魔法を習得するには。
”崖から落ちる。“
マロリオンが言った浮遊呪文の獲得方法だ。
いったいどういう事だろうか?
「俺が住んできた山の近くにあるエルフの村。
村の近くの谷に下からものすごい風が吹く場所がある。
その風が吹く場所から落ちるんだ。」
ごく普通に言うマロリオンに対してミハイルは恐るおそる尋ねる。
「で、その崖はどのぐらいの高さにある?」
本当に崖の上から落ちるのか、落ちても安全な距離だとかを期待している様だった。
だがマロリオンの答えは、
「そこが暗くて見えないかな?
崖の上から底まで百メートル以上はあると思う。」
「ひゃ、百メートル!!死ぬだろう、そんな高さから落ちたら!!」
ミハイルの言葉を聞いてマロリオンはニヤリとした。
「ところが、死なないんだな。
そもそも下まで落ちないし。」
下まで落ちない?
少し気になって僕もマロリオンに尋ねてみる。
「なあ、マロリオン。
下まで落ちないと言うのは、
落ちる途中で浮遊の呪文が使える様になるからか?」
僕の疑問を聞いたミハイルは“そうなのか?”と言う顔をしてマロリオンを見た。
「いや、残念ながら違うよ。
それで浮遊の呪文が使える様になるならもう少し楽なのだけどね。
下に落ちないのは、ただ単に谷底から猛烈な風が吹いて体が浮き上がるからだよ。」
マロリオン曰くそうやって浮く感覚を覚えるのが浮遊の呪文習得の一歩だそうだ。
「でもそんな場所がない場合はどうするんだ?」
ミハイルの言う様に
体が浮く感覚を覚える様な谷底が無い場合、どうやって覚えているのだろう?
その疑問もマロリオンは答える。
「浮遊の呪文が使える魔道具を使うんだ。
それで浮遊の呪文の感覚を覚える。」
特殊な場所がない種族は魔道具で呪文を覚えている。
魔法使いに貴族が多いのはその名残だ。
呪文を覚える為の魔道具は高価で一般市民の手には入らない為だ。
それ以外の方法としては、
憶えたい呪文を体に受けたり、
憶えたい呪文に似た効果を体に受けたり、
憶えたい呪文の反呪文を体に受けたり・・・。
「全部体で受けるじゃないか!」
ミハイルは少し憤慨したが何かに気付いたのかマロリオンに質問する。
「そ、それじゃあ水を被ったことのある俺は水の魔法が使えるのか?」
「水を被った場合か・・・ そうだな。」
マロリオンは少し考え呪文を唱えた。
一瞬、ミハイルの周りに白い光の輪が現れる。
「・・・残念ながらミハイルは水の魔法は使えない。
可能性は無いとは言えないが可能性はかなり低いよ。
水の魔法も何回か体験してやっと使える様になるものだ。」
似た効果を体で受ける方法は可能性が低い様だ。
「他にはよく使われる方法は魔道具によるものだな。
例えば・・・」
マロリオンは懐から木の棒を取り出す。
木の棒の周りに魔法陣らしい模様が刻まれ、先に魔石が取付けられている。
「これは鑑定の魔道具だけど、これを使えば鑑定の呪文を覚える可能性がある。
比較的憶えやすいけど、コストがかかるのが問題だ。」
そう言ってマロリオンは僕やミハイルに鑑定の魔道具を見せると丁寧に布に包み懐に入れた。
この鑑定の魔道具一つでも価格は高いらしい。
魔道具は増えているがまだまだ高い物らしい。
一般家庭でも持っていることは稀だ。
昔はもっと少なかったと聞く。
では、昔の人はどうやって呪文を使える能力を獲得したのだろう?
「それはギフトだ。
ギフトの中に呪文を習得する物、させる物があったり、
呪文に似た効果になる能力も存在するからね。」
なるほど、ギフトか。
ギフトによって呪文に似た効果なら呪文を使えるようになるのか・・・。
・・・?
あれ?
究極流星乃嵐って散々撃った様な。
確か、50,000,000本ほど・・・。




