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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
~ 魔法少女編 ~
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【Side:ブレイブ】魔法少女アリス降臨!

挿絵(By みてみん)


「精霊王よ、お待ち下さい。わたしもお伺いしたいことがあります!」


 唐突にアリスが声を上げた。傅くように両膝を地に付け、祈るように両手を組み首を垂れる。


「アリス、急にどうした?いや……そうか『魔法少女』のことだな。精霊王よ、アリスの話もお聞きください。」


 最初は驚いた勇者クリスティーナだったが何かを察したのか、アリスと共に祈りを捧げる。


 アリスの頭の中に声が生まれた。アリスは立ち上がり、祈りを解き放つように両手を高く広げた。


「ご覧ください、精霊王。マジカル☆バースト!」


 アリスの右手の指輪が輝きを放ち、溢れるほどの光の粒子がアリスを包み込む。そしてアリスはその姿を一変させた。


「これが魔法少女……魔法少女アリスです。」


挿絵(By みてみん)


 日本人の奥ゆかしい真っ直ぐでさらさらと流れる黒髪が、輝く金色の髪になり、淡い青い装いは……紛うことなき、前世で僕が心焦がれ、最期に出会った魔法少女の姿であった。この異世界で14年ぶりに再びその姿を拝めたことに目頭が熱くなった。


「魔法少女だ。あぁ、尊い。」


「そうだ、この天使の如き神聖な姿こそ、私が初めて目にした天から舞い降りしアリスそのものだ!」


 勇者クリスティーナもまた魔法少女アリスの姿に感嘆していた。


 アリスは続けて目には見えない精霊王に語る。


「わたしの世界から持ち込んだ魔力でいま一度だけ魔法少女に変身しましたが、もうこの世界では変身できないでしょう。いままで何度も試みたのですが、この世界では一度も自力で魔法少女に変身できないのです。この世界でもこの魔法少女に変身するための方法はありませんか?何かご存知なら教えてください。お願いします。」


 再び両手を組み深く頭を下げ、必死に願うアリス。


「……そうですか。ありがとうございます、精霊王。」


 何処か肩を落としたアリスの様子から察するに、精霊王は魔法少女に変身できない理由は分からないのだろう。


「魔力の形……そう言われるとそうかも。でも、どうしたら!?」


 10分程で魔法少女の変身は消え失せた。


 アリス曰く、有事のために一回は魔法少女に変身できるだけの魔力を指輪に込めていたらしい。その唯一の変身を蜘蛛の糸にすがるように精霊王に披露したが、糸は儚くも切れてしまったようだ。


 頼みの精霊王でも魔法少女のことは知らないらしい。ただ、変身した時の魔力がこの世界のモノとは根本的に異なるらしい。鍵と鍵穴が合わないみたいなものかな?いくら魔力に満ちた世界でも使えないのでは意味がない。


 アリスは静かに俯いていた。クリスティーナと俺はただアリスを静かに見つめる。


「ありがとうございました、勇者様。まさか神様である精霊王にお力添え頂けるなんて夢にも思いませんでした。何とお礼を言って良いやら。」


 精霊王は去ったようでもうその声は聞こえなかった。重い空気が漂う。その空気を変えたくて、俺はクリスティーナにお礼を言う。察したのかクリスティーナはアリスのサラサラな黒髪を指で遊びながら言う。


「礼はこのアリスに言うんだな。わたしもまさか精霊王に会わせて欲しいと言われるとは思わなかったさ。しかし、そんな大それたことを、さも普通のことのように口にするんだ、この子は。そして、土壇場で追加注文だなんて、まったく困った子だ。」


 勇者クリスティーナはアリスの腰に手を回して抱き寄せる。文句を言われたアリスは済まなそうな表情を見せる。でも満更でもなさそうである。


 もしや、この二人!?お姉様な勇者様と妹的存在なアリスは、いわゆる禁断の百合な関係なのでは?許婚の中年はともかく、このイケメンな俺も恋愛対象ではないことからも、アリスは女性同士の恋愛性癖があるってことだよねっ!先に感じたこの二人が並んだ芸術的光景は禁断の花園に咲く百合の花2輪だったからなのか!?となると、普通ならアリスが受けだろう……。


「(悪い子にはお仕置きが必要だな、アリス。抗ってはいけないよ。)」


 お、王道だっ!イイ!!しかし……


「(お姉様はコレがお好きなんですよね?お可愛いこと。)」


 逆もまた然り!アリス攻めもアリだっ!!俺の脳内では妄想が炸裂を繰り返していた。


 アイスソードは目覚めなかったが、そんなことよりも良いものを見られたことの方が収穫だ。俺は口を開けながら、ただ見惚れていた。

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