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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
~ めぐりあい編 ~
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【Side:ブレイブ】人狼キリコとの死闘

挿絵(By みてみん)


 大地にぶっ倒れるヒュール!


 ヒュールが唐突に取ったアリスへの無礼に対し、俺とジェイスが奴をぶん殴ったからだ。


「お前はまた!アリスに謝れっ!!」


「何だと!?俺は本気だ。まさかアリスはてめぇの女なのか?違うならすっこんでろ、ブレイブ!」


 激しく文句を言いながらヒュールは俺の胸ぐらを掴んで来る。頭に来た俺は同じようにヒュールの胸ぐらを掴み返す!ヤンキーのようにガン付けしてくるヒュールに、元ヘタレな俺はちょっと気圧される。


「そんなんじゃ。だって……アリスには……」


「あ?良く聞こえねぇよ!ハッキリとでけぇ声で言えよ、女かテメェは!」


 コイツは何でこんなに自信に溢れてるんだろう?こんな時に口籠もってしまうのは生まれ変わっても変わらない。思い描く男らしさとは違う女々しさに自己嫌悪してしまう。


 視線を逸らした先に見つめるアリスが居た。心配してくれてるのか、寂しそうな顔だ。そんな顔をしないでよ。


「ア、アリスは……」


「わたしはブレイブのモノです。ヒュール、貴方のモノにはなれません。ごめんなさい。」


 アリスはハッキリと宣言した。俺は頭に真っ白になる。それって!?


「止めんか、馬鹿者ども!今はそんなことをしてる場合か!!まだ戦闘は終わっていないんだぞ。命令だ、敵を殲滅して来い!!!」


 ジェイスが俺たちを叱責し我に帰る。


「すみませんでした!」


 俺とアリスは同時に謝罪の言葉を口にする。


「すんません。でもよ、覚えておけ。必ず俺の女にしてやるからな。」


 そう言い捨ててヒュールは戦場に駆けていく。


「あの馬鹿が。ブレイブも行け!」


「はい!」


 俺も走り出す。一度振り返ると、ジェイスと言葉を交わすアリス。俺の視線に気づくと手を振ってくれた。


「(嬉しそうだな、主。)」


「あぁ、元気爆発だ!」


 今なら何でも出来そうな気がする。何たってアリスが俺を選んでくれたんだから!


「(主よ、左手を見よ。アレはお主の仲間と……さっきの人狼がおる。)」


 かなり先だが、確かに小さい女の子二人の姿が微かに見えた。


「ファナがあの人狼と戦ってるのか!?」


 俺に一瞬で致命傷を与えた人狼はかなりの手練れ。実力もさることながら、敵を殺すことに全く迷いがなかった。戦場では当たり前の心構え何だろうけど、ここまで躊躇ない相手は初めてだ。まさに野獣といえる。だからこそファナが心配でならない!


「力を貸してくれ、『スノーホワイト』!」


「(我が力は主のもの。好きに使って良い。)」


 その言葉に勇気が湧いてくる!


「いま行くぞ、ファナ!五の斬『フェンリル・チャージ』!!」


 一閃した地面が平らに凍結していき氷の道が伸びて行く。俺はその道を走るとアイススケートのように滑走して一気加速して人狼に迫る!!


 あろうことか人狼はファナの髪を掴み上げ、その喉に牙を突き立てようとしているところだった!!


「間に合えっ!!!」


 まだ距離はあるが、急激な温度の変化や滑走する音に気付いたのか、人狼はあっさりとファナを放り出し警戒した。やっぱ野生児は違うな。でも、ファナを救う目的には近づいた。


◇◇◇


 俺は酷く傷つき意識を失ったファナを静かに横にすると、背を向けた人狼キリコの方を振り返り我が名を名乗る。


「俺は『アビスの氷剣使いブレイブ』、死の淵から這い戻ってきた男。本気、見るかい?」


 手にした美しく煌めく氷の剣を軽やかに振ると、それだけで横一文字に地面が凍てつく。


 距離を置く人狼キリコの身体に霜が纏わりつき、急激に体温を奪ってゆく。


「その剣か?こんなに寒くしやがったのは!?」


「わざわざ聞くなよ、分かってるだろう?さっきの借りはファナの分も合わせて返してもらうぜ!」


 人狼は致命傷を与え即死した相手が無傷で目の前に現れたことに警戒し、更に、氷の剣の力を脅威と感じてることだろう。さっきのように暴れ回ることをしないのがその証拠だ。そして、そこが最大限付け入るポイントだろう。今度はこっちから攻める!


「コイツ、さっきの木偶人形とは別人だ。どうなってるんだよ!?」


 今までよりも身体が軽く、俺の攻撃を交わされてはいるが、人狼の動きを目で捉えることが出来ていた。


「調子に乗るなよ!『ワイルドストライク』!!」


 人狼は両手両足を最大限使い地面だけでなく木や野営のテントなど存在する全てのモノを使い縦横無尽に移動し、止まることないその動きは加速度を増していった!更に速くなるなんて!!


 そして持てるモノ全てを強力な武器にして俺に襲いかかる!四肢は勿論、牙や頭含めた五体が凶器だった!!


 俺の剣戟など当たる訳もなく、いくつもの重く鋭利なスーパーボールが跳弾のように四方八方から俺に襲いかかる!身を守るのに精一杯で、ファナのように肉を切られ全身が赤く染まっていく。


 人狼の速さはようやく追い付いた俺を、無情にも突き放していった。

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