表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/147

「それじゃあボスに挑みに行くよっ!」

「よぉし! それじゃあボスに挑みに行くよっ!」

「お~……」


 いつも通り、声の小さいルリちゃんの激励を合図に、私達はボスのフロアへと足を運んだ。

 ドクロマークが描かれている扉を開けて中へ入ると、そこも足元にはモヤがかかっていて雲の上にいるような場所だった。


 ——バサッバサッバサッ!


 そして翼を羽ばたかせる音の方を見ると、空中には巨大な鳥さんがこっちを睨んでいた。


【フェニックスが現れた】


 赤を中心に、カラフルな色どりの羽が特徴的な鳥さんが私達の頭上を旋回している。その大きさはクジラさんくらい大きい。

 え~っと、まずは倒せないはずだけど、倒すために鳥さんを攻撃して羽を回収するんだっけ。

 なんだかもうよくわかんないけど、とりあえず一発全力で攻撃しなきゃダメなんだよね。

 ……だけど……


「空飛んでて攻撃できないね」

「……うん……」


 とりあえず降りてくるまで待つしかないみたい。

 ボスの行動パターンを探りつつ、臨機応変に対応していくしかなさそうだよ。


「クエエエエエエッ!」


 鳥さんが急降下を始め、その大きくて鋭い鉤爪かぎづめで私に襲い掛かってきた。


「ルリちゃん、下がってて」


 私はルリちゃんを下がらせて、迫り来る鉤爪を押し返すように腕を出す。

 ——ギイイィィン!!


【沙南のアビリティが発動。ブロッキング】


 甲高い音と稲妻が走るエフェクトが発生して、鳥さんの動きが硬直した。


 よぉし! 本気で行くよぉ!!


【沙南がスキルを使用した。力溜め】

【沙南がスキルを使用した。ベルセルク】

 ベルセルク:消費30。しばらくの間ATKとAGIが1.5倍。


 鳥さんが仰け反っている間に、私は跳びはねて両手を構える。

 この特技もレベルが上がった時に覚えた新技だよっ!


【沙南が特技を使用した。咆哮連牙ほうこうれんが

 咆哮連牙:消費80。両手を使った咆哮牙の連続攻撃。攻撃力3倍を二連撃で繰り出せる。


 私は鳥さんの胸元に連撃を叩きこんだ!


【沙南のアビリティが発動。先手必勝】

【沙南のアビリティが発動。カウンター】

【沙南のアビリティが発動。HPMaxチャージ】

【沙南のアビリティが発動。バードキラー】


 やった! もしも鳥さんのアビリティが防御力アップとか、そういう感じの効果だとしたら、これで決まったかもしれない。このダメージは少し自信あるんだから!

 しかし――


【フェニックスのアビリティが発動。大ダメージ無効】


 ……え?


【フェニックスに0のダメージ】


 ええええええええ!?

 ダメージが入らないってこういう事!? 


「クエエエエエエエエ!」


 鳥さんはよろめきながらも、再び空中へ飛び去って行く。

 けれど私の一撃がヒットしたその真下には、いくつかの羽が落ちていた。


「沙南、あの落ちた羽、調合の材料!」

「うん!」


 私は急いでその羽を拾いに行く。


【沙南はフェニックスの羽を手に入れた】


 あとは、これと調合の液体を合わせて……

 そうしてアイテム覧を開こうとした時だった。


【フェニックスが特技を使用した。サウザンドウィング】


 空中に無数の光が漂い始める。それらは次々と数を増し、一斉に降り注いできた。


「……っ!? マジックシールド!」


【ルリがスキルを使用した。マジックシールド】

 マジックシールド:消費40。体の表面にバリアを張り、攻撃を自動的に防いでくれる。合計で2000のダメージを超えると消滅する。


 ルリちゃんが防御を固めながら、的を絞らせないように動き出す。

 私は……自分の身を守ることに専念しよう!


【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】

【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】

【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】

【沙南のアビリティが発動。ジャストガード】


 なんとか全ての攻撃を防ぎきった。


「ルリちゃん大丈夫!?」

「な、なんとか……」


 膝を付き、剣を地面に突き刺して自分の体を支えている。

 かなりダメージを喰らったみたいで心配だよ……


「私は大丈夫だから、早く調合を――」


【フェニックスが大技を使用した。フレイムダイブ】


 私はログに浮かぶ文字に目を疑った。

 え!? 大技!?

 見る見るうちに鳥さんの姿が変わっていく。それはまるで炎の塊だ。自身が炎となって、灼熱の羽を広げ、私達に狙いを定めていた。

 これもブロッキングで……いや、確かブロッキングとジャストガードは大技には発動しないって書いてあった。だとしたら……これを乗り切る方法はただ一つ。


「ルリちゃん! 私に『エンチャント』をかけて!」

「わ、わかった!」


【ルリがスキルを使用した。エンチャント】


 私の体が魔法の膜で包まれていく。

 あれ、魔法攻撃だよね? 物理じゃないよね? とにかくこれで向かい打つしかない!!

 大丈夫、私のスキルの効果はまだ残ってる。今はこれで……凌ぐ!!

 そして火の鳥となった鳥さん……いや、ボスは一気に私に突撃をかけてきた。真っすぐに、落ちるようなスピードで私に向かって来る。まるで溶岩を頭から被りそうな迫力に、私の額から汗が零れた。


【沙南が特技を使用した。咆哮牙】


 怖がっている余裕も無く、私は渾身の一撃を炎の塊に叩きこんだ!


【沙南のアビリティが発動。相殺】


 力と力がぶつかり合い、バチバチと火花が飛び散るエフェクトが発生する。

 すると、ボスを包んでいた炎が弾け飛び、そのまま私の攻撃で吹き飛んだ!

 ノックバックで後退するボスが、再び上空に移動する。


【フェニックスに0のダメージ】


 やっぱりダメージは与えられなかったけど、大技を押し返した! これで――


【フェニックスが大技を使用した。フレアブラスター】


 ちょ、待って! 連続で!?

 ボスが空中から、巨大で真っ赤なエネルギー体を出現させる。それは脈打ち、今にも弾けそうだ。

 これって……遠距離魔法攻撃!?

 だとしたら、ブロッキングも、ジャストガードも、相殺さえも発動しない……


 この時、私の体を絶望感が駆け抜けていった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ