エルフ親子と変人ドワーフ
ちょっときつめなセリフが入ってますがご了承ください。
「私は転生というものをしてしまったのだろうか」
転生?まさか…それはアニメの世界での話でしかないでしょ…。ない…よね…?で、でもあの時確かに私は死んだはず…車に轢かれて「本当は生きてました!」なんて事ある訳ないし…
「お姉ちゃん!お母さんが朝ごはん冷めちゃうからはやくだって!」
階段の手すりにつかまって頭だけを出してそう言ってきた。
「う、うん。今行くね!」
今更色々考えだって分からないし、今はこの世界を楽しもうかな!お腹も空いたし、早く彼女の母親の所へ行こう。
少し急な階段を降りると色々な人が居た。料亭なのだろう。彼女がエルフだったからてっきりエルフの村かと思ってたんだけど…ドワーフに獣人、ハイエルフ、ダークエルフ、ドラゴニュート、ハーフリング…こんなに様々な人種を一気に見られるとは…いや、そもそもエルフって警戒心強かった気がするんだけど。
「そんな所で立ち止まってどうしました?」
背後から声をかけられ振り返ると、女性のエルフが優しく微笑んでいた。
「あ…すみません…!沢山の人達が居たので少し驚いていて!」
「あら…もしかして私達がエルフだから警戒心が強いのではと思ったのですね」
私達…?
「えっと…私達…というのは?」
私は彼女が1人にしか見えなかった。
「ふふっ 貴女を下へ呼んだ子が居るでしょう?あの子は名をフィーゲル=アリアドネといいます。私はその母フィーゲル=セレティアと申します。」
あの子の母親だったのか!確かに眼の色は違うが、容姿はとてもそっくりだ。
「あ…!わ、私の名はシュラン シンリュウです!シュランとお呼びください!」
わかりましたという返事をし、彼女_セレティアさんは料亭の中へ入っていった。後を追うように私も足を踏み入れた。
「美味しかったです!朝食ありがとうございました」
「喜んでいただけて良かったです!」
セレティアさんが笑顔で言った直後、ただいまという優しい男の人の声が響いた
「おかえりなさい!お父さん!」
「あぁ、ただいま。良い子にしてたか?」
「うんっ!!」
アリアドネの父親が帰って来た。セレティアさんから聞いた話では、彼は街の門番をしているらしい。確か名前は…
「ゲリアス、おかえりなさい。」
「あぁ、ただいまセレティア」
そう、ゲリアスさん。アリアドネによると2人はラブラブらしい…15年も一緒にいるのに。いいよね憧れるわ。まぁ、こんな女剣士に近寄って来る男なんていないわw
ははは…と苦笑いを浮かべると近くの席に座っていたドワーフが話しかけて来た。
「なぁ…あんた…」
「何ですか?」
「そ、その…ワシは…あんたが好きだ!!」
………は?何言ってんのこのドワーフ…。名前も知らないし、それに会うの今日が初めてだよね?まさかストーカーだったり…!?ってな訳ないか。
「え、えっと…私達今日初めて会いましたよね?」
「あぁ…!そうだとも!!」
「あの…何に惹かれたんでしょうか…」
するとドワーフは顔を赤くして
「そ、その…細くて力強い腕で…ワシの事を…鞭で叩いて欲しいのだ!!」
………は?(2回目)いや待って…まさかこのドワーフ…ドMですか?そうだよね?確かに言ったよね?叩いて欲しいって。んー…人生で2回目の告白がこれかぁー…私って変人に好かれるのかな?(失礼)
「…ごめんなさい。私、ドワーフは好みじゃないの」
口を開けて固まっている。少し申し訳ない…
「んんんっ…!!!良いっ!!もっと…もっと罵ってください…!!」
前言撤回、気持ち悪いわ。
読んでいただきありがとうございます!