王さまは募集開始した。
――千年の時を経て魔王が復活した。
――世界は暗黒に包まれた。
「というわけでわが国でも勇者を募ることにしたのじゃ」
王さまはやる気に満ち溢れている!
「なるほど。それではおやすみなさいませ」
白いドレスをなびかせて、シェーラは淑女の礼を取る。
「待たんか!!!!」
ざっと兵士がシェーラを取り囲む。
と、言いたいところだが、メイドにコックに司書に犬にロバが混じっている。
足りてない。
どう見ても足りてない。およそ兵士の割合は三八パーセントだ。
「姫、分かっておろうな!!! わが国には金が無い! 米びつをひっくり返してもくず米しか落ちてこん!!!」
わんわん、めぇ~。
周りが同意を示した。
「となればすることはひとつ!」
「埋蔵金探しって結構体力使うと思うんですけど、運動不足のお父さまでいけるかしら?」
「わしじゃなくてお前じゃお前」
「わたくしもそんなに運動は得意でないのですけど……お年寄りよりはマシと考えるべきでしょうね」
「むむむむむむむむむ、そうじゃない! そうじゃないのじゃ!」
手に持っているトレッキングポールがプルプルと揺れた。
なお、先祖伝来の王杖は先先代の時点で既に消えている。
「いいか! 姫よ!! 見事魔王を倒した勇者とお前が結婚するのじゃ!!」