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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
〜 スピリットガーデン編 〜
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【Side:ステラ】高らかに名乗る

挿絵(By みてみん)


 そのカボチャ頭はよたよたと近づきながら、絞り出すようなその言葉はわたしの名前だった。


「もしかして!?」


 慌ててポケットの中を探すが無い!バッグの中にも無い!?我が友ジャック・オー・ランタンが無い〜。と言うことは……


「ランタンなの?何か……大きくなったね。」


「ステ、ワァ〜……コイツ、ランタン殺そうとしたから殺したよ。ス……テルァア〜!」


 殺した?多分、わたしがランタンを落とし、ランタンはわたしを探してくれたのだろう。その途中でランタンは襲われて、逆にその相手を……。


「こいつはまさか『ジャック・オー・ランタン』!?ステラ、キミの使い魔なのか?」


 わたしを見るゴールドは刺すような眼差しだった。その場に居た全員の視線が集まる。


「そう…だよ。ランタンはわたしの友達。」


「どういうこと?」


 ファナが呟く。その瞳には困惑の色が浮かんでいた。ブレイブやパチャムも同様だった。


「『ジャック・オー・ランタン』って魔界の悪霊だよ!?ステラ、貴女は一体!?」


 真面目を絵に描いたような司祭らしいパチャムの言葉にはどこか深みがある。


「ゴメン、みんな。この子……ランタンは悪い子じゃないから、見逃して……」


 バタン!


 カボチャ頭が外れ、頭の無い身体が地面に転がる。その光景を見た群衆から悲鳴が上がる!取れたカボチャだけが転がりながらわたしの元に向かって来た。


「それじゃ庇えないよ……ランタン〜。」


 まるでホラー映画のようなワンシーン。


「そこの司祭よ、私の代わりにホーリーライトを頼む!」


 ゴールドの言葉にパチャムが神聖魔法を発動させる。あのホーリーライトを維持するためには身動きが制限されるのだろう。自由な身になったゴールドはランタンを抱えるわたしに近寄る。


「ゴールド……見逃してくれないかなぁ?」


 そんな雰囲気ではないが、とりあえず聞いてみる。


「この王都で魔物が暴れるなんて私が知る限り無かった。この意味が分かるか?ステラよ。」


「そうなんだ。今はそっち側なんだね、ゴールド。」


 話している間にダークランナー2体がゴールドの輝く剣戟により消滅した。影ではなく本体を確実に仕留めた。


「それを渡せ、ステラ。まずは魔物を排除する。悪いようにはしないから。」


 残りのダークランナーもまたゴールドの一撃で絶命した。ホーリーライトで動きを封じられたゾンビたちも近衛兵や駆けつけた軍の応援により鎮圧されつつある。


 再びこの場の視線がわたしに注がれる。でも……


「この子は渡せないんだよね。ここまでかな。」


「この状況で逃げられはしない。特に私からはな。」


 ゴールドの身のこなし、ゴーファンの王宮武闘大会の時とは比べ物にならない速さだ。確かに逃げ切るのは困難と言えよう。


「待ってくれよ、まだ答えてもらってない。ステラとゴールド、二人で話を進めないでくれよ。説明してくれよ!」


 ブレイブが叫ぶ。横ではファナとパチャムも頷く。


 わたしはランタンを脇に抱え、メインストリートにある噴水を一段上がる。


「皆さん、お騒がせしました。わたしはステラ。ゴーファンでは『カボチャの悪魔』なんて呼ばれてます。」


 一気に聴衆に動揺が走ったのが見て分かる。


「ゴーファン……だって!?」


「そんな、ステラ……嘘でしょう?」


 ファナのその表情、いたたまれないな。


「ファナ、わたしは貴女に会いに来たんだよ。キリコがファナの話を楽しそうにしていたから。あ、ついでにブレイブもね。」


 キリコの名を聞き驚く二人。でもすぐに納得できたようだ。


「キリコ、その名前を出されちゃ認めるしかないな。ステラは敵なんだね。」


 ファナがまっすぐ見つめてくる。会ってから一番の真面目な視線だ。


「お詫びと言っては何だけど……なかなか見れないものを披露しましょう!レディース、アンド、ジェントルマン!!」


 大袈裟なポーズで一礼し、ランタンを頭上に掲げて唱える。


「マジカル☆バースト!」


 ランタンから降り注ぐ魔力が光り輝く星々となりわたしを包み込む。そして変身!色は……良し、白だ。


「魔法少女ステラ、降臨だよ!」


挿絵(By みてみん)


 わたしは高らかに名乗った。純白に輝く姿は見る者に天使の如き神聖さを映す。聴衆はただただ見つめていた。


「えーーーっ!!」


 ん?ブレイブが一際大声で叫んでいた。驚き過ぎでしょ。可笑しい〜!


「それでは……これにて。『シャイニング』!」


 視界がホワイトアウトする程の閃光を放ち、わたしはこの場を去った。因みに、これは魔法少女の力ではなく、光と光の複合魔法。


◇◇◇


「やっぱりすんなりとはいかない……よね。」


 王都ピセを一気に飛び出しそのままゴーファンへの帰路に着こうとしたが、振り返るとゴールドが居た。


「以前、魔獣王の前では漆黒だったが、今のその姿……それが真の姿なのだな。」


「うん。」


 わたしの魔法少女姿を見つめるゴールドが口を開く。


「その神聖を描いたような神々しい姿。まさに精霊王の陣営にふさわしい。ステラ、スピリットガーデンに来い!」


 思いもよらない誘いの言葉に戸惑う!


「ゴールド、貴女は何者なの?」


 ゴールドはそのマスクを外す。


 やはり……美しい人だった。エルフは総じて美しさのベースが高いが、その中でも群を抜いた美貌は芸術のようだ!


「我が名は……クリスティーナ。このスピリットガーデンの勇者だ。」


 ん?勇者って、確かスピリットガーデン軍で一番地位が高くて……一番強いヤツじゃん!


「勇者かぁ、いや〜驚いたよ。そして誘ってくれてありがとう。でも、わたしは……ゴーファンのみんなを裏切れないよ。」


「ステラよ、聞け。スピリットガーデンにはアリスが居るんだぞ!」


 アリス……黒髪のアリス姫のこと?


「アリスって……」


 そこに誰かが近づいてくる。


「追いついたー!!」


 それは走ってくるファナの声だった。その少し後ろにはブレイブ。かなり後ろにパチャムが見える。


「ゴメンね、もう行くよ……別れが辛くなるから。ゴールド。」


「勇者の名にかけて行かせないと言ったら?」


 勇者は剣を構える。隙がない。応えるようにわたしも手に持つ木の棒を構える。


「なら、勇者を越えて行くよ。」


「ならば越えてみせろ、魔法少女よ!」


 既に陽は暮れ、夜闇に染まった空には星が見えた。

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


異世界に転生したブレイブ、14年の時を超えて、現世で憧れた3人の魔法少女の内の1人、魔法少女ステラと出会う!!良かったね、ブー君。( ̄▽ ̄)


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m

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