茶番に付き合う程暇ではないのでのう」
僕を随分と持ち上げようとして来たロベリアに、フィーは白々しいと言わんばかりに強い言葉を突きつけた。
すると、フフッとロベリアが微笑を浮かべ表情が変わった。真剣な眼差しをフィーに向けた後、僕を見つめてくる。
「随分とせっかちですね。ですがそうですね、ではこちらも本題を、ただ、今言ったことには本音も含んでますのでそこはご理解頂きたいですわ」
スッと目を細めロベリアが語った。でも、含んでいるというのが何とも意味深だよ。
「さて、この度ここまで足を運ばせて頂いたのは、謝罪の意味も勿論ございますが、商売の話をさせて頂ければと思いましたの」
「商売、ですか?」
「左様です。我らトヌーラ商会はエルドラ屈指の大商会と自負しております」
はっきり言うね……でも彼女の場合うぬぼれではなく確かな自信をもって口にしている気がする。
全体的に前に見た元商会長と雰囲気がことなるんだ。
「我ら商会であれば今後この国が発展する上でお手伝いできることもあると思いますわ。前会長がおこなった問題でそちらも蟠りがのこっているかとは思いますが、私が会長になったからにはあのような愚かな行為は今後二度と致しません。必要なら証文を取り交わすことも考えております。ですのでどうかご一考頂けませんか?」
凛とした姿勢ではきはきと用件を告げてきた。全く淀みが感じられないし、トヌーラ程の忌避感も覚えない。ただ、だからといってはいそうですかと言葉通りに捉えるのもね……
「そのお気持ちはありがたいのですが、既に僕はアリババ商会との間で話を進めております。ご期待には添えられないと思いますが」
「アリババ商会とのことはこちらも存じております。それを踏まえた上で私どももパートナーに加えて頂きたいというのが今回の願いです」
「それはアリババ商会ではなくそちらを選べということですの?」
不信感を顕にしたモルジアの声がロベリアにぶつけられた。だけど、軽く受け流すように彼女が微笑む。
「そうではありません。そもそもこういった取り引きはどちらか一方だけを選べという話ではありません。アリババ商会とのお付き合いがあっても当方は気にしませんしその上で私達とも取り引きさせて頂ければというお話です」
「ふん。しかし、それにこちらのメリットが何かあるのかのう?」
フィーが問う。チラッと見てみたけど、やっぱり警戒心が強そうだ。
「アリババ商会も大変大きな商会です。その影響力は強く、また例えば魔導具の品揃えと質に関して言えばうちでは太刀打ちできないことでしょう」
「そこは認めるんだね……」
イシスが呟く。驚きの感じる声だった。
「勿論アリババ商会とはライバル関係にありますが、良いところは素直にこちらも認めますよ」
「ロベリア商会長は、以前の商会長と違い、アリババ商会の魔導具も気に入れば購入しつかっております。その度量の大きさもご理解頂ければと思います」
秘書が付け加えるように語る。この様子だとあのヨクゴウという元の会長とは違うということか。雰囲気でそんな気はしていたけどね。
「今も言いましたが我々はアリババ商会の優れた点も認めております。ですが同時にアリババ商会にはなくて私どもが持ち合わせる強みなどもございます」
「ほう。それは一体どんなのだというのかのう?」
「はい。例えば奴隷売買に関して言えば我らトヌーラ商会の強みとも言えますでしょう。必要であれば購入も致しますし、販売も行いますよ。如何ですか?」
「――え?」
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