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「あなた、MPはどうなっているんですか!?」

「なんなんですか……。どうしてその技をあなたが使えるんですか!」


 私が何かをしゃべる前に動いたのは、やっぱりナーユちゃんだった。


「どうしてって、だから言ったでしょ? リンクすればお姉ちゃんが使える技をあたしも全部使えるんだってば」

「爪薙は神化していないと使えない神技なんですよ!? 通常状態で使えるわけないじゃないですか!!」

「そんなの知らないわよ! 使えるものは使えるんだから!」


 二人が揉め始めた。

 正直、爪薙が使えた事には私も異常だと思う。だからもう、プニちゃんをどう庇っていいのかもわからなかった……

 そんな時、私はある事に気が付いた。

 爪薙を使うのに必要な消費MPは5000だ。当然、レベル2のプニちゃんではMPが足りるはずがない。

 ナーユちゃんはこんな事態だから気が付いていないみたいだけど……

 だから私は、二人が言い合っている間にコッソリとプニちゃんのステータス画面を開いて確認をしてみた。

 するとそこには……


名前:プニプニ

LV :2

HP :850

MP :托ス・郢ァ?ォ髫キ霑「遉シ?髯


 そう表示されていた……

 急いで画面を閉じようとしたけど、手が震えてうまく消せない。

 言葉にできないほどの焦りと恐怖が体中を駆け巡っていた。

 どう考えてもおかしかった。明らかに異常だった。

 考えてみればナーユちゃんの言った通り、たまごを使った時から何かがおかしくて……

 でも、私はプニちゃんが可愛くて、そばにいてあげたくて、ずっと大丈夫だと自分に言い聞かせていたんだ……


「ではこうしましょう」


 ナーユちゃんのはっきりとした声で我に返る。


「一度、私とバトルをしてください」

「……は? 何言ってるのよ。あたしレベル2なんだから、勝てるわけないじゃない……」

「いえ、私は攻撃をしません。攻撃をするのはプニプニさん。あなただけです」


 そう言ってナーユちゃんは、プニちゃんから私に視線を移した。


「地下2階ではアイテムバトルは出来ませんが、練習試合のプラクティスバトルなら行えます。沙南さん、一度プニプニさんに本気で攻撃をさせて現状を確かめましょう!」


 私は……小さく頷く事しかできなかった。

 ひどく困惑していて、どうするのが正しい事なのかもわからなかった。

 今しっかりとこの出来事を受け止めているナーユちゃんに従う事しかできなかった……


【プラクティスバトルが開始された】


 地下2階のボスの手前で、私とナーユちゃんのプラクティスバトルが始まった。


「では始めましょう。プニプニさん。あなたは沙南さんが使える能力なら自分も使えると言いましたね? なら使えるだけの能力を全て出し切って私に攻撃をしてみてください」


 プニちゃんが困った顔で私を見る。だから私は、無理矢理作った笑顔で頷いて見せた。


「よ、よーし! 本気でやっちゃうよー!」


 気合を入れて、プニちゃんが構えを取った。


【プニプニがスキルを使用した。力溜め】

【プニプニがスキルを使用した。ベルセルク】

【プニプニがスキルを使用した。クリティカルチャージ】

【プニプニがスキルを使用した。コンボプラス】

【プニプニがスキルを使用した。気功術】


 私が使えるスキルを全て使い終える。すでにこの時点でバランスがおかしいのは明白だった。

 MPも当然の事だけど、レベル2で初っ端から使える量じゃない……


「さぁプニプニさん、遠慮なく攻撃してみてください!」


 ナーユちゃんは説明の通り、ただ攻撃を受けるだけのつもりで立ち尽くしていた。


「……えっと、これをこうして……こうかな?」


 不意に、プニちゃんが何かを呟いている事に気が付いた。


「プニプニさん? どうしたんですか?」

「それで……これをこう!」


【プニプニがスキルを使用した。鍛冶研磨たんやけんま

【プニプニがスキルを使用した。アタックエンハンス】


「なっ!?」


 突然、プニちゃんがスキルを追加した。あれは……ルリちゃんのスキル!?


「そっか。それでこうして……」


【プニプニがスキルを使用した。韋駄天】

【プニプニがスキルを使用した。速度変換】

【プニプニがスキルを使用した。狙い撃ち】


「それは私の……盗賊のスキルじゃないですか!? どうしてあなたが!?」

「えっとね、お姉ちゃんが見た事のあるスキルでも、その情報を分析して使えるみたい」

「……そんな、こんな事が……」


 私も愕然となった。もはやどう考えても異常だとしか思えなかった。

 それでもプニちゃんは止まらない。


【プニプニがスキルを使用した。一点集中】

【プニプニがスキルを使用した。背水の陣】

【プニプニがスキルを使用した。自傷】

【プニプニがスキルを使用した。鋼鉄化】

【プニプニがスキルを使用した。アンチグラビティ】

【プニプニがスキルを使用した。百万障壁】

【プニプニがスキルを使用した。兎躍】

【プニプニがスキルを使用した。ディフェンスバウンド】

【プニプニがスキルを使用した。竜神の威圧】

【プニプニがスキルを使用した。雷光伝達】


「なんか他にも色々あるけど、もう面倒だからこれでいいよね!」


 そう言って右手を振りかぶる。


「MP……そうです! あなた、MPはどうなっているんですか!?」


 ナーユちゃんがMPに気が付いた。けれどその時には、プニちゃんの攻撃は始まっていて……


【プニプニが大技を使用した。神技、爪薙】


 振り下ろした手から伸びる見えざる爪に、ナーユちゃんは全身を引き裂かれていた。


【プニプニのアビリティが発動。コンボコネクト+2コンボ】

【プニプニのアビリティが発動。先手必勝】

【プニプニのアビリティが発動。HPMaxチャージ】

【プニプニのアビリティが発動。MPMaxチャージ】

【プニプニのアビリティが発動。プレイヤーキラー】

【プニプニのアビリティが発動。状態異常打撲付与】

【プニプニのアビリティが発動。状態異常沈黙付与】

【プニプニのアビリティが発動。ディフェンスダウン】

【プニプニのアビリティが発動。レジストダウン】

【プニプニのアビリティが発動。MPドレイン】

【プニプニのアビリティが発動。HPドレイン】

【プニプニのアビリティが発動。スキルブースト】

【プニプニのアビリティが発動。アビリティブースト】

【プニプニのアビリティが発動。無効貫通】


 止めどなく発動するアビリティでログが埋まっていく。


【GMナーユに31億7011万9680のダメージ】


 そして、レベル2とは到底思えないダメージが叩き出され、ナーユちゃんの体は大きく仰け反ってしまうのだった……

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