第104話 砂漠のパピルサグ族
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「カーマイン! うおおおおお! 私の最愛の妹よぉおおぉおお! 一体どこに行ったのだーーーーーー!」
砂漠の地下に掘られた空間。そこがパピルザク族の暮らす集落となっていた。パピルサグ族は多くの時間を地下で過ごし必要な時以外は表に出てこない。
それが砂漠において彼らが多種族に見つからずにいる要因でもあった。
そんなパピルサグの一人、屈強な体を持った青年が髪をかきむしりながら叫び声を上げていた。
「落ち着いてくだされクリムゾン様」
「これが落ち着いていられるかレッド! 私の愛しい妹が消えてしまったのだぞ!」
レッドと呼んだ年重の男に宥められるも、クリムゾンは頭を抱え声を張り上げた。目に入れても痛くないほどの大切な妹がいなくなってしまったのだからそれもやむなしといったところだろう。
「だいたいなぜだ……なぜマインは消えてしまったのだ? は、まさか私がこの間ちょっと注意してしまったからか? いやしかしあれは、あれは違うんだ! 兄を嫌いにならないでおくれ妹よーーーーー!」
両手を口元に持っていきどこかへ向けて叫ぶクリムゾンに、レッドは嘆息をついた。
「だから落ち着いてくださいと……今やクリムゾン様は我らの長なのですから。ですがその話は関係あるかも知れません」
「やっぱりそうなのか!」
「はい。外に出るのは駄目と随分とキツく言われたでしょう? ですがあの年頃の子というのは頭ごなしに言われてしまうとつい反発してしまうものです」
その言葉にガーン! とハンマーで後頭部を殴られたような衝撃を受けるクリムゾンである。
「ただ、マイン様についてですが、既にうちのものが何人か地上に出て探しに向かってます。匂いが見つかれば場所は特定出来ることでしょう」
パピルサグは種族間でしからわからない微細な香りを常に漂わせている。この残り香を辿れば自然と居場所が突き止められるわけだ。
「ならば急ぐのだ! え~い何をボヤボヤしている!」
「だから落ち着けと」
「パピルサグ族長ーーーーーー!」
その時、若いパピルサグの男が慌てた様子でやってきた。クリムゾンは、むっ、と男を睨むようにして声を上げる。
「何だ一体。この忙しいときに騒々しい!」
「えっと、妹のマイン様の居場所がわかりましたので、忙しかったらあとの方が良かったですか?」
「それは最重要事項だろうがーーーー! ふざけるな!」
「は、はいすみません!」
くわっ! と目を見開きクリムゾンが叫ぶと若い男はあたふたしながら謝った。
「それで! どこだ! どこにいるのだ!」
「そ、それが落ち着いて聞いてほしいのですが……砂漠に城が出来ているのです。恐らくその中に……」
「は?」
◇◆◇
「む、むぅ、本当に城が建っている……」
知らせに来た彼に案内させ、クリムゾンは砂漠に出来たという城を確かめるために小高い砂丘の上に立っていた。そこから見えるは確かに知らせにあったような城とそして湖である。
「それに、あれは湖でしょうかな? すっかりオアシス化してるようでもありますな」
砂漠に建てられた城やオアシスにパピルサグ族は驚きを隠せなかった。ほぼ地上に出ることがない彼らからしてみたら砂漠に突如現れたこれは青天の霹靂とも言える衝撃的な事実だった。
「あそこに一体何があるというのだ?」
「わかりませんが、観察していた者によると大きな蟻が出入りしていたということです」
「蟻だと! 馬鹿な、蟻にこんな真似が出来るというのか!」
「ふむ、蟻の中には高い知能を持つ物も時折現れると聞きますが……」
年嵩のレッドが言うように、確かにハニーアントの女王やアイアンアントの王は知能が高かったと言えるだろう。
「いや、待て! あれは、人じゃないか?」
クリムゾンが目を凝らしてオアシスに戻ってきたそれをみた。大剣や弓を所持しており、外見は彼らの知る人間と一致していた。
「確かにあれは人間のようですな。そうか! 読めましたぞ。あの蟻は人間がここできっと支配しているのでしょう」
「蟻を支配だと? くっ、やはり噂通り人間は多種族を蹂躙し、支配し、どんどんと侵略の手を広めていくのか!」
「そうかも知れませんな。しかし恐ろしい。よもやいつの間にこんな城まで建ててしまうとは」
拳をプルプル震わせるクリムゾンをちらりと見つつ、レッドもまた畏怖の感情を表情に滲ませた。
「レッド! あの中にマインはいるのだな!」
「残り香から間違いないと言えるでしょう」
「一体、奴ら人間は妹をどうするつもりなのか……ま、まさか喰うのか!」
「落ち着いて下さいクリムゾン様」
汗を滲ませ心配そうに声を大にするクリムゾンを年嵩のレッドが宥めた。
「確かに相手は野蛮で欲深い人間です。このままというわけにもいきませんがすぐに食べたりはしないでしょう。ただ奴隷化して言うことを利かせる可能性はありますが」
「奴隷だと! ふざけるな! こうなったら今すぐこの俺が乗り込んで!」
クリムゾンが槍の石突で砂をドンッと打ち気勢を上げた。今にも飛び出していきそうだがレッドが息巻くクリムゾンを制した。
「相手は人間。個々の力は大したことないとも聞きますが、集団でやってくるととんでもない力を発揮します。我々もそれ相応の準備が必要でしょう」
「しかし、こうしている間にも妹が何をされているか!」
「急いては事を仕損じるですぞ。今ここには最低限の人数しか来ておりません。マイン様を救出するためにはそれ相応の戦力が必要となるでしょう。相手の規模はわかりませんが、城を作ったにしても、ここは死の砂漠。そこまでの兵を用意できるとは思えません。今ならまだ我らが総力を結集させれば打ち勝ち、救出できるかもしれません」
「かもではない! 意地でも助け出すのだ! あぁ、こうしている間にもマインがどんな酷い目に合わされているか……きっと食べ物もろくに与えられず辛い目にあっているに決まっている!」
「わかりました。ではすぐに戻り戦力を集めましょう。そして長を筆頭に我らパピルサグ族の力を人間に見せつけてやりましょうぞ!」
こうしてパピルサグ族は一旦引き返し、人間との決戦の準備に入るのだった――
マ「パクパク、このお菓子美味しい!」
モ「はぁ~可愛いですの!もっとたくさん食べていいですの!」
ホ「すっかりモルジアもメロメロだね~」
ク「マイーン!マイーン!きっと今頃ひもじい思いをーーーー!」
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