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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
~ 試練編 ~
40/142

【Side:ステラ】降り重なる災難!負けないもん!!

挿絵(By みてみん)


「ハンバァーーーグッッ!!」


 キリコの悲痛な叫びが響き渡る。


「デネブ様、まさかステラちゃんが!?」


 観戦席でモーリスの膝椅子に座るデネブも内心穏やかではいられなかった。今すぐあの土埃に飛んでいきたい衝動を堪えていた。


「やっぱり、逃げることをもっともっと推していれば良かった。」


 俯くデネブを抱きしめるモーリス。


「今宵、人間のレディーを楽しむことができなくなったのは残念だが、決着ということで良しとしよう。」


 ヴァンパイアハーフのジオが十字を切りステラの冥福を祈る。


「これで、これで奴隷から解放される。やったぞー!!うおおおおぉーーー!!!」


 巨人族の闘剣士5370が雄叫びを上げる。


 仮面の女魔剣士ゴールドは掲示板に目をやる。


【戦闘可能】11

【戦闘不能】89


 いつもならもう決着のファンファーレが鳴り響くところだが、何の動きもなかった。


 土埃が風で舞い上がりゲランの勇姿を晒すはず……だったが、現れた光景を見てゴールドが言葉を漏らす。


「あれは……まさか!」


◇◇◇


 ゲランは巨大な曲刀を握りしめていた。曲刀の下にあるのは……赤い球体。


「何故!?何故、潰れぬ!!」


 最大奥義を尚も耐えるその姿に驚嘆するゲラン。ただ、先程とは明らかに違う……わたしは赤い光に包まれていた。


「よっと!」


 掛け声と共に押し返されるゲラン!会場全体から歓声が上がり、わたしに視線が集まる。


 気付くと左手の赤い盾は倍程大きくなっていた。その盾から伸びる赤い紐状の束がわたしの身体を覆い……あれ、スースーする?


「な、何コレ〜!!」


 視線を下に向けると、着ていた衣服や防具は無く……赤い縄で身体を縛られていた。


「な、何で裸なのよ?しかも何で縛られてるの〜〜〜!?それにキ、キツイ!縄が喰い込んでくる。」


 衆人環視の中、羞恥プレイを強いられていたわたしは両手で裸体を隠す。いや、実際は恥ずかしい箇所は縄で辛うじて隠れていたのでセーフなんだけど、きわどい紐ビキニのようで恥ずかし過ぎる!!


「やった!ステラ生きてる!!ステラのトコに行ってくるね。」


 飛び出そうとするキリコをゴールドが遮る。


「いま戦っているわたしを無視は良くないな。行かせませんよ。」


 道を阻まれたキリコは頬を膨らませるが、すぐに笑みを浮かべた……不敵な笑みを。


「おおおおおおっ!あれはぁ、魔界の亀の王にして深紅の公爵『レッド・ヘルタートル』の甲羅から作られし魔具!そして何という美しい御姿!!嗚呼、神が作りし芸術が目の前にっ!」


 ジオは興奮気味にそう叫ぶ!


 観客席では普段大人しいモーリスが同じく叫んでいた!


「デネブ様、ステラちゃんが生きてましたよ!奇跡です!!魔界の亀『レッド・ヘルタートル』の魔具が発動して……何という美しい御姿!!嗚呼、嗚呼、神が作りし芸術そのものっ!って、ステラちゃんに向かって行くあのヴァンパイアハーフ、変態で有名なジオでは!?わたしのステラちゃんに近づくな、変質吸血鬼もどきーーーっ!!!」


 興奮したモーリスがジオに向かい罵倒する!!やれやれ?と呆れるデネブはどこか嬉しそうだった。


「どうした、立て!決着を付けるぞ、人間!!」


「いやいやいや、立てるかぁ~っ!!」


 言い返され、気圧されるゲラン。理屈が分からない様子だった。


「いや、座ってうずくまっては戦えないだろう、と言ってるのだが?」


「立ったら、その、見えるでしょ!!」


「見える?何がだ?と言うか、ここは戦場だぞ!我等の死闘はどうするのか!?」


「それは、そうだけど……恥ずかしいよ。」


 モジモジし歯切れの悪い、答えになっていないことを口走る。


「もういい!そのままジッとしていろ。効率的に決着をつけてやる!!」


「ちょっと待った!この少女は私が貰い受ける!!スマンなリザードマンよ。」


 颯爽と現れたジオがうずくまるわたしを抱え上げ走り去る。


「貴様、我等の決闘を邪魔するか、待て!魔女を殺すぞ!!」


 走り去る2人に叫ぶゲランは曲刀を魔女シールに向ける。


「それは駄目ー!降ろせ、変態紳士!!」


 わたしはバタバタと暴れるが、そんなわたしに熱そうな視線を向けるジオ。


「キミは私のものだ。それにもう戦うだけの魔力も体力も残ってないではないか。大人しく私の寵愛を享受せよ。」


 ジオの瞳が赤く染まり、急に頭がグラつく。


「『テンプテーション』。キミは私の愛の奴隷。もうこんな大会などどうでもいい。至宝の生娘に勝る宝無し。」


 身体の力が抜けてジオに見つめられただけで全身が火照る。虚ろなわたしにジオは口づけをした。


「(何!?)」


 口づけをしたまま膝を落とすジオ。わたしから口を離す。


「魔力を貰ってゴメンね!でもセクハラの対価には安すぎるけどね。」


「何故、我が虜にならない!?」


「それ、経験済みなんだ。ははっ。」


 思い出したくない思い出に頬が熱くなる。


「それに『エナジードレイン』は悪魔族の技だぞ!何故、人間のキミが!?」


 そう、これこそ大会前の特訓でモーリスが教えてくれたサキュバスの秘技『エナジードレイン』だった。


「うぅ、使うまいと思ってたのに……でも魔力補給ができて助かった。ありがとう、モーリス。」


 わたしはジオに背を向け立ち上がる。


「行ってくるね!」


 再びゲランに立ち向かうわたし。それを見送るジオが言葉を漏らす。


「嗚呼……尊い。」


 それはわたしには届かない呟きだった。

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


全裸に赤いひも状の拘束姿。亀甲縛りではないので……安心してください、見えてませんから!!残念~♪( *´艸`)


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m


毎週金曜日の午前中に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)

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