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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
〜 暗黒編 〜
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【Side:ステラ】アテ無し、脈アリ?大どんでん返し!

挿絵(By みてみん)


 いよいよ人狼キリコと闇司祭見習いシオンとわたしの3人による『黒曜龍ダルクシュレイヴァ』討伐が始まる。


 今いるグランツバース砦から王都ゴーファンに戻る途中で魔獣の森海に入り、その奥地にあるサスロザ火山の火口が黒曜龍ダルクシュレイヴァの住処だという。


 サスロザ火山の火口まで登山するには険しく、お約束のように山内に張り巡らされた洞窟を抜ける道があるらしい。しかし、それもどこまで本当かも分からない。道案内がいる訳でもないから。


「キリコの鼻と野生の勘だけが頼りだよ。」


「それはいいけどさ……今更だけど、黒曜龍を倒せるアテはあるの?」


 キリコの問いに沈黙をもって答えてみる。


「ノープランなのかぃ。ハアァァ〜。よく黒曜龍討伐なんて言い出したものだよ。」


「いやぁ、アイツが怯んで折れると思ったんだけど、アテが外れちゃったよ。で、黒曜龍を倒すアテも無いと。まいったまいった!あは。」


 暗黒龍襲撃で任務に失敗したわたし達をクソミソに罵倒したグランツバース砦の長にして馬人ベックスガルを煽ったところ、ブーメランが返って来てしまった訳で……。


「あは、じゃないよ。」


 アテの無い片道切符を憂うキリコ。


 多分、シオンのことを気にしているのだろう。ポワンとしたシオンにこの任務には耐えられないだろう。何故なら、先の黒曜龍襲撃時には腰が抜け、人間の男性におぶってもらい砦まで連れて行ってもらったのだから。


「キリコ隊長、ステラ隊長、わたし回復魔法で支援頑張りますから、安心して龍退治してください!」


「う、うん、支援頼むよ、シオン。」


 何処か他人事に聞こえるが間違ってはいないので、とりあえず返事をするキリコ。


「しかし、アレはイヤな感じだね。」


 わたしは後ろを伺いながら、キリコとシオンに言う。その視線の先には黒ずくめの3名が5m後ろをピッタリ付いて来る。


 砦長ベックスガルがわたし達に付けた監視で、身なりや体捌きからアサシンであると思われる。


 顔は黒い布を巻いていたので分からないが、声から男性で、身長は小柄で細めだが無駄の無い柔軟な筋肉が印象的だった。暗殺や尾行の専門家ならではと言った風体で、逃げても逃げ切れるとは思えない。倒せるかどうかも微妙であった。


 出発時にその一人、リーダーと思しきアサシンから挨拶があった。


「我らは監視者にて、貴女方の任務の邪魔はしません。襲うこともしません。ただ、助けもしません。見ているだけです。ご武運を。」


 それ以来は近づくことはなく、会話も一切ない。


「でも、クールでカッコイイですよね?アサシンかぁ、あんな彼氏がいたらいいなぁ〜。さっきの話し声も渋くてドキドキしちゃいました。顔もカッコイイんでしょうね、きっと。」


 シオンはハーフダークエルフで年齢は19才だが背格好はわたしと大差ない。肌色はハーフのためかダークエルフとは思えない色白美少女だった。かぁ〜、羨ましい!


「じゃあ、シオンの可愛さでアイツら落として来てよ。」


 冗談交じりにけしかける。


「え〜、できるかなぁ?自信ないなー。」


 そう言うとアサシン達に駆け寄るシオン。わたし達は目を疑う!


「ちょ!?待てって、シオン!!」


 さっきのアサシンリーダーに話し掛けるシオンは、すぐに落ち込んだ感じで戻ってくる。


「大丈夫か?何かされなかったか?」


 キリコが心配する。


「フラれました。キミは美しくチャーミングだけど、闇に生きる俺には眩しくて手の届かない、日向に咲く一輪の花だ、って。」


 んん??何それ、脈アリじゃん!?とてもアサシンの言葉とは思えない返しに驚く。そして、そう言わしめたシオン、流石の美少女っぷりに脱帽!ただ、脈アリと気付かない天然さにも脱帽。


「なんだ、フラれたのかー。残念だったな!気にするな。」


 キリコはシオンの背中を叩いて慰める。アサシンのシオンに対する言葉に何も感じてなさそうなキリコの恋愛脳の欠落。もう、脱ぐ帽子も無い。ま、自分の恋心にも気付かない位だから仕方ないかと諦める。


 襲わないと言ったが、こっちは女子3名で、あっちは男性3名。やはり警戒はしないとなと思った。


◇◇◇


 魔獣の森海……その入口に立つキリコ・ステラ・シオン。


 わたしにとってはこの異世界に降り立った始まりの地。そして、一命は取り留めたもののボロ雑巾にされた嫌な思い出の場所に再び来ることになるとは思わなかった。しかも今回、何だかんだ頼りになるヴェイロンは居ない。


「因みに、この森に入ったことある?」


 キリコもシオンも首を振る。


「この森は禁忌とされてて、この国の民なら間違いなく入らないよ。入った者は大抵帰らないから。まぁ、冒険者の話ではどこまで行ったなど自慢話のネタにするのも居るが、どこまで本当かは分からないかな。確かめようが無いからね。」


 キリコが知るのはこんなところだった。


「そういえば、おじいちゃんが『魔獣の森海』だけは入るなって言ってました。どうしよう〜?」


 何の参考にもならない情報ありがとう、シオン。


 後方5mのアサシン達にも聞いてみる。


「貴方達はこの森に入ったことはあるの?」


「無い。」


 アサシンズもまた一様に首を振る。


 何ということか!この世界の住人が来たことのない魔境の体験者が、異世界から来たわたしだけと言う事実。


「やっぱり行く……の?」


 ついぞ言えなかった言葉を口にしてみる。聞いて固まる二人。続けてわたしはキリコとシオンの耳元で囁く。


「三人でアサシンズを倒した方が楽勝だよ?シオンはリーダーを色仕掛けで懐柔し、残り二人はキリコとわたしで始末する。オーケィ?」


 更に固まる二人!


「い、いま言うか!?」


 動揺するキリコ。


「だって……キリコは任務に忠実だったから言えなかったんだよ。」


「わたしだってこの森だけは入りたく無いし、ましてあの黒曜龍と戦うなんてあり得ないと思ったけど……わたしも言えなかったから同じか。ゴメン。」


 わたしとキリコの会話にシオンも加わる。


「わたし頑張って彼を振り向かせてみせます!」


 あれ?その頑張りの先には何があるのだろう?愛の逃避行かな?と疑う。


「じ、じゃあ……『ヤる(殺る)!』ということで良いかな?」


 最終確認に同意するキリコとシオン。わたしは更に作戦を伝える。アサシン達はそんなわたし達をじっと見つめていた。振り向いたわたしはアサシン達に告げる。


「君たち、ちゃんと着いてくるんだよ!よーいドン!!」


 すると、キリコとシオンが森の外周を右に走り出す。わたしは逆方向に走り出す。


 監視役のアサシン達は当然三人を追いかけるのだが、問題はどの組み合わせか?


 つまりは、キリコ・シオン組に、アサシンのリーダーが含まれるかどうかであった!


 そのため、キリコ・シオンは全力疾走するが、わたしはアサシンズがどう別れるかを走りながら確認する。


 果たしてアサシンズはどう動くのか!?

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


暗黒龍狩りと思いきや、暗殺者狩りに舵を取るステラたち。そりゃどちらかと言えばだけど……。苦肉の策なんでしょうね。(^▽^;)


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m


毎週金曜日の午前中に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)

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