第103話 砂漠のパピルサグの少女
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砂漠で魔物に襲われていた少女を連れてきたはいいけど、目を覚ましてすぐに悲鳴を挙げられてしまった。
「ひぃ、た、食べられる……」
「食べないよ!」
少女が凄く怯えている。シーツを跳ね除け後退りするようにして腰から伸びた蠍の尾をギュッとつかんでプルプルと震えていた。
あの尻尾を掴むと落ち着くのかな? いや、そんなことに注目している場合じゃないね。
「お兄様は優しいお兄様ですの。心配ご無用ですのよ?」
モルジアが近づいて声をかけようとする。だけど、少女は、ひっ、と声を上げてベッドの上で立ち上がった。
「あ――」
その拍子にバランスを崩して後ろに転倒してしまう。危ない!
「砂魔法・砂布団!」
彼女が落ちた位置の砂をフカフカにして受け止めた。痛みは無いはずだけど、怪我していたら大変だ。
「大丈夫? 怪我はない?」
「え? え?」
「イシス、見たところ大丈夫そうだけど、念の為見てもらっていい?」
「う、うん!」
イシスが少女に駆け寄って怪我がないか確認してくれた。ベッドから落ちた彼女はキョトンっとしている。するとラクが近づいてきて、心配そうに顔を近づけていた。
「ラクダ、可愛い……」
「ラクって言うの。撫でてあげたら喜ぶよ」
「え? い、いいの?」
「うん。勿論だよ」
イシスが天使のように微笑んだ。イシスの笑顔はどこか安心感があるんだよね。
そして最初は恐る恐るとラクの頭に手をやり、ラクがぺろっと舐めると、キャハッ、と笑顔を見せた。
良かった。さっきまで随分と怖がっていたけど、イシスとラクのおかげで落ち着いたみたいだ。ラクのこともしきりに撫でているよ。
「あ、あの、さっきはごめんなさい」
そして僕たちにペコリと頭を下げてきたね。
「大丈夫だよ。いきなり知らないところに連れてこられていたら、それは驚くよね」
「ふむ。パピルサグはただでさえ警戒心の強い一族であるからのう」
フィーが顎を擦り少女をまじまじと見ていた。
「私、人間を見るのは初めてだったの……でもお兄ちゃんや皆から話には聞いてて……」
「どんな風に聞いてましたの?」
モルジアが興味深そうに聞く。すると、えっと、と尾をプラプラさせながら少し考えてから答える。
「人間は強欲だから、私達みたいなのを見たら食べたり売られたりするって……」
「とんでもなく極悪そうなイメージですの」
『ケケッ、まぁ間違ってもいないだろう』
「いやいや、食べるってのは流石に!」
カセの言葉にイシスが反応した。確かに食べるのは……ただ、売るという部分に関しては否定しきれないのが悲しい。
「えっと、今どこかから声が聞こえたよ?」
「それはきっとこのカセですの」
『枷が喋っちゃおかしいかい嬢ちゃん?』
「な、なにこれなにこれ! えええぇえ! どうしてどうして!?」
少女は驚いてはいるけど、さっきまでの怖がり方じゃなくてどっちかというと好奇心が強くなってる気がするね。
さて、どうしようかな。個人的にはそんな警戒心の強い種族がどうしてあんな砂漠に一人でいたのか気になるところだけど。
「そういえば君の名は? 聞いても大丈夫?」
「う、うん! お兄ちゃんたち人間だけど、凄く優しそうだし……私はね、カーマインっていうの!」
少女が名前を教えてくれた。カーマインか。改めて見ると紫味を帯びた赤髪が綺麗な少女だ。見た目で言えば僕たちで言えば十歳前後ぐらいかな?
「カーマインか。いい名前だね」
「本当に? えへへぇ~」
尻尾を手繰り寄せ弄くりながら照れ笑いを浮かべる。なんとも愛らしい仕草だね。
その様子にイシスやモルジアがメロメロだ。
「か、可愛い……」
「妹に欲しいぐらいですの」
「ならば小娘妹号とでも呼ぶかのう」
『いや、それはおかしいだろう……』
カセが割と冷静にフィーに突っ込んでいるよ。
さて、名前もわかったし、後はこれからどうしようかだけど……う~ん、そもそもどうしてカーマインはあんなところにいたんだろうね?
「カーマインちゃん」
「マイン!」
「え?」
「えっとね。仲良くなったらね、皆マインって呼ぶの」
「そうなんだ。じゃあマイン」
「うん! あ、お兄ちゃん、その色々見てみても、いい?」
自分の尾っぽを撫でながら、媚びるような目で頼まれたら、こ、断れるわけない!
「勿論いいよ!」
「やった! 私ね。皆以外の人とは初めてなの!」
皆以外……フィーの言っていたパピルサグ族のことだろうね。
話を聞く限り他の種族とは関わることなく、静かに暮らしていたんだろうな。
でも、マインがいなくなったら心配しているかもしれないね……
「両親とか心配しているよね……」
「ふむ。その件だが、パピルサグ族は特殊な残り香を発している種族であってのう。恐らくこのままマインを置いておくと仲間が追いかけてくる可能性が高いと思われるのだがのう」
「あ、そうなんだ。それなら暫く預かっていた方がいいかもしれないよね」
「……ふむ。まぁ、大丈夫かのう――」
「うん! じゃあマインちゃん案内するね」
「やったぁ~お兄ちゃん大好き!」
そう言ってマインが僕の胸に飛び込んできた。はは、参ったなぁ。さっきまで警戒心が凄かったけど、一度心開くとむしろ人懐っこいのかも知れないよ。
「む、むむ! こ、これは意外と油断ならないですの!」
「やはり小娘妹号であるのう」
「それ、基準は一体何?」
「ンゴォ~♪」
何かにぎやかになってきたけど、とにかく折角だからマインを案内してあげようかな――
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