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「次は私がルリちゃんの事を絶対に守るから!」

「うん! それまでの時間は私が稼ぐから!」


【ルリがスキルを使用した。オメガヒール】


 自分のHPを回復させて、ルリちゃんが走り出す。

 魔物もそれを追って攻撃を開始した。

 私がやるべき事は、無効貫通を発動させる方法を考える事!

 考えろ! 考えろ考えろ考えろ!

 どうすれば無効貫通を発動できる? 自分に都合の良い発想でもいいから考えろ!

 答えは簡単。五つ目のアビリティを発動させればいいんだ。じゃあ、どうすればあと一つ発動してくれる?


「きゃううううっ!!」


 ルリちゃんの悲鳴が聞こえた。見ると、魔物の攻撃を喰らってボロボロになっていた。

 それでも諦めずに、立ち上がっては走り出す。

 ルリちゃんのためにも、何か見つけないと……

 今までだって色んなゲームをやったんだから! そう、RPGで条件を満たすようなゲームだって沢山……

 そして、私はハッとした。


 ――特技、スキル、アビリティ、称号、発動条件、仲間、パーティー設定、攻撃、RPG……


【フェニックスが特技を使用した。サウザンドウィング】


 私が考え込んでいると、空中に無数の光が漂い始める。


「あ!? ルリちゃん、私の後ろに隠れて!」

「ダメ! 沙南は私が守る! 私が死んで沙南だけになっても、最後まで諦めないで!」


 命を張ってくれるのは嬉しいけど、そういう事じゃない……


「違うの! 一つだけ試したい方法が浮かんだの! でもそれにはルリちゃんの力が必要なの! だから死んじゃ困るの!!」


 私はアホみたいに喚き散らす。

 するとルリちゃんは分かってくれたように私の所へ走ってきた。


「何か思いついたの?」

「うん。けどこれってただの悪あがきだから、全然効果無いかもしれないんだ。それでも付き合ってくれる?」

「何もしないよりはマシ。沙南の言う事ならなんでもする!」


 それじゃあまずは、この攻撃を凌がないと……


「沙南……私を庇うとそのぶん負担が……」

「大丈夫だよ。次は私がルリちゃんの事を絶対に守るから!」


 そう言って、真っすぐに魔物を見据える。

 ついに、空中に浮かんだ無数の光が一斉に降り注いできた。

 私は後ろにルリちゃんがいる事を考慮して、その範囲に飛んでくる攻撃を全て手甲で受ける!


【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】

【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】

【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】

【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】

【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】

【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】

【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】


 やった。全て防ぎ切ったよ!


「沙南すごい……それで私は何をすればいい?」

「うん。まずは私に『エンチャント』をかけて」

「わかった!」


【ルリがスキルを使用した。エンチャント】


「そしたらね、私がカウントダウンを始めるから、『0』って言ったタイミングでボスに攻撃を当ててほしいの。通常攻撃でいいよ」

「……? まぁ、沙南がそうしろって言うならするけど」


 そして魔物は次の攻撃へと移っていく。


【フェニックスは大技を使用した。フレイムダイブ】


「じゃあ行くよ! 『3』」


 私はあらかじめルリちゃんからもらってある魔法薬を使い、MPを回復させる。


【沙南がスキルを使用した。力溜め】

【沙南がスキルを使用した。ベルセルク】


「……え? ちょっと沙南、もしかしてそのタイミングって……」


 魔物が炎の塊となり、翼を広げて私達を捉える。


「『2』」


「ギュオオオオオオオオオン!!」


 魔物が私達に向かって動き始めた。


「『1』」


【沙南が特技を使用した。咆哮牙】


 私は拳を構えて魔物を迎える。そして、その拳を振るうのと同時に大声で叫ぶ!


「『ゼロオオオ!!』」


 私の掌打が炎の塊に直撃する。


【沙南のアビリティが発動。相殺】


 再び火花が散り、私の拳はボスが纏った炎を打ち砕く。

 そしてボスの額に、私の打撃とルリちゃんの突きが同時に直撃した!


【沙南のアビリティが発動。コンボコネクト+5コンボ】

【沙南のアビリティが発動。カウンター】

【沙南のアビリティが発動。HPMaxチャージ】

【沙南のアビリティが発動。バードキラー】


 あと……一つ……

 奇跡よ……起こって!!


【沙南は新たな称号を手に入れた。盟友の絆】

【沙南は新たなアビリティを習得した。デュアルアタック】


 きた! これが認められれば……


【沙南のアビリティが発動。デュアルアタック】


 これで五つ目! ついに揃った!!


【沙南のアビリティが発動。無効貫通】


「やああああああああああ!!」

「はああああああああああ!!」


 二人で渾身の力で押し返す。

 まるで、ビクとも動かない大岩を二人で押し返すように、かけ声を上げながら弾き返す!!


【フェニックスに139万9910のダメージ】


「グ、グギャアアアアアアアアアアアァァァ」


 ダメージが通らなかった時はノックバックで多少吹き飛ぶ程度だった。しかし今回は大きく弾き飛ばし、魔物は壁に激突してズルズルと崩れていく。

 私達が息を呑んで油断なく見守っていると、魔物は光の粒子となって静かに消えていった。


【フェニックスを倒した】


 そんなログが表示されてもなお、私は信じられなくて、ただ呆然と立ち尽くす。

 ルリちゃんも同じなようで、しばらくの間二人で光となった魔物の粒子を眺めていた。


「た……」


 段々と気が抜けてきて、私の口から自然と言葉が漏れる。


「倒せたぁ~……」


 そしてそのまま二人で背中を合わせたまま、その場にへたり込む。

 すぐには立てそうにもなくて、私はそのまま説明覧を開いた。


 盟友の絆:心から信頼する仲間と息の合った同時攻撃を行った。さらにアビリティ、デュアルアタックを習得する。

デュアルアタック:仲間と同時攻撃を行うと攻撃力2倍。


 恐らくガチャチケットが入っているであろう宝箱さえ放置した状態で、私はルリちゃんと一緒に説明覧を見て笑い合っていた。


 現在の沙南のステータス。

LV :40

HP :4020

MP :255

ATK:2840(3692)

DEF:285

INT:59

RES:206

AGI:402

DEX:304

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