第10話 砂漠の友
寄生型の魔物からアイアンアントの王を救い、それが結果的にハニーアントの女王を救うことにもなった。それにアイアンアントの王が水不足で困っていたからオアシスの水を分けて上げたのだけど、すると王と女王が僕の配下に加えて欲しいなんていい出してしまった。
まいったよね。大体僕は別に国を作っているわけでもないからな~確かに城は出来たしオアシスも生まれたけどね。
「ごめんなさい。申し出はすごくありがたいのだけど‥…」
流石に僕には勿体ない話だからここは断らせて貰ったよ。
「やはり、そうでしたか。我のような寄生型魔物に乗っ取られるような頼りない蟻では王のお目に叶うわけもない」
「私も、思えば王に頼ってばかりで何も出来ませんでしたし」
え、ええええぇええ! 王と女王がしゅんっとしてそんな弱気な発言をしだしたよ!
「ち、違う違うそうじゃないよ! むしろ二人とも僕の配下なんてもったいなさすぎだもの!」
「何と勿体ないお言葉! 恐れ多すぎますぞ王よ!」
「全くです。寧ろ私達など王の御心に比べれば些末なる存在でしかありません」
えぇ、いや、流石にそれは自己評価低すぎると思うんだよね。
「どちらにしてもその王と言うのも……確かに城を作ったけどここは別に国というわけじゃないんだし」
「何と勿体ない! これだけの城とオアシスをお持ちなのに国としないのは……人ならばすぐに周囲を自らの領土に変えてしまいそうですが」
あ、蟻から見た人のイメージってそんな感じなんだね。
「う~ん、どちらにしても僕としてはそこまで国としての形態に拘ってないし、配下というのもね。ただ、もしよかったら友達として仲良くしてくれたら嬉しいかな」
「ともだち、ですか?」
「うん。折角こうして知り合えたんだし、僕もまだイシスとラクしかこの辺りでは知り合いもいないからね」
「流石ホルスです! 私もそれでいいと思います」
「ンゴ! ンゴ!」
イシスとラクもこれには賛成のようだね。やっぱり友達は多い方がいいもの。
「友、ですか――なるほど。それであれば我は友として王をお守りし一生尽くすことを誓いましょう!」
「右に同じです! 王の友として生涯王のために尽くします!」
え、えぇええ……それもまた、なにか違うような……
「そうだ! この際だから王、我々と同盟を組んでは貰えぬか?」
同盟……国と国がよく結ぶあれか。僕は国を持ってるわけじゃないけど、すごく期待に満ちた目をしているし、それに配下よりは対等な感じがしていいかもね。
「わかった同盟を結ぼう!」
「おお! では我々はこれで王の下に付くことができたのですな!」
「はいアイアンアントの王よ。私達で一緒にホルス王とこの国を盛り上げましょう!」
あ、あれ? 何か想定と違うような? き、気の所為かな?
とにかくこれで僕たちは同盟を結ぶことになった。
「それでは僕は今日この時を持って、あ、そういえば王と女王には名前はないの?」
ふと気になって聞いてみた。このままアイアンアントの王とかハニーアントの女王というのも味気ない気がしたし。
「名前ですか……人には名前を決める文化があるとは聞いておりましたが私には特にそのようなものはありませんね」
「我にもないな……だがこれは丁度良いではないか。ホルス王よ。どうか我の名前を決めては貰えぬか?」
え? 僕が名前を?
「それであれば、私にも是非名前を授けて欲しいです! お願いします王よ!」
「えぇ! 僕が二人の名前を? というか、その王と言うのはちょっと。僕、王ではないし」
「なんと気に入られませんでしたか? は、そうか人の世では王を陛下と!」
「違う違う! そうじゃなくて普通にホルスでいいってば!」
「流石にそれではあまりに不敬では……」
「気にしないよ~」
「なんと慈悲深い!」
いや、本当そんなのじゃないんだけどなぁ。
「では、ホルス殿とお呼びしても?」
「ま、まぁ王よりは……」
「承知いたしましたホルス殿!」
どうやら王と女王はとりあえずそれで納得してくれたようだ。さて、名前に関してはどうしても僕につけて欲しいらしい。
う~ん、でも確かに名前はあったほうが便利だよね。呼びやすいし。
「本当にいいの?」
「はい!」
「是非に!」
それなら、そうだな。こういうのはあまり得意ではないんだけど。
「女王は……メルでどうかな?」
「す、素晴らしい名前です! 王より賜りしこの御名前、生涯大事にさせて頂きます」
な、なにか大げさなような。そしてアイアンアントの王もすごくワクワクしているような雰囲気を感じる。
そして王の名前は実はわりとピンっと思いついたんだよね。
「王は――アインでどうかな?」
「アイン……我の心にすっと落ちてくる、いい御名前です。メル同様、一生大切にし王に尽くします!」
いや、だから王はやめて欲しいのだけど……そう思った直後、突如メルとアインの体が光りだした。
え? どうなってるの? かと思えば徐々に光が収まっていき、て、えぇえええぇえ!
「こ、これってもしかして進化した?」
「ンゴ! ンゴォオオオオ!」
イシスも目をパチクリさせて驚いていた。ラクもびっくり仰天といった様子だ。
うん、でもそれぐらいの変化だ。だってメルもアインも見た目にはほぼ人間と変わらなくなってしまってるもの。頭の触角に名残があるぐらいかなぁ?
「で、でもどうして急に人化を?」
「こ、これは凄い!」
「驚きました。まさかこのような見た目に変わってしまうとは」
「ご、ごめんなさい!」
僕は思わず謝ってしまう。理由はよくわからないけど、なんとなく僕の名付けのせいな気がした。
「何を謝られる必要がありますか王よ!」
「そうですよ。それにこの姿になってから何か力が溢れてきているような気がするのです」
「おお! メルもか。実は我もなのだ。むぅ槍があればこの生まれ変わった実力を披露できるというのに!」
何かアインやメルがやる気を出している。とりあえず人化したことは気にしてないどころか光栄に思っているんだとか。
それならよかったけどね。でも、まさか名前をつけたら人化するとはおもわなかったよね……
進化人化?人化進化?
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