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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
〜 暗黒編 〜
130/142

【Side:ブレイブ】死んだ魚のような目

挿絵(By みてみん)


「一体どうなってるんだよっ!?」


 訳が分からない状況を俺は言葉で吐き捨てる!


 御主人様である悪魔族レオナール女史の姿が無く、何より具合が悪く目覚めないアリスの姿も無かったことに居てもたっても居られなった!


 街に飛び出した俺は途方もなく彷徨った末、先にアジトを出た半魚人のアニキを見つけて声を掛けた。アニキは河原で立ち尽くしていた。


「アニキィ~!」


 呼ばれた半魚人は視線を向けるが死んだ魚のような目をしていた。


「お前か。ダメだ、見つからねぇ。どうしよう……」


「とりあえず一緒に探しましょう。俺はこの街に来たばかりで勝手が分からないんすよ。アニキと一緒に行動させてください。着いて行きます、アニキィ〜!」


 一緒にいた仲間たちが居なくなり、土地勘の無いこのミッドグルンの街でアリスを一人で探す方法を皆目見当が付かない。会ったばかりだが同じ主人に仕える半魚人のアニキを頼るしか無かった。名前も知らないけど。


「実は……俺も心細かったんだ。いつもはレオナール様が仕切ってくれて、マンティコアの旦那はいつも庇ってくれてたから、いざ一人になるとどうしたらいいか分からなくて……」


「分かります!いままさに俺もそんな感じッス!!二人でなら何とかなりますって。」


 俺は半魚人の手を握りしめ心細い自分に言い聞かせるように励ます。ただ……半魚人の手はヌメヌメして内心ゾワッとした。


「そうだな、一緒に行こうか。何だか勇気が湧いてきたわ。お前もだろ、ブレイブ?」


「そっすね、半魚人のアニキ!」


 俺たちは情報集めのため酒場に行くことにした。


◇◇◇


「かぁーっ!この喉ごし、生き返るぅ〜!!」


 駆けつけ一杯、心身ともに極限状態の連続だった俺にとってこれぞまさに砂漠のオアシス!命を潤す至極の一杯だった。


「おかわり頼みます!あれ?アニキのも注文しますね。追加でもう一杯〜!!」


「いや、俺は下戸なんだ。酒は飲まないんだよ。」


「ゲコ?あんたカエルだったのかよ?ゲコゲコ!ウケる、あはは〜!!ゲコアニキ最高〜!!!」


 ゲコアニキのナイスボケにナイスツッコミを入れた俺は楽しくなって追加の2杯も飲み干した。うっめーっ!


※日本でのお酒は20歳になってから!


「おい、テメーも聴き込みしろよ!」


 ゲコアニキが文句を言いつつ、酒場のマスターに話しかける。聴き込みってやったことないし、知らない人に話しかけるなんてコミュ障な俺にできるんだろうか?


「ココいい?」


 ふと声をかけられ視線を向けると、そこにはダークエルフのお姉さんが立っていた。お姉さんは見上げた俺を凝視して言葉を漏らす。


「やだ……なんて綺麗なの。」


 隣の席に着いたお姉さんは間近でマジマジと俺を見つめる。あぁ、俺の美貌に群がる羽虫の類か。


「超絶美形なんて……よせよ。でも、嬉しいぜ。」


 俺はお姉さんの手を握り隣に座らせる。

 

「うん、うん!超絶美形ねアナタ。名前はなんて言うの?」


「相手に名前を聞くならさ、自分から名乗れよな。やれやれだぜ。」


 そんなそっけい態度も計算の内。なんせ俺は腐るほどギャルゲーをやり尽くした男。今のイケメンダークエルフ容姿に合うちょい悪ホストキャラをロールプレイしてみる。


「ゴメンなさい、アタシの名は……」


 案の定だ。この女、うっとりした瞳で俺を見つめてやがる。チョロいねぇ〜。名乗ろうとするその口を俺の人差し指が遮る。


「いや、名前などどうでもいいさ。それよりさ、人を探しているんだ、レオナールって悪魔族のお姉さんを。あとアリスって言う黒髪の美少女。知らない?」


「レオナールってあの悪名高い詐欺師の?知らないけど……ただ、悪魔族がみんな居なくなったって噂になっているみたい。」

 

「悪魔族がみんな居なくなった?」


 俺はこのダークエルフのお姉さんが知っている噂について話を聞くことができた。


「おい、ブレイブ。その女は何だ?」


 半魚人のゲコアニキが戻ってきた。すると話をしてくれたお姉さんが俺に耳打ちをする。


「ちょっと、コイツってレオナールと一緒にいた奴よね?知り合いなの?」


「あぁ、俺のゲコアニキだが?」


 顔色を変えたダークエルフのお姉さんは席を立って行ってしまった。レオナールを詐欺師って言っていたからその仲間も嫌われてるんだろうな。あ、俺もか。


 それより、いま俺……コミュ障の俺が初対面のお姉さんとうまく話できてなかったか?そういえばパスティーズにもアガることなくセクハラまでできたな。


 このダークエルフのコスプレのお陰かもしれない!


 俺の中でのダークエルフは冷徹で他者を蔑むイメージで、それを演じていたからこそ女性に対してマウントを取れたのかなと。いや、それより……


「ゲコアニキ、情報ゲットしました!沢山の悪魔族が『魔獣の森海』に向かって行ったと。きっとレオナール様もそこにいるに違いありません。行きましょう!!」


「『魔獣の森海』だって〜!?」


 絶叫した半魚人のゲコアニキの目は死んだ魚のようだった!

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


ヘタレブレイブがチャライケメンのように振る舞うとは!そして、ようやく掴んだ御主人様の情報!?舞台は『魔獣の森海』へ!?(°▽°)


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m


毎週金曜日に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)

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