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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
〜 スピリットガーデン編 〜
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【Side:ステラ】食事中におっぱいは無いよね!

挿絵(By みてみん)


 ファナに誘われて宿の下にある食堂に降りると、昨日の惨状は綺麗に掃除されていた。2人は迷う事なく昨日の席に座る。指定席!?


「ステラ、何でも頼んで。おごりだからさ!ブレイブの。」


「いや、俺さ、金持ってないから昨日借りに行ったんだよ、その……風呂場に。」


 コイツ、思い出したのかー!?


「ブレイブのエッチ〜!で、ステラのおっぱいどうだった?巨乳のアリ……」


「ファナ〜、何てこと聞くのよ!悪い子はお仕置きだよー。」


 ファナの脇腹をくすぐる。


 食堂に響く笑い声と叫び声!他の客が一斉にわたし達に注目する。


 なんと、ファナはお返しとばかりにわたしの胸を揉んだのだ、衆目を気にせずに!恐ろしい子!!


「うぅ。弄ばれた……。」


「おっぱいは普通だね。ブレイブは大きいおっぱい大好きだもんね!」


 やっぱり男は巨乳が好きか!わたしもアリス位の爆乳があったらなーといつも思っていたものだ。


 ふと、思い出した。もう懐かしさすら感じる仲間のことを。


 『魔法少女アリス』、彼女はもう……。


「ほら、ブレイブがステラのおっぱいじゃ物足りないなんて言うから落ち込んじゃったよ。責任取りなよー!」


「いや、言ったのお前だろ!それに俺は……おっぱいで選んだりはしないぞ。」


 しかし、この2人は朝から人目を憚らずおっぱいおっぱいって、こんなのがわたし達の敵であのキリコを退けたと思うと、訳が分からなくなってくる。


「良かったね、ファナの胸でもブレイブはOKだって!って、2人は付き合ってるの?」


 からかう質問をしてみるが、何処か気不味そうな2人。これって!?


「あれ?悪いこと聞いちゃった?」


「いや……」


「前にブレイブに告白したんだけど、色々あって……戦争終わるまで告白のことは忘れてって言ったんだ。色々ってのは巨乳のライバルが現れたからなんだけど。アレは……凶器だよ。」


 なるほどなるほど、三角関係なのね。かー、甘酸っぱい〜!!わたしなんてそんな浮いた話無いってのに〜。戦わずして負けた気分だよ。


「巨乳は敵だよね!応援してるよ、ファナ!!てか、お似合いだよ2人は。もはや夫婦と言っても過言じゃ無いね。」


 ファナは顔を赤くして照れ笑いしてる。しかし、ブレイブは……笑いながらも困ったような印象を受ける。ファナと巨乳のライバルで心が揺れてるのか!?


 これ以上、深入りすると部外者が2人の関係を逆に悪くするかもしれないと感じたので、この話題から話を逸らそうとした時、ファナ達を呼ぶ声がした。


「あれ、ブレイブ、その人は?」


 それは優しそうな感じのエルフだった。ファナとブレイブの仲間でハーフエルフの司祭パチャムだと紹介された。ざっくりと出会った経緯を話すと優しそうな表情は一変し厳しいものとなる。


 泥酔してわたしに迷惑をかけたことを2人の親のように謝罪しつつ、そして未成年が飲酒してはいけないと毎日のように言っているのに何で分からないんだと説教が始まる。


 そう、わたしが気になっていた未成年の飲酒についてパチャムが代弁してくれてスッキリした。でも、そんな言葉は2人には日々のBGMのようなものなんだろう。ご苦労様です、パチャム!


 朝食を共にしただけにしては濃密な内容だった気がする。この後、軍の集まりがあるらしく、3人とはここで別れることとなる。


「ステラ、また一緒に飲もうねー!」


「いや、未成年の飲酒はダメだから。程々にしなよー!」


 ファナはパチャムに頭を叩かれながら、3人は去って行った。


 そういえば、出発する時にブレイブは青い魔剣を携えていた。あれがキリコを苦しめた氷の剣ってヤツか。確かに強そうな剣だった。


「敵だけど憎めない人達だったなぁ。キリコが楽しそうに話す気持ちが分かった気がする。でも、戦場で会ったら……敵、か。」


 ファナとブレイブの顔を遠くから見れればいいかなと思ってたけど、ガッツリ顔見知りになってしまった。それだけに戦場で敵として出会ったら……気まず過ぎる!


 先の事を悩んでも仕方ない。わたしは今日中にはこの国を発たないといけないが……軍の集まりがあるって?スパイとしてはこの上ない手土産だろう。


 後を尾行して軍に潜入し、機密情報を集めればスピリットガーデン軍を叩くのは簡単だろう。大手柄間違いなし!


◇◇◇


「このハチミツのスイーツ、美味しい〜!」


 結局、軍への潜入はやめた。何か卑怯だしね。


 それに、ゴーファンの3倍はあろう巨大な王都は、とても数日では回り切れなかった。限られた時間が許す限りこの街を散策しようと決めた。まだバッグには若干の余裕があったので。


 メインストリートの雑踏の中、往来には多くの人々が楽し気に歩いている。戦時下とは思えない平和な日常がここにはあった。


「これが……全部、敵なんだね。どうしよう、わたし……来なければ良かったかな。この人たちと戦えるのかな……。ファナ達とも。」


 夢の国はわたしの心を酷く掻き乱していた。

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