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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
〜 暗黒編 〜
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【Side:ステラ】黒仮面

挿絵(By みてみん)


 ぐぅ〜〜〜


 はうっ!?突如として寝た子が起きたように泣き叫ぶ腹の虫。香ばしく焼かれ肉汁と脂に濡れた骨付きドラゴン肉を想像したことで、忘れていた食欲に火が点く。


「ドラゴンってどんな味なんだろう?」


「何を言っているんだ?それよりも俺をいつまで焦らすつもりですか?ステラ小隊長。」


 全裸でそそり立つイチモツを握りしめながらクールな顔で迫る変態イケメンのファントマ・K。


「性欲の次は食欲?ずうずいしい女ね、人間のくせに。でも欲に溺れる姿、嫌いじゃないわよ。ウフフ。」


 異形の女悪魔族はうっとりした表情だったが思い出したようにわたしを見つめる。


「小隊長?この人間のガキが?」


 あきらかにわたしの胸を見ながらそう曰う。


「おねえさんみたいに大人な色気の身体じゃなくてスミマセンね!そうです、わたしはゴーファン王宮騎士団小隊長の『ステラ』です。」


「あぁ、この前の武闘会で残った人間が居たと聞いてるわ。『カボチャの悪魔』だったかしら?カボチャというより……ニンジンね。アハハハッ!」


 マジ笑いで爆笑された……


「ところで……」


 女悪魔族の態度が一変し、ただでさえキツイ吊り目から鋭利な刃物のような視線が向けられた。威圧的なその覇気に当てられてか、ファントマ・Kのソレが縮んで行った。


「アタシもそろそろ与えられた使命を果たさないといけなから、戯れはこの辺にして……その黒曜龍を狩らないと。あなた達は……どうしようかしら?ウフフ!」


「おねえさん、わたしはドラゴンの味が気になります。もし倒したら少し分けてもらえないですか?邪魔はしないので。」


「な?」


 ファントマ・Kの口から驚きの声が出る。そうだよね、そういう反応だよね。でもね……さっき人前でわたしに初体験させようとしたアンタも同じですからー!残念〜!!


「だってさ、元々は黒曜龍討伐に来た訳だし、このおねえさんと利害は一致するよね?何よりおねえさん強そうだし。良くない?」


「しかし……黒曜龍との約束はどうするのです?」


 あー、白い剣を抜いて欲しいってヤツか。


「倒すなら抜かなくて良くない?」


「倒せるか……は?」


「おねえさんなら倒せますよね?ね!」


 これぞ羨望の眼差しと言えよう視線を送ると、女悪魔族は悦に入った表情を見せた。


「アナタ達……ヤッてらっしゃい。肉を分けてあげるわ。ウフフ。」


 ダメだコリャ〜!!


 やっぱりこのゴーファンには色々とおかしいのばかりでした。


「俺は監視者なのでパスだ。」


 はい、定形分キター!もう聞き飽きたよ。ハァ……


「に、人間にドラゴンを倒すなんてできる訳ないですよ。分かりますよね?オーケィ?」


「まぁ、そうよね。でもおやりなさい。小隊長なんでしょう?ウフフ!」


 これ以上、この2人と話しても意味ないと悟ると、気が乗らないけど呪文の詠唱に入る。


「あら、人間がそんな魔法使えるのかしら?」


「こんな火口で!?」


 異形の女悪魔族から感心したような言葉が出た。ファントマ・Kからは危機感に満ちた叫びが漏れる。


「知〜らない!はい、『バーニング・ブレイズ・エクスプロージョン』。」


 わたしの頭上に生まれた巨大な火球を溶岩に浸り気持ち良さそうに寝ている黒曜龍ダルクシュレイヴァの背中、つまりわたし達の足場に放つ!


 強烈な爆炎が爆ぜ、炎と暴風の嵐を引き起こす!上空以外ほぼ閉じられた火口内は火炎地獄と化した。


 わたしは左腕の真紅の盾に宿るレッド・ヘルタートルの力を解放して球体状の防御を展開し爆炎からは守られるが、爆風までは防げず竜巻に巻き込まれたように火口内をグルグルと吹き飛ばされる!ただこの嵐が収まるのを耐え忍んだ。


 しばらくしてようやく大気が落ち着きを取り戻し、視界も開けてきた。


「何があったのだ?」


 鎌首をもたげるように辺りを見回す黒曜龍ダルクシュレイヴァ。全然効いていない様子。ま、分かっていたけどね。溶岩風呂で爆睡するバケモノに爆炎魔法なんて効かないよね。


 単に頭おかしい2人からの圧を打開したくて放っただけだから。


「やっと起きた。もう大変だったんだよ。変な悪魔族がダルクさんの命を狙って来たから、わたしが爆炎魔法で守ったんですよ。」


「我の命を?また勇者でも来たのかと思えば、悪魔族とな。そんなのは放っておけ。」


 おー、頼もしい言葉!黒曜龍にとって悪魔族なんて大したことないみたい。なら……


「ち、倒せてないじゃない!」


 溶岩から飛び出して来たのは異形の女悪魔族。こっちは身体中に火傷や裂傷が見られ、それなりにダメージを負ったみたい。でも、流石は悪魔族。あの爆炎爆風と溶岩の中でも致命していないなんて普通にバケモノ過ぎる!


「アレアレ、ダルクさんの命を狙ってる悪魔族。やっちゃってくださいよ、チャチャっと。邪魔で剣を抜くことも出来やしないんですよ〜。」


「裏切るのか、人間!?」


 わたしはダルクシュレイヴァの肩に立ち、高らかに宣言する!


「控えなさい、ダルクシュレイヴァ様の御前である!クズのような悪魔族などに偉大なる黒曜龍に敵うわけあるまい。後悔しながら死ぬがよい!!ウフッフ〜。」


「クズ!キサマ殺す!!」


 形勢逆転!やっぱり強い方に付かないとね。


「アレを始末すればいいのだな。」


 ダルクシュレイヴァは口を開くと、グランツバース砦を壊滅させたブレスを吐く。閃光のようなブレスは一瞬にして女悪魔族を包み込んだ!!


「避ける間もないよね、アレでは……」


「む?」


 女悪魔族が居たところに……人影が……2つ。


「ファントマ……じゃない。誰?」


 惚ける女悪魔族の前には黒衣を纏い、黒い仮面を被った小柄な少女が居た。髪の毛も黒かった。まるで闇を人型にしたような全身黒一色だった。


「遅いですね『ゴミクズ』。黒曜龍の始末……出来なかったのですね?」


「も、申し訳ございません、御主人様!!」


 あの女悪魔族が怯えている。何より……ダルクシュレイヴァのブレスをあの黒仮面が防いだってこと?


「我がブレスを受けて生きているとは。何者だ?」


 それそれ、よくぞ聞いてくれました!


「暗黒龍、その力は御主人様の大いなる糧となるでしょう。」


 ありゃ、質問に答えてないし。御主人様?アンタが御主人様では?でも……聞いたことがある声だなぁ。


「ちょっと、ダルクさんの質問に答えなさいよ。貴女は誰?」


「貴女……は……」


「わたしはゴーファン王宮騎士団小隊長のステラ。『カボチャの悪魔』なんて呼ばれてるけどね、不本意だけど。」


「ステラ……そうですか。わたしは……」


 黒仮面はその名を名乗った。

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


エロ展開から一気にシリアス展開?闇鍋のような回ですね〜。次回、君の名は!(嘘)


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m

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