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収納力ゼロ、僕の空間収納で物は収納できません。  作者: 士口 十介
魔導帝国との攻防

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例えるなら、なみなみと水が注がれたコップ

王宮が非常招集を行っていた頃、僕は自分の部屋で頭を抱えていた。

今回の事で王都のみんな、ジュリアやアルバートさんを守れたのは誇ってもいいと思う。

加えて、僕が収納できる物を見つけることが出来たのは大きな収穫だろう。

けれど収納してしまった物に関して頭を痛める原因となってしまっている。


“収納物一覧”と念じてみる。


収納物一覧

究極流星アルティメットメテオの効果×500,000本分

・召還門の効果×1回分


”無し”と言う文字の代わりに見てはいけないものが書かれているような気がする。

究極流星アルティメットメテオというのはあの巨大な呪文の事だろう。

呪文は流星メテオの呪文を束ねたもので、目標に対して一億の流星が降り注ぐ。


その時、僕が収納できなかった五千万本は王都を包囲する敵に送り返した。

結果、王都の周囲に大穴というより、大きな溝が出来た。


どうやら僕の空間収納のギフトは”なにかの効果“を対象にしたギフトの様だ。


以前、魔法を対象にした時は収納できなかった事を考える。


”魔法“と言う”物“は収納できなくて、

”魔法“で起きる”効果“は収納できるという事なのだろうか?

剣の場合は剣そのものではなく、

“剣でのダメージ”という効果なら収納できるという事かもしれない。


どちらにしろ、検証の必要はある。


ただ、それを確かめるには少し問題があった。


今の僕は、”例えるなら、なみなみと水が注がれたコップ“なのだ。

この状態ではちょっとした衝撃で中身(究極流星)がこぼれる。


王都の戒厳令が解除されれば遠からず訓練は再開するだろう。

訓練で収納の円盤、銀の盾でミハエルの攻撃を受けた場合、

その衝撃で中身をこぼす可能性が高い。

そうなれば大惨事だ。


何とかして空間収納の容量を増やすことは出来ないものか?

それにはギフトの強化すれば容量も増えるとルイスさんも言っていたはずだ。

ギフトの鍛え方もギフトを使う事で鍛えられるとも言っていた。


ここで僕は頭を抱えた。


空間収納のギフトを使うと言う事は物の出し入れだ。

僕の場合は効果を出し入れすればギフトを鍛えることが出来る。

だけど、収納の為の空きがないため出し入れで鍛える方法が使えない。


空間収納のギフトから究極流星の一つでも取り外せばよかったのだが、

それを使用した場合、目立つ、それもかなり。


使っているのが究極流星なのだから、

王都を取り囲んだ魔物に関連する人物だと思われる可能性が高い。

そうなると、アルバートさんに多大な迷惑が掛かってしまう。

防ぐ為に何か盾の様な物があればよかった。

王都を覆えるぐらいの大きさの盾が・・・。


ここまで来てハッと気が付いた。


(盾ならあるじゃないか!)


僕は急いで教会へ向かった。

教会では避難の時にケガをした人々で溢れかえっている。

ルイスさんもシスターもけが人の手当てで忙しいみたいだ。


僕はこっそり屋上に上がる。

教会の屋上はこの間の流星を返した時と変わっていなかった。


僕は周囲に誰かいないかを確認する。

どうやら誰もいないようだ。

屋上に誰も入ってこない様にこちらから鍵を掛けると収納の盾を作り出す。


収納の盾を薄く広く、王都を覆うように半円球上に展開させる。

その上で収納の出口を外側に設定。

もう片方の手で同じように銀の盾を広げ、魔法が出す”音の効果”を収納することも忘れない。


そうやって、究極流星アルティメイトメテオの魔法を百本ほど解放する。


(どうやら、少しの余裕は出来たみたいだ)


体から何か放出され、空き容量が増えたようだ。

けど、その時、僕は知らなかった。

魂だけの存在になって偵察できる魔導士がいる事を。

そしてその魔導士はこの王国に来ているという事を。


―――――――――――――――――――――


オロール王国よりさらに東へ進んだ所に魔導帝国と匹敵する規模の国、王国カインがある。

その王宮では魔導帝国を撃退したオロール王国の秘密を探るべく、

魔導士達が魂を飛ばし偵察を行っていた。


王国に展開される銀の円盤の存在に気付き、

更に詳しく調べる為に円盤に近づいて行く。


「ふむふむ。不思議な波打ち方ですね、単なる銀の円盤とは思えません。

少しサンプルを・・・ん?」


銀の円盤をもっと観測しようと近づいたその時、

銀の円盤の中央付近から混沌とした流星が撃ちだされる。


「ぬ!何のこれしき。

少し掠ったが魂の存在である我々にダメージは・・・!!」



その魂の本体である魔導士達がいる王宮では驚きの声が上がっていた。


「陛下、この者は絶命しております。」


魔導士達は魂を飛ばした格好のまま絶命していたのである。


「やはり、オロール王国の防御兵器の力か?」


「恐らくそうでしょう。

魔導士は銀の円盤を見つけたのを最後にこの様な状態になってしまいました。」


「オロール王国か・・・一筋縄ではいかない国の様だな。」

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