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お前はアルバート商会の!!

寮は元々、使用人たちの寮として利用されていた。

その為の各部屋にはベッドや寝具、クローゼットは備え付けられている。


僕らにあてがわれた部屋は301号室だ。

この部屋は三階の一番奥にある部屋で、

窓から向かい側の女子寮が見え、下に目を移すと別邸の裏庭が見える。

裏庭にはベンチで休む人や裏庭を通り別邸に移動する人たちもいるようだ。


別邸に移動するのに寮からだと裏庭を通るのが近道らしい。


「ふむ、いい眺めだな。

この下の部屋はミハイル君達の様だな。」


耳を澄まさなくてもミハイルの声が聞こえる。


「本当だ。

相変わらずミハイルは騒がしいが・・・ 同室は誰だろう?」


「たしか、君の所のマロリオンだったよ。」


ミハイルはエルフのマロリオンと同室らしい。

物静かなエルフにとってミハイルは少し騒がしいのではないか?と考えたが、

(スカディ先生にも何か考えがあるのだろう・・・)

僕は気にしないことに決めた。


「荷物を置いたことだし、別邸の広間に行こう。

裏庭を通ると近いみたいだよ。」


広間に移動しようとゼフィールを誘う。

と、その時裏庭から怒鳴り声が聞こえた。


「何だと!貴様もう一度言ってみろ!!」


裏庭が何やら騒がしい。

獣人族ビーストの少年と貴族の少年が言い争っている様だ。


「ふ、何度でも言ってやる。

お前たち真獣人や獣付きが何故ここに居ると言ったのだ。」


「言わせておけばヌケヌケと!!」


「カズサ、うちは良いからここは我慢して。」


「シオリだ、でも隣は誰だ?知り合いか?」


カズサと言われる狼型の獣人族ビーストは狼がそのまま人間になった様な姿をしている。

対して、シオリは狼の獣人族ビーストに属するが人間の一部が狼になった様な姿である。

この様な獣人族ビーストを獣付きと言うのは彼女を侮蔑する言葉、

所謂、差別用語だ。

同じ様に、真獣人と言うのも“人間の姿をしているが真は獣である”と言う差別用語である。


獣人族ビーストと人間の間に生まれた子供の多くはシオリの様な体の一部に獣の要素を持つ姿をしている。

(ほとんどが耳と尻尾だけが獣のそれという姿である)


ただ、獣人族ビーストは姿かたちにこだわらない種族である。

同じ様に育ったなら兄弟であり、友である。

そしてそんな彼らの絆は深い。



「ククククク、ケモノ同士お似合いだよ。」


「ガァッ!!もう我慢ならねぇ!!」


カズサは今にも掴みかかろうとする。

それに対する貴族の少年は挑発する様にニヤニヤと笑っているだけだ。


(不味いな。あの貴族、剣を持っている。

止めなくてはどちらかが怪我をする。)


僕は三階の窓から飛び降りた。

そして手のひらを地面に向ける。


(着地の衝撃を収納!)


ギュンと言うような感覚と共に着地の際に起きるはずだった衝撃が収納される。

そしてもう一方の手の平を水平に向けると


(収納した衝撃を後ろに放出!)


ドン!という音と共に僕は猛スピードで彼ら二人の間に割り込んだ。


(右手の収納対象を剣に、左手を拳に)


僕の左右の手の平に同心円状に波打つ銀色の円盤が出現する。


ギャイィン!!


ガシッ!


僕の右手は貴族の剣を弾き、左手は獣人族ビーストであるカズサの拳を弾いた。

どちらも驚いているが大きな怪我はなさそうだ。

僕はほっと一安心としていると貴族の少年が叫ぶ。


「銀色の円盤!そうかお前はアルバート商会の!!」


「覚えていただき恐縮です。

僕をお見知りおきならばここは引いてくれませんか?」


「・・・ちっ!」


貴族の少年は舌打ちをすると何人かの少年を引き連れ去っていった

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