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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
〜 スピリットガーデン編 〜
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【Side:ブレイブ】王都混乱

挿絵(By みてみん)


 黄金のマスク越しでも分かる美貌。その麗しい唇が離れていく。


 ゴールドと名乗る謎の女性がアリスの唇を奪い、黒髪の姫から奪ったものを返すと言い、俺の唇を奪った。


 いや、この場合……俺の唇にアリスの、月島さんの唇を重ねたってことだよな!?間接的に……


 つまり、間接キス!!!


「おおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!」


「てっきりファナが彼女だと思ってたのに、実は黒髪のアリス姫が好きで、何だか分からないけどゴールドがアリス姫とキスをして、いまゴールドがブレイブとキスって。訳が分からないよ。」


 ステラは髪を掻き乱していた。


「これで満足かい、氷剣の君よ。」


「はい、ありがとうございました!」


 最敬礼で応える!只でさえ美しいゴールドの唇と、その奥に見え隠れする月島さんの唇。そんなハイブリッドなキスをされたのだ、お礼にも気合いが入るというものだ!!


「さて、本題だが……ステラよ、私と一緒にきてもらおうか。アリスが待っている。」


「黒髪のアリス姫が?でも、実はそろそろ……」


 ゴールドとステラが話をしていた最中、雑踏から悲鳴が上がる!


「何だ!?」


 空が夕焼けから深い青に染まる夕暮れ時、街に少しずつ灯りが灯り始めた頃、まるで乱闘のように人々が暴れていた!


 逃げ惑う人々に襲いかかる人々!駆け付けた衛兵たちが暴動を抑えようとするが、構わずに衛兵に襲いかかる暴徒たち。薄暗い中で良く見えないが、何か様子がおかしい。


「(主よ、屍人が暴れているようだぞ。)」


 愛剣スノーホワイトが教えてくれた。


「あれはゾンビが人々を襲っているらしい。助けなきゃ!!」


「何だって!」


「ゾンビ?」


 俺は二人を置いて、氷剣スノーホワイトを抜きながら走り出す。


 何となく血色の悪いのがゾンビだと分かるが、余りにも多すぎる!襲われた人々もゾンビ化しているようでねずみ算式にゾンビが増えていた。


「こんな混戦状態の時はどうしたら!?」


 民間人に当てないように剣を振るうには密集していた。


「(先に見たアレを使うとよい。全てを凍て尽くす『アイスワールド』をな。)」


 スノーホワイトはヒュールたちが食らった広範囲凍結魔法のことを提案してきた。


「いや、民間人も凍るだろう、ソレ!」


「さっきの威勢はどうした?だがこの状況だ。迷うのも無理はない。私がゾンビの動きを抑えよう。その間にっ!聖なる光よ、冥府に堕ちし者を照らせ『ホーリーライト』!!」


 ゴールドがかざす細身の剣が眩く輝くとゾンビたちは苦しそうにうずくまり悶える。


 人々はこの隙に逃げていきゾンビの集団が残った。


 これなら!カッコ良くスノーホワイトの剣技でと思ったけど……さっさとステラがどこからか手に入れた棒でゾンビたちを殴り回っていた。


「やはりキミは棒が似合うな、ステラ。そして変わらず見事だ。」


 確かに!何だあのステラの動き!?まるでモグラ叩きの達人のようにゾンビたちを棒でぶっ叩き、確実に脳天を潰していった。


「いや、単に素手で触りたくないだけなんだよね。ん、あの黒いの……精霊樹にいた魔物!」


「あれは『ダークランナー』。そうか、アレがゾンビを作っていたのか!」


 後から聞いた話では、ダークランナーとは低級の魔族だが、素早い動きと獲物をゾンビにする毒を持っていて、民間人では敵う魔物ではなかった。ダークランナーが村一つゾンビ化させたという被害も珍しくない程に。


「はぁっ!」


 俺はダークランナーを切り捨てると呆気なく倒した。手応えないな〜。


「何だ、弱いなコイツ。」


「やったのは影だ。ブレイブ、後ろ!」


 倒したダークランナーの影から別のダークランナーがなんて!?鋭い爪が俺を襲う!


「油断しない!」


 ダークランナーを殴る拳は空を切るが、俺に向けられた爪は下がる。


「ファナ!あ、ありがとう。」


「本当は助けたく無かったけど、勝手に助けちゃっただけ。お礼なんていらないし。ふん!」


 そうだった。俺、自暴自棄になってファナに酷いことをしたんだった。今になって冷静に考えると最低だよな。


「ファナ、すまなかった!俺のこと好きなだけ殴ってくれ!ゲブッウ!!」


 ファナの締まった蹴りが腹に決まり倒れる俺……。


「殴ってとは言ったが……蹴るのね。」


「まだ戦闘中!ボーッとしてんなって話!!」


 再び俺を狙ったダークランナーの攻撃から守るための蹴りだったらしい。どっちのダメージのがでかいかは……考えまい。


「あー、ステラ!また会えて嬉しいよー。」


 ファナはステラを見つけるとガラッと態度を変え、ダイブして抱きついていた。その様子を見ているとパチャムが俺の腹に手をかざして回復魔法をかけてくれる。


「自業自得。調子は戻ったようだねブレイブ。」


「悪かった。」


「ファナを悲しませないであげて。ファナのあんな顔は見たくないから。」


 そうか、ファナはどんな顔をしていたんだろう。


「ほら、また蹴られるよ!今は敵に集中!!」


 非力なパチャムの拳が俺の頭を叩く。大して痛くないが、ファナの蹴りと同じくらい重いものだった。


「ああ!」


 まだゾンビも残っている中、黒い魔物ダークランナーは4体に増えていた!


「あー、守護者が倒した2体は影だったのか!4体全部生きていたってことね。なるほどなるほど。」


「ステラ、精霊樹に登ったのはやはりキミはなんだな?」


 ステラが言った言葉を聞いたゴールドがそう問う。ステラは何か言葉にしたようだが、俺には聞こえなかった。何故なら更なる悲鳴で掻き消されたから。


「何だよ、アレ?カボチャ?」


 カボチャのマスクを付けたヤツが虚な歩みでこちらに近づいてきた。


「ス、ツェ……ラァ〜」

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