「今日は地下四階を探索しよー!」
「今日は地下四階を探索しよー!」
「……おー」
私達は早速地下四階へ進んだ。
……そして進んだ先に、ボスへの扉がそびえ立っていた。
「……階段を下りたらもうボスだった……」
さすがのルリちゃんもあっけにとられてるよ……
「でも見て。こっちに通路があるよ? こっちでレベル上げとかは出来るんじゃないかな?」
「……ん。どうする? 沙南強いから、もうボスに挑んでもいい気もする」
どうしようかな。今までやってきたゲームだと、こういうのは大抵強敵だったりする。
「……あ、沙南、扉の端に誰かいる」
ルリちゃんが指を差す方を見ると、壁にもたれ掛かって座っている人がいた。
よし、話しかけてみよう。
「あの、どうしたんですか?」
「くっ! ここのボスは強すぎる。こんな魔物は誰も倒せない」
よく見ると、その男性はボロボロだった。
ここのボスと戦って、ギリギリで逃げてきた、みたいな状況のようだよ。
「まさかボスが、あんなアビリティを持っているなんて……クソ!」
アビリティ!? ボスがアビリティを持ってるの!? それってどんな効果なんだろう……
「お前達も気を付けろよ。ボスの持っているアビリティとは……うっ!(男性は気を失った)」
えぇ~!? そこは教えてから気絶してよぉ……
「……使えない……」
ルリちゃんは辛辣すぎるよぉ……
そんな時だった。私達の後ろから声が聞こえてくる。
「お? 階段下りたらもうボスじゃん。おもしれー!」
どうやら他のプレイヤーが来たらしい。二人組の男性パーティだ。
私は取りあえず道を譲るように端へ移動する。ルリちゃんはまだ他のプレイヤーが怖いようで、私の後ろに隠れてしまった。
「くっ! ここのボスは強すぎる。こんな魔物は誰も倒せない」
そして気絶したはずの男性が再び同じセリフをしゃべり出す。
「ボスの持っているアビリティとは……うっ!」
そしてまた気絶した。まぁNPCだから仕方ないんだけどぉ……
「どうする? ボス戦いってみる?」
「いいんじゃね? 別に負けても大きなペナルティとかもないし、挑戦してみようぜ。地下三階も結構楽勝だったし、俺達二人ならいけるって!」
「よっしゃ! いっちょやってみるか!」
そうして二人組はボスのフロアへと入っていく。
扉が閉まると、私は扉の向こうに耳を傾けてみた。
「お、おい!? なんだよこいつ、ダメージが入らねぇぞ!!」
「こんなのどうしたらいいんだよ! う、うわあああああああああああ!!」
ドッカーーーーーーーーーーーン!!
すごい爆発音が聞こえ。中は静かになった。
「二人共死んだ」
ルリちゃん……ゲームだからってそう簡単に……
けど、ダメージが入らないってどういう事だろう。攻撃力特化の私の攻撃が通らなかったら、それって絶望的なんだけど……
「やっぱりボス戦は後にしよう。まずはこっちの通路の先を調べた方がいいと思う。きっとボス戦のヒントがあると思うんだ」
「うん。わかった。私は沙南について行く」
そうして私を先頭に通路から調べる事にした。
「気を付けて沙南。そういえば地下四階は難易度が跳ね上がるって忍者が言って――」
バッコーーーン!!
【沙南の攻撃】
【沙南のアビリティが発動。先手必勝】
【沙南のアビリティが発動。HPMaxチャージ】
【キマイラに1万1572のダメージ】
【キマイラを倒した】
「やった~! ここの敵キャラも通常攻撃一発で倒せるよ!」
「……」
【沙南は新たな称号を手に入れた。ジェノサイド】
「わぁ~! なんか新しい称号を手に入れたよ! なんだろう♪」
「……」
ジェノサイド:魔物の討伐数が100を超えた。ステータスに100ポイントの振り分けができる。
「そっか~、もうそんなに戦ってたんだね。そう言えばルリちゃん、さっき何か言いかけてなかった?」
「……なんでもない。どんどん進も」
どうしたんだろ。変なルリちゃん。
そうして私達は、通路の奥へと進んで行った。




