表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも魔法少女となら大丈夫だよね!?  作者: 古土師 弥生
〜 暗黒編 〜
108/142

【Side:ステラ】青い稲妻

挿絵(By みてみん)


 ガコンッ!


 重い音が響き石壁が開く。


「はー、やっと帰ってきた〜。」


 わたしは敵国スピリットガーデンの観光、もとい偵察を終えてゴーファンに戻る。


 行きと同じく、デネブから教えてもらった南瓜亭かぼちゃていの地下室にある抜け道を使った。


「もう我慢できない!」


 階段を駆け上がり飛び込んだのは……浴場!


「はぁぁぁ〜、身体の疲れが溶けていく〜〜〜。」


 南瓜亭には地下深くから湧き上がる源泉かけ流しの岩風呂があり、疲労回復はもちろん美容効果もありお肌ツルピカになる!サイコー!!


「戻ったのかいステラ。」


 浴場に入ってきたのはロリボディなデネブだった。本当に小学生中学年くらいのツルペタだなぁ。これで300歳超えてるんだからダークエルフってのは凄いなぁと感心する。


「ただいまデネブ。スピリットガーデンは遠いね。疲れたよー。」


「無事で何よりだよ。問題なかったかい?」


 デネブは湯船に浸かるわたしに重なるように座る。


「わたしは椅子なの?」


「う〜ん……柔らかいモーリスのまくらとは違うなー。」


 頭を胸に付けたデネブは不満そうに言う。サキュバスのモーリスの豊満なおっぱいと比べられたわたしは何も言えなかった。


「わぁ!やめてよステラ〜。」


「大きくするには揉まれるのが一番らしいよー。あはは〜!」


 湯船で一通りはしゃいだわたし達は、再び湯船にゆっくりと浸かる。


◇◇◇


「そんなことをしてきたのかい?やれやれだね。でも、ジャック・オー・ランタンは役に立ったようで何より何より。」


 スピリットガーデンでの出来事を話すと呆れた様子のデネブ。魔法少女変身に必要な魔力変換をしてくれるジャック・オー・ランタンだが、精霊樹では機能しなかったのは聖なる魔力が極端に強い場所では活動できないようだ。何せ魔界の魔物だから。


 また、ジャック・オー・ランタンはわたしとの使い魔契約により、離れてしまうと帰省本能でわたしのところに戻ろうとし、その際、障害があると敵対行動に出るらしい。


「スピリットガーデンでは白衣の魔法少女に変身したのなら、精霊王の聖なる魔力が強かったからかもね。こっちでは魔獣王の魔界の魔力が強いから黒くなるのかもね。知らんけど。」


 なるほどなるほど。色の違いは使う魔力の違いなのか。以前、黒衣の魔法少女での魔法は使ったことのないものだったから、単純に色の違いはではないのかも。ゴーファンの地なら黒衣の魔法少女にしかなれないから、ゆっくり黒衣の力を試してみようと思った。


「で、敵を見に行ってどうだった?皆殺しにできそうかい?」


「皆殺しって。そんなのできないよ。」


 デネブは驚いた顔を向ける。


「できないって……ナイスジョークだよ。」


「どゆこと〜?」


 わたしもまた驚く。


「だって敵なんだよ?殺さなきゃ。」


 デネブは真面目な表情で怖いことを言う。


「敵だけど、皆殺しにする必要無くない?敵を降伏させれば良いでしょ?」


「そんな甘いこと言ってると逆にやられちゃうよー。敵は殺す……これ常識。オーケィ?」


「お、覚えておくよ。ハハハ。」


 お風呂で疲れを癒したわたしは王宮騎士団の詰所に向かった。キリコにサプライズ報告をするために。楽しみだなぁ〜!


◇◇◇


 楽しみにしてたのに、何でこうなったんだろう?目の前のキリコは殺気に満ちていた。


「ステラ、役に立たない小隊長なんて邪魔なだけだ。つまり、今のわたし達は敵同士。殺す!」


 何て悲しいことを言うの!?キリコは一番の仲良しだと思っていたのに……。


「本気なの?」


 キリコから返事は無いが、その刺すような視線が本気だと語っていた。キリコの全身が青く輝き始めた。これは!?


 キリコの姿が消えた。


 わたしは背後から乱打を受けて吹き飛ばされる。とばされながらもまだ激しい乱撃を叩き込まれた!ようやく地面に叩きつけられて止まった。


「流石だよ、ステラ。今ので普通なら五体バラバラになってるハズなのに。」


 立ち上がるわたし。全身にはおびただしい傷が付いていた。出血もしている。


「こっちこそ驚いたよ。魔法装衣をここまで傷つけるなんて。今度はこっちの番だよ。」


 再び消えたキリコ。その身に青い稲妻を纏ったキリコは身体能力と攻撃力が飛躍的に向上しているのだろう。わたしの身体強化魔法に近い……いや、雷による付加攻撃も加わり半端ない能力だ。


「殺す!『ウルフファング・ストライク』!!」


 消えたキリコがどこにいるのかまるで分からない。音だけが辛うじて聞こえるけど……。こっちの攻撃を出す暇なく激しい嵐に巻き込まれたような乱撃が降りしきる!


 魔法少女の衣装は受けるダメージをかなり軽減してくれるのに、一撃一撃から伝わる痛みはまさに全力での攻撃だと分かる。


「終いだ!」


 キリコの牙が見えたのはわたしの喉に届く刹那。猫だましなど出す暇ない。


◇◇◇


 走馬灯ってやつかな?


 レールガンで打ち出されたような目にも止まらぬ速さのキリコがスローモーションに見える。


「殺っちゃいなよ、そんなヤツ。敵なんだからさ。」


 聞き覚えのある声がそう促す。


 わたしの声?


「そんなこと!?」


「じゃあ、こんなところで死んでいーんだ。へぇ〜。」


 死ぬのは……ダメだ。元の世界がどうなっているのか確かめたい。敵に殺され、身体を奪われた魔法少女アリス。そのアリスもどきがどうなったのか?ソイツがまた世界を襲ったら?魔法少女ノエルが残ったとしても、ノエルだけで戦えるの?


 やっぱりわたしは戻らないと!家族や友達、そして世界中の人々を守らないと!!


「だからさ……死ねないよね?いつも通り殺ればいいんだよ、魔物や魔王を殺してきたようにさ。簡単だよね?」


「そう……だよね。敵は倒してきた。同じ……かぁ。」


 頭が回らない。まどろむように、落ちるように……


◇◇◇


「できる……じゃない……ぐふっ。敵は殺す……忘れない……で。さ、殺して。」


 わたしはキリコの首を掴む。少し力を入れれば折れる。ためらいはなかった……だって敵だから。


「死ね。」

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


仲良しだった人狼キリコと魔法少女ステラの険悪ガチバトル!?こんなふたりは見たくないのにー!どう落とし前つけるのだろう?(´・ω・`)


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ