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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
~ 異世界編 ~
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【Side:ブレイブ】少年たちの旅立ち

挿絵(By みてみん)


 ファナに無理矢理起こされ階下に降りた俺を待っていたのはパーティメンバーであるパチャムにファナにキューイと……ん?


「遅くなってすまない。用件の前に何か腹に入れたいんだが構わないかな?ベルク。」


 三人と一緒のテーブルにいたのは冒険者ギルドの長ベルクであった。ベルクが来る時は決まってロクなことがないという都市伝説があるのだが……単なる事実である。


「あんたがわざわざ俺たちと一緒に飯を食いに来たって訳じゃないんだろう?要件は?」


「まぁ、なんだ。今回の冒険についてはパチャムから報告を受けているが、お前が手に入れたアイスソードな。そいつを見に来たって訳だ。」


 大体そんなところだと踏んだ俺はご要望のアイスソードをベルクに渡し、料理を口に運ぶことに集中した。


「こいつは……すげぇ。」


「ベルク、悪いんだが……その脂でギトギトな手で剣をベタベタ触らないで欲しいんだが。」


「後で拭きゃいいだろ。細かいなブレイブ。」


 ベルクの両手がベタベタなのは俺が来る前に食事をしたのだろう。空いた皿には骨付き肉の骨だけが大量にあったので、こいつは手掴みで肉を食べたのだろう。


 それはいい。食後に手を洗うなり拭くなりしないことに問題がある。ま、この世界ではそんな気遣いをするような奴はほとんどいない。もう慣れたものではあるが、いざ自分の所有物を汚れた手で触られるのはさすがに良い気分ではなかった。俺は溜息を付きながらも食事を続けた。


 ちなみに、俺がギルドマスターであるベルクに馴れ馴れしい態度を取るのには理由がある。ベルクは4軒隣に住むおっさんで幼少の頃からの顔馴染みだから、つい慇懃無礼になってしまう。ベルクも気にしてないと公言したので、いつもこんな感じだ。


 ベルクは次に、俺たちパーティにこう告げた。


「お前らも知っていると思うが、いよいよ戦争が始まる。俺らは精霊王のスピリットガーデン軍に加勢し、魔獣王のゴーファン軍と戦うことになる。このアイスソードを含むレジェンド級戦力は優先して参戦派兵となる。これはこの国のオルガナ王が承認したオルガナ軍の方針だ。我ら冒険者ギルドも例外ではない。分かるな。」


 やっぱりロクなことがない。冒険者として心躍る冒険を期待していたんだけど。これまでは実力もなかったのでたわいもないクエストばかりだったが、アイスソードを手に入れたことで難易度の高いクエストもチャレンジできると思ってた矢先に戦争に行けだなんて……。戦記物にはあまり心躍らないんだよ俺は。


「ゴーファンか。あの国の魔獣たちは各地を荒らして被害が絶えないから、この戦争で倒せればきっと平和になるよ!そのために力になれるならやろうよ!!」


 ファナの熱血に火が付いたのか、鼻息荒く参戦に前向きになる。


「せ、戦争かぁ。正直……怖いなぁ。」


 気弱なパチャムらしい本音が漏れる。


「そうだな、余り性急に決められる話ではないな。キューイはどうだ?」


 俺は黙々と食事をとるキューイの考えを確認する。ボソッと出た言葉は報酬次第だということ。ベルクから提示された報酬は破格なものであった。いままでのバイトのようなクエスト報酬とは桁が違った。キューイは首を縦に振る。


 もっとも、俺たちに拒否する自由は微塵もなかった。つまり、ベルクが来た時点で、いや、アイスソードを手に入れた時点で赤紙は俺たちの手の中にあったのだ。やはりロクなことにはならなかった。


 出発は一週間後。俺たちのパーティを含め、この国の精鋭たちが隣国スピリットガーデンに赴くことになる。


◇◇◇


「お前か、アイスソードを手に入れたっていうルーキーは?」


 そのうち来るだろうと思っていた三下がやはり現れたようだ、と俺は思ったのだが……とんでもない!?オルガナ国きっての剣士ジェイスが立っていた。


「ひとつ手合わせをしないか?」


 ベテランとルーキーでは力の差は歴然だった。俺は何度もジェイスに挑むが、こっちの攻撃は流れるような体捌きでいなされ、向こうの攻撃は絶妙な位置に確実に当ててくる。


「筋は悪くないな。あとは実践を積めば俺なんかより強くなるんじゃないか?がんばれよ!」


 へたり込む俺の腕を引き上げ立たせると、背中をバンと叩く。


「ありがとうございました。色々と足りないと実感できました。また手合わせしてください。」


 柄にもなく丁寧にお礼を言う俺に、また背中を叩いて答えるジェイス。


「そうだ、手合わせもそうだが、そのアイスソードってのも見せてくれないか?俺もいくつか伝説級の武器を見たきたがアイスソードは見たことがないんでな。」


 もちろん快くアイスソードを差し出す。


「これが……すげぇ力を感じるな。せいぜい盗まれるなよ。」


「それは俺と契約した剣なんで、実戦では俺しか使えないんです。まぁ、盗まれて売りに出されたらシャレになりませんが。」


「そうなのか。しかし……ヌルヌルするな。何だ?」


 ギルドマスターのベルクに付けられた脂分は拭ったんだけどなかなか取れなかった。ベルクに会うとやっぱりロクなことにならない。

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


手が脂でヌルヌルになるのって本当にイヤ!!耐えられないですよね?(-_-)


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m


毎週金曜日の午前中に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)

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