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世界はギフトで出来ている。

”世界はギフトで出来ている。”


何処かの偉い人がそう言ったらしい。

その偉い人が言う通り、この世界に住む人々はギフトを最低1つ持っている。

多い人で2つ、最大で3つ。


僕の名前はニコラ。

この僕にもギフトが一つある。

全く役に立たないけど・・・。


僕は農家の三男の生まれだ。

家にはデン兄さんとカルス兄さんがいる。

両方ともいたって健康で風邪一つひいたことが無い。

だから、三男である僕に耕作地はまわってこない。


デン兄さんもカルス兄さんも

「気にすることは無いよ。どうせなら一緒に働けばいいじゃないか。」

と言ってくれている。

でもそれではいけない・・・らしい。


父さんが言うには、


「はじめは良いかもしれん。

が、嫁をもらうようになるとそうは言っていられなくなる。」


仲の良い兄弟であっても、骨肉の争いに繋がるそうだ。

骨肉と言うのがなんだかわからないけど、一緒に働くのはだめらしい。


と言うわけで、僕は一人で生きていけるようにしなければならなかった。

その為の一番の近道が丁稚奉公、どこか商人や職人の元で働く事だ。

僕は商人のアルバートさんの下で徒弟になることが決まっていた。


アルバートさんは王都でも指折りの商人で主に農産物を取り扱っている。

その上、付近の町や村から僕の様な子供たちを集め教育を行っていた。


どの商人もギフトを持つ者を集め、教育を施す。

有用なギフトを持つ子供に、莫大な支度金を出し抱え込むのだ。


だけど、アルバートさんの場合、ギフトが判る前、九才の頃から教育を施している。

ギフトの当たり外れはあるが、有用なギフトであった場合の支度金は必要ない。


アルバートさん曰く


“どんなに良いギフトを持っていても、心根が悪かったり、身体が弱かったりする者は商人には向かない”


のだそうだ。

確かに僕は日ごろから農作業をしていて体は丈夫だ。

”心根が悪い”と言うのはよくわからないが、

卑怯なふるまいや人を陥れると言う事はしたことはない。


話がそれた。


この国では、十歳になると教会でギフト授与の洗礼を受ける。

洗礼が無くてもギフトは授与されるのだけど、

そこは宗教的な何かの為らしい。


十歳の誕生日を迎えると、教会では牧師様が鑑定の魔道具を使いギフトの名前と効果を鑑定する。

ギフトを使う場合、名前が判らないと使えないためだ。

昔は貴族にしか鑑定の魔道具が使えなかったらしい。

ただ、この鑑定の魔道具には少し問題があった。

名前も簡略化されたものだし、効果も概要しか判定できない。


その為、実際に使う事でさらに詳しくギフトを能力を調べる。

教会の屋上にはギフトを調べるための場所があり、

そこで、効果、発動時間、効果時間、効果範囲など多岐にわたり記録票に書きこまれる。


記録票は三部作られ、


ギフト管理記録室、

王都の役所に、

本人


に渡される。


管理記録室と役所は紙の記録票が、

本人に渡されるのは手の平ぐらいの大きさの平たい白木に書かれた記録票だ。

記録室と役所が紙なのは、王国全員のギフトを管理するためで、

その量は膨大なものになる。

以前の様に、白木や金属片だとかさばり保管場所に困るからだ。

本人には破れやすい紙よりも丈夫な白木で渡される。


僕が貰った白木の記録票には


“ギフト名:空間収納”


と書かれていた。


「はぁ~。」


僕はその記録票を見て長い溜息を洩らした。

そして、ギフト授与の洗礼を思い出していた。

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