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第八節「技師」
つくまの部屋がこのような惨澹たる状態に陥ったのは、技師としての定められた運命なのかもしれない。
文字通り、足の踏み場は無い。
そこら中に紙くずや鉄屑が散らばっており、爪先立ち無くしては歩くことも覚束ない。
そんな非常識な部屋の奥に、一人の少女が机に突っ伏して寝息を立てていた。
ゆうき「つくまー、起きろー」
つくま「むにゃ…?…ふぁ~あ…」
背後に立っていた少年に声をかけられてやっと起きる。
つくま「むりゃあ…おはよ」
ゆうき「つくまネットワークの管理くらい自分でやってくれ…結構疲れんだぞ」
つくまネットワーク。
つくまが開発し、霜月同盟の専用ネットワークとして加盟者全員が利用している機能だ。
このネットワークは、ニフカスのインターネット監視網にも引っ掛からないので、大っぴらにニフカスの悪口を書ける。
霜月同盟に無くてはならない逸品だ。
つくま「ごめぇん…むにゃむにゃ」
ゆうき「あん子奪還作戦会議がもうすぐ始まる。飯食っとけよ。ここんとこ何も食ってないだろ」
つくま「自分のヨダレでじゅうぶんだよお…」
ゆうき「お前の体どうなってんだよ」