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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
〜 暗黒編 〜
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【Side:ステラ】三者三様!?最後の勝者は誰?

挿絵(By みてみん)


「何故こうなった!?」


 シャドウ・Qは改めて己の甘さを悔いる。仰向けに倒れたシャドウ・Qの上に跨りながら闇司祭見習いのシオンがマウントポジションで微笑む。


挿絵(By みてみん)


 数分前、怖いと言いシャドウ・Qに抱きつき彼の首に回した手の爪で引っ掻くシオン。シャドウ・Qはシオンを突き放す。


「何をし……た?」


 シャドウ・Qは手足の感覚が無くなり倒れる。猫のように這い寄るシオンはそのままシャドウ・Qの上に跨る。


「強い筋弛緩剤です。しばらくは動けませんよ。」


 微笑むシオンの顔が近づく、互いの吐息が分かる程に。


「ね、シャドウ・Q……わたしと付き合って。」


◇◇◇


 ステラとアサシンCを追い、草原で争った跡をアサシンBが発見する。キリコも何か手掛かりがないか周囲を探していた。一点に小石が集中して落ちている所と、少し離れた所に地面を滑ったように草が薙ぎ倒され土が露わになっていた。


「魔獣の足跡はなく、人型の足跡二つだけ。ステラ小隊長とウチのが戦ったと見て間違いない。」


 アサシンBがキリコを聞こえるように言う。


「そんなことするヤツじゃないと思うけどねぇ。」


挿絵(By みてみん)


 何処か棒読みなキリコに、アサシンBが言う。


「ここでは決着が着かず……二人は『魔獣の森海』に入ったようだ。」


 足跡が森に消えていた。


「確かに、ステラの匂いが森に向かっているね。」


 キリコは地面に這い蹲り、鼻を効かせる。


「ところで、キリコ小隊長さんよ。あっしは……リーダー達とは違う。そんな惚けた態度を見逃せるほど我慢強いはないんじゃ。」


 キリコに向けた視線は怒気に満ち、両手にトゲの付いた手甲をキリコに向ける。


「あんた……やる気!?」


 キリコは身構え、自分の獲物に手を掛ける。キリコの武器は腰に帯刀したダガー二本。低い姿勢でアサシンBを威嚇する。アサシンBは他の二人よりパワー重視な印象を受ける。


「どの道、お前達は死ぬ運命。無駄に危険な森に付き合う必要は無いよな?」


「リーダー命令かい?」


「キリコ小隊長は、ステラ小隊長を追い『魔獣の森海』で魔獣に喰い殺された、と報告しとくよ。いいだろ?」


「逆もまた然りだよね?」


 互いに譲る気は無く、死闘の幕が開く。


◇◇◇


 手足は動かないが、口は動く。


「ふざけているのか?殺せ。」


 シャドウ・Qは覚悟し目を閉じる。唇に柔らかいものが触れる。目を開けると目を閉じたシオンの顔があり、くちづけされていた。


「わたし、貴方のことを好きになったんです。愛してます。」


「俺などに惚れる者などいるはずがない!まして、会ったばかりじゃないか!?アンタは確かに……可愛いが、そんなアンタには俺なんか似合わない。高嶺の花だ。」


 シオンから目をそらすシャドウ・Q。


「恋に理由なんてありません。信じてください。」


 目を潤ませるシオンにシャドウ・Qは言う。


「俺のマスクを取り、素顔を見るがいい。」


 言われる通り、マスクを剥ぐシオンが見たのは、悍ましいものだった!顔の皮を剥がれており、鼻や耳は削がれていた。ゾンビと言っても過言ではないものだった。


「我ら『影』は多種族で構成されているが、『影』になった時点で種族を捨てる。皆等しく肉体も魂も悍ましい『影』となるのだ。分かったか?」


「カッコイイです。使命にその身を捧げる姿、ますます惚れました!あらためて、お慕いしています……シャドウ・Q。」


◇◇◇


 アサシンBは10匹の狼に囲まれていた。


 ワーウルフであるキリコが眷属たる狼を呼び寄せていた。野生の狼だけにちょっとの油断で喉元を喰いつかれかねず、アサシンBは攻めあぐねていた。


 狼から襲いかかってくれば撃退は容易だが、狼達は取り囲むだけでむやみな攻撃はしなかった。それだけに厄介であった。


「喰らえ、我が疾風迅雷『ライトニング・ファング』!!」


 半獣人化し雷をその身に纏ったキリコの奥義!『王宮武闘大会』でも使うことは無かった奥の手。それを使うことになるほど、アサシンBは強敵だった!


 閃光と化したキリコは縦横無尽にアサシンBの肉体を切り刻み、全身が鮮血に染まる。


「ぐあぁっ!凄い技だぁ!!小隊長のレベルを超えてるな、お前。貴様も喰らうがいい、わが必殺の『ワン・アタック』!!!」


 右腕の筋肉が異常に隆起し、渾身の一撃を大地に叩きつける!大地がアサシンBを中心に陥没し、反動で広範囲に石飛礫や土砂が急速に舞い上がる。


 何匹かの狼は巻き込まれ倒れる。


 飛び回るキリコはその範囲に居たため、飛び散る土石をその身に受ける。


「がっ!!」


 上空に吹き飛ばされ、落下するキリコの真下にはアサシンBが拳を構える。


「トドメだ!『ワン・アタック』!!」


 今度は落ちてくるキリコに直接放つ!キリコは力漲る拳に襲われるが、拳は空を切る!キリコが消えた。


「何だと??」


 5匹の狼がアサシンBの身体の急所に深く噛み付き、喉元を喰いちぎった狼が語る。


「さっきのは残像だよ。舞い上がる土石で判別出来なかっただろ?正解はここ!」


 狼が獣化を解く。キリコは全裸だったが気にすることは無かった。何故なら、死にゆく者に見られても構わなかったから。


「わたしを完全な狼形態にさせた相手は久しぶりだよ!リーダーに伝えて欲しいことは?」


 キリコはせめてもの手向けに希望を聞くが、喉元を噛み付かれ言葉は出せなかった。ただ、首を左右に振り、そのまま静かにうなだれ動かなくなる。


「折角来てもらったけど、流石に『魔獣の森海』にお前達を向かわせる訳には行かないな。来てくれてありがとう。また何かあれば呼ぶから。気をつけてお帰り!」


 キリコは眷属たちに礼を言うと、狼たちは去っていく。


 襲ってきたアサシンBを倒したものの、キリコはシャドウ・Qにどのように説明するか迷い、頭を抱えて考え込んでしまう……裸のままで。


◇◇◇


 その頃、シオンとシャドウ・Qも佳境を迎えていた。


「毒を盛って告白するなんて聞いたことがない。いつもこんなことをしているのか?」


 乙女心を無視しているがもっともな質問をするシャドウ・Qにシオンは答える。


「シャドウ・Q、貴方が初めてです。」


「信じ難いな。」


「ヒドイ!わたし、過ぎたことは忘れちゃうんです。だから……これが初めてなんですよ。」


 溢れる笑顔で返すシオンに呆れるシャドウ・Q。


「本当に……こんな醜い俺でいいのか?シオン。」


 シオンはハートを撃ち抜かれる!意中の相手に名前を呼び捨てにされ、シオンのテンションが上がる!!


「この姿も含めて、貴方を愛しています。わたしの伴侶になってもらえますか?」


 『影』として生き『影』として死ぬと決めた生涯と思っていたが、そんな自分を慕ってくれる女性が、しかも絶世の美少女に告白されるなんて、一生に一度だけのラストチャンス!!


 毒を盛る位の女が『影』である自分には丁度良いとも思った。


 シャドウ・Qはシオンに盛られた『愛』という毒に侵され……返事をする。


「はい。」


 二人は再びくちびるを重ねる。

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


ステラ回ですがステラ登場せず。ステラがいなくても面白くなりますように~。(´ー`)


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m


毎週金曜日に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)

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