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異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
〜 暗黒編 〜
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【Side:ブレイブ】形を変える

挿絵(By みてみん)


 パスティーズの精霊魔法のおかげで巨大なウッディパペットと化したパチャムを無事に救出できた。その後、湖に沈んだパスティーズの槍を探し……ハプニングというか……ラッキースケベ発動!


 グルゼル湖の湖岸、俺の隣に並んで腰掛けるパスティーズ。


「どんだけ行水してなかったのよ。あんなに汚かったのに、すっかりキレイになったね。よく見ると……カッコイイね。」


 ようやくかよ、この人間は。この俺の洗練された造形美に今頃気付くとは。だが……良い!もっと讃美して良い!!


「だろ?俺の美貌に気付かないなんてお前の目は節穴だな。別の穴は大丈夫か?まったく。」


「別の穴?そんなことより、早く司祭様を医者に連れて行かないと。」


 そうだった!コイツとくだらない雑談をしている暇は無かった!!


 パチャムを救うことはできたが、まだパチャムは安全とは言えない。そして……俺にはまだやることがあった。最愛のアリスを悪魔族のレオナールに預けてしまったし、俺自身のレオナールとの奴隷契約のこと。そしてファナは解放したと言うが、この目で安否を確認するまでは安心できない。問題が山積している……。


「パスティーズ、頼みがある。パチャムを医者に連れて行ってくれないか?俺にはまだやらなければいけないことがあるんだ……頼む!」


「それはいいけど……アタシのお願いも聞いてくれる?」


 交換条件ってことか。コイツにはパチャムを救ってもらった恩があり、いまもパチャムを預かってくれると言ってくれた。それに……散々セクハラしたしな。そんなパスティーズの願いのひとつも聞いてやるのも悪くないだろう。


「分かった分かった。全てが終わったらお前の願いを聞いてやる。それまで待ってくれ。」


「うん。」


 そして俺たちは……衣服を着てから別れた。


◇◇◇


「これでよし。」


 俺は再びダークエルフ姿に変装をした。


 パスティーズと別れる際、あいつのマントを半ば強引に譲り受け、エルフと気付かれないよう肌を隠すようにマントを深く被り、何とかミッドグルンの街に取っている宿屋まで辿り着くことができた。


 返す刀で御主人様のレオナールが待つアジトまで走った!建物に入るとそこにはレオナールの手下の半魚人が背を向けて立っていた。


「あの、戻りました。半魚人のアニキ……何してるんです?」


 半魚人の前にあるのはマンティコアの死骸。


「え!死んでる?どうしたんですか?」


「ヒッ!お、俺じゃないぞ。戻ったらコイツが死んでいたんだ。レ、レオナール様も居ないし……どーなってんだよ!?」


 よく分からないが、半魚人は相当狼狽えていた。


「あのぉ、アリスはどこですか?」


「アリス?知らねーよ!と、とにかくレオナール様を探してマンティコアが殺られたことを報告しねーと。」


 半魚人は落ち着きが無い様子でアジトを出て行ってしまう。レオナールを探しに街に出たのだろうか?


 ミッドグルンの街に土地勘が無い俺はどうしたものかと戸惑っていた。半魚人を追って一緒に街中を探すか、単独で探すか……。ダメだ、考えが纏まらない。目まぐるしく色々なことが重なり、正直心身共に疲労困憊だった。


 とりあえず椅子に座って休むことにする。椅子に座りそのままテーブルに突っ伏すと、額を鈍器で殴られたような激痛が走る!


「あぃったぁぁぁーっ!!」


 誰だテーブルにこんな硬いモン置いたのはっ!それは……細かな装飾が施された氷の剣だった。


「あ、スノーホワイト。ここにあったのかよ。」


「(ようやく気付いたか、主よ。精も根も尽き果てた酷い顔じゃな。目は節穴になったか?)」


「あぁ、会いたかったよ、スノーホワイト〜!心細かったんだぜ。もう、お前無しではいられないよ!!」


 俺はスノーホワイトを抱きしめて何度もキスをした。


「(主よ……そんなに我を好いていたのか?可愛い奴め。)」


「もちろんさ、愛してるぜぇ~スノーホワイト!そうだ、ずっとココに居たならレオナールがどうしてたか知ってるか?」


「(レオナール?あぁ、悪魔族の女か?)」

 

「そうそう!俺の御主人様のレオナール。」


 しばらくの沈黙の後、俺は耳を疑う。


「(あれは……死んだぞ。)」


「死んだ?いや……それは無い。レオナールが死んだら俺も死ぬんだし。俺生きてるし。」


「(そうか、形が変わったのか。だが……あれは死に等しかろう。それよりも危惧すべきは……黒き者よ。)」


 訳が分からない俺にスノーホワイトは答えをくれた。


「(黒き者……アリスだったか。)」


「アリス?どういうことだよ、スノーホワイト!?」


 そこで俺は気付く、テーブルに光る銀色の指輪に。そうだ、これはアリスが着けていた指輪。一度だけアリスが魔法少女に変身した時に天高く掲げた指輪。それが……指輪だけが置いてあることに違和感を覚える。


「アリスは?アリスはどうしたのさ!?」


「(そう……アリスもまた形を変えたと言えよう。そのアリスが言っておったぞ……『もう会えない』とな。)」


 スノーホワイトの言葉はハッキリ言って抽象的過ぎてやはり分からなかった。だが、最後の言葉にだけはハッキリと感じられた、嫌な予感を……。


「アリスを探さないと。スノーホワイト、アリスはどこなんだ?」


「(……知らんし。)」


 知らんのかい!!あーーー、クソッ!!!


 俺は無我夢中で走り出した。

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


愛おしいアリスのことになると居ても立っても居られないブレイブ。嗚呼、無常……


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m


毎週金曜日に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)

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