表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
~ 異世界編 ~
19/142

【Side:ステラ】目覚めは水の中!?

挿絵(By みてみん)


 目覚めたら、そこは水の中だった。


 その状況なら先ず口を抑え、水上に出るよね?でもさ……上に水面は無い訳よ。それって絶望するよね。


 そこはガラスの容器の中のようで水で満たされていた。見渡す限り出口は無い。絶望を再確認する。


 それならガラスの容器を破壊して脱出するしかない!


 しかし、それは叶わない。何故なら、手足が拘束されていたから。絶望しかない。


 死が訪れるまでの処刑にも似た時間がこれほど長いとは思わなかった。我慢の限界が訪れ、ついには口を開き液体を吸い込んでしまう!……終わった。意識が遠退くまでただ苦しみながら、ただただ死に身を委ねることしかできないわたし……。


◇◇◇


 悪夢から目覚めたように荒い呼吸をすると、喉を通る違和感とデジャヴな光景を目にする。


 密閉されたガラスの容器。満たされた液体。拘束された手足。


 既に、口から喉を経て肺にまで液体が浸潤し、液体だけが喉と肺の間を行き来する感触は耐え難い違和感として駆け巡る。


 ただ……奇妙なことに息苦しさは感じず、いくら時間が経っても水死することは無かった。


「(あれ、生きてる!?水中なのに、どういうこと??)」


 声を出したつもりだが、水中のため声は出なかった。


 あらためて自分の状態を確認する。手足は拘束されており……全裸!?


「(何で裸なのーーーっっ!!動けないし、何の液体なのよコレ!?)」


 腕力で拘束を破れるか試すが、、、激痛が走る!!


「(ァイッタアッッーーー!!!!)」 


 記憶を辿る。そうだ、単眼の魔獣との死闘の末、瀕死な状態になったことを思い出した。


「(怪我は治ってないけど……死なずに済んだんだ。ヴェイロンは?と言うかココは何処??)」


 拘束されてるってことは、敵に捕まったってこと?いや敵って誰?この世界に魔王はいないし、今のところ恨みを買っているのは『魔獣の森海』の魔獣だけのはず。ただ、魔獣は知能が低く本能で襲い掛かっている印象があるので、こんな装置のようなものを使うとは考えられない。


 最後の記憶でヴェイロンが「助ける」って言ってくれたことから、この状況はヴェイロンが関係していると考えられる。


「(わたしを裸にして拘束したのって……ヴェイロン?)」


 以前、森の泉でのことを思い出し、恥ずかしさから再び真っ赤になる。


 そのとき何かの気配を感じる。暗い部屋の奥から人影が近づいてくる。


 その人影は思ったより小さく全身黒いローブを身に着け、頭には大きめな黒いとんがり帽を被っている。絵本で出てきそうな『魔女』を連想させる姿だが、いかんせん身長が低い。ハロウィンの仮装をして「トリック・オア・トリート!」と言ってお菓子を貰いに来た子供にしか見えない。


挿絵(By みてみん)


「あら、お目覚めかしら……ステラ。まだ大人しくしてなきゃダメなんだからね。」


 小悪魔的な笑みを浮かべる。浅黒い肌に銀髪のとても可愛い女の子だった。


 いきなり名前を呼ばれたことから核心する。この世界でステラと名前を告げた知能がありそうな相手はヴェイロンただ一人。


 というか、この世界で唯一意思疎通ができたのがヴェイロンしかいなかっただけのこと。あとは意思疎通ができない魔獣には腐るほど出会ったが……。


 ここに来て初めて意思疎通できる同性に出逢えたことに凄く安心した。


「(ヴェイロンを知って……ますよね?)」


 語り掛けるが声にならない。察したのか、女の子はその手をかざし、呪文を詠唱する。


「これで会話はできるかしら?」


「あー、あー、聞こえますか?」


「うん、聞こえるよ。わたしは『デネブ』。ヨロシクね!ヴェイロンからあなたの治療を頼まれて、現在治療中なんだ。オーケィ?」


 わたしが知りたいであろう経緯を簡単に説明するデネブ。


「そうだったんですね。ありがとうございます。でも、わたしの今の状態は一体??何で裸で縛られて、水中に入れられて……というか、何で苦しくないの?」


 同性なので裸を見られてもどうということはないが、あまり良い気分ではないので、納得できる説明が聞きたかった。


 もっとも、出てきたのがデネブではなく、ヴェイロン含めた異性だったらこんなに冷静ではいられなかっただろうが。


「その液体は治療のための薬液よ。栄養素や酸素も含まれてるから空腹になることも、溺れ死ぬこともないから安心して。裸にしたのは薬液治療の効果と治癒状態を確認するため、かな?で、拘束したのは……趣味?」


 顎に手を添えてニヤニヤしながら、わたしの身体を隅々まで舐め回すように眺めるデネブ。


「ちょっ、どういう趣味してるンですかぁー!!」


 抗議しても裸体を隠す手段がないので、そんな姿も相手にとってはいい見世物でしかない。


「いやぁ、冗談だよ〜。ホント、ホント。でもさ、そんな真っ赤にして、なんか反応が初々しいね〜。」


「か、からかわないでください~!」


 茹でダコのように赤く染まるのが自分でも分かった。


「まぁ、あなた乱暴だって聞いたから、容器の中で暴れられて容器が破損したら色々と困るので拘束させてもらったのよ。完治するまではね。まあ、焦らずゆっくりしてよね!」


 安心させようと説明するデネブだったが、乱暴と言われヴェイロンにイラッとしつつ、わたしはデネブに若干焦り気味で質問をする。


「あ、あと、どれくらいで治るの……かな?」


「そうだねー、1週間位かなぁ?あなたの身体次第だから分からないケド〜。」


 顔が引きつる。こんな恥ずかしく晒し者な状態があと1週間も続くなんて考えられない!!水槽の金魚のほうがまだ自由だと思えた。

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


目覚めたら水中で拘束されてるとか絶望しかないですよね。普段あり得ない喉や肺に水が満たされる感覚も地獄だろうな~と、考えただけで怖いです……。ステラの扱いがヒドイと感じるこの頃。(;´∀`)作者、市ね!


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、本当にお願いします~。m(_ _ )m


毎週金曜日の午前中に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ