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小説版霜月同盟  作者: T.D.レインコート
あん子奪還作戦編【ニフカス編第一章】
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第六節「喪失」

あん子と一緒に資源集めに出ていたのは、腹黒だった。


腹黒「今日は…そうだな、あの衣服屋に行くか」

あん子「可愛い服が欲しいですね…」


ステルスリストを使用し、衣服屋に行こうとしていたときだった。


腹黒「くれぐれもステルスを解いたりすんなよ」

あん子「大丈夫ですよ!えーとステルスの解除のとき何て言うんでしたっけ」

腹黒「わかっても言うなy」

あん子「思い出した!『ステルスロック』でしたね!」ヒュン


腹黒が止めようとしたときにはもう遅かった。


腹黒「(うわ!!こいつやりやがった!!)」


既にあん子は、ステルスを解いてしまっていた。


あん子「あれ?腹黒さんどこ行っちゃったのかな…さっきまですぐ側に居たのに」


ステルスは、使用すると周りから自分の存在を感知されなくなる機能だ。ただし、ステルスを使用している者同士なら感知できる。


この時、あん子からは腹黒が突然消えたかのように見えたが、それはあん子だけがステルスを解除してしまい、同じくステルスを使用していた腹黒を感知できなくなったからだ。


そして、あん子がステルスを解除したことによってもう一つ問題が生じる。


ニフカス「おい、何だあの女…」

ニフカス「こんな小娘さっきまで居たか?」

ニフカス「おい貴様、いつこの街に侵入した!?」


当然だが、ニフカスに気付かれた。


あん子「(や、やっちゃった…!ステルスを解除しちゃったんだぁ…!)」


頭の回転が鈍いあん子でも流石に自分がステルスを解除したことに気付いた。


一見するとピンチに見えるこのタイミングだが、腹黒はチャンスだと思った。


腹黒「そうか…あん子はまだ手配されてないから霜月同盟の人間だと気付かれていない!ならば…このまま黙ってステルスしちまえばこっちの勝ちだ!!」


その通り。

あん子はまだニフカス政府の手配を受けてはいない。

ニフカス人があん子を知らないのはそのためだ。

このままあん子が余計なことを言わずにステルスしてしまえば、この場から逃げられる。

腹黒はそう確信していた。


と、そこまで考えるとあん子が大声で叫んだ。


あん子「しまったああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


あん子「私がうっかりステルスを解除しちゃったからああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


あん子「霜月同盟の人間だってバレて捕まっちゃうよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


沈黙。


腹黒には、その時間が数十分にも数時間にも感じられた。

そして、思った。


腹黒「(お前はアホの子かーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!)」


腹黒は、思い出した。

そうだ。こいつバカだった。


ニフカス「聞いたか!?」

ニフカス「霜月同盟だってよ!!」

ニフカス「取っ捕まえろ!!!」


あん子のセリフを聞いたニフカス人が次々に彼女に襲いかかる。


腹黒「(仕方ねえ…)ステルスロック!」ヒュン


腹黒は彼女を助けるべくステルスを解除した。


腹黒「おら仮面バカ共!俺が相手だ!」

ニフカス「お、お前は!!」

ニフカス「“土蜘蛛”腹黒!!」


腹黒は土木工事に精通した加盟者だ。

大地をも味方にし敵を翻弄するその姿は“土蜘蛛”の異名を取る。


腹黒「死ね!!!」ザシュ

ニフカス「」


早速装備していたツルハシでニフカス人の首をはねる。


ニフカス「てめえ!!喰らえ!!」バン

腹黒「おっと…」ガキーン

ニフカス「じゅ、銃弾を弾いた!?」


もう片方の手に持ったスコップで銃撃を軽く弾いて見せる。


腹黒「すげえな…ニトリの鉄は一体何したらこんな硬くなるんだ?」


ニフカス「このおおおおおおおおおおお」

ニフカス「喰らえええええええええええ」

ニフカス「死ねえええええええええええ」


ニフカス三人がいっぺんにかかってくる。

しかし腹黒は余裕顔だ。


腹黒「気を付けろよ…そこは地盤が脆い」


そう言うと、足元にスコップを一刺しして引き抜き、後方へ飛び退いた。

そして、今の今まで腹黒が居た場所にニフカス三人が飛び降りる。


その瞬間。


ボコッ!!!


ニフカス「!?」

ニフカス「な!?」

ニフカス「うお!!?」


足元の感覚が無くなり、三人は地の底へと吸い込まれていった。

地面に穴が空いたのだ。


腹黒「埋めとかねえとな」ドゴッ

ニフカス「な、何をする!?」

ニフカス「やめろ!!!」

ニフカス「やめえくれええええええええええ!!!」


腹黒は穴の手前の地面を軽く蹴った。するとそこの土がどんどん崩れて落ちた三人を埋めていく。

そしてその地面を蹴った勢いをほとんど殺さずにあん子を捕らえているニフカス人のところへ突っ込んでいった。


腹黒「待ちやがれ仮面野郎おおおおおおおおお!!!」

ニフカス「な、何!?」


ニフカス「行かさねえぞ“土蜘蛛”ォ!!」

腹黒「チッ…」


だがあと一歩の所で、他のニフカス人に邪魔されてしまう。


腹黒「邪魔だ」ドスッ

ニフカス「ぐぉ…」ゴトッ


腹黒が蹴り飛ばしたニフカス人が銃を落とした。

これ幸いとすぐに拾い上げて、後方に発砲した。


腹黒「喰らえ」バキュン

ニフカス共「ぐあああああああああああああ!!!」


幸運が続くが、拾った銃は散弾だった。

後方に居たニフカス人のほとんどが被弾して倒れていく。

再び前を向いてあん子を追おうとしたが、腹黒は驚いた。


ニフカス共「“土蜘蛛”を捕まえろおおおおおおおおおおおおお」

ニフカス共「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


前を見ると、あん子の前に先ほどの五倍はあろうかというニフカス人が立ちはだかっていた。


腹黒「(クソ…ここはニフカス街…当然か…!)」


散弾をぶっ放して敵を一掃したいところだが、もし流れ弾があん子に当たったりすれば大変だ。

そんなことを考えているうちに、敵はどんどん増えていく。


腹黒「退きやがれカス共!!」ガシュッ


スコップで身を守りつつツルハシで敵を薙ぎ倒しながら進んでいく。


騒ぎはどんどん広がっていく。

分が悪い。腹黒はあん子を守れない事を察した。


腹黒「すまねえ…『ステルス』」ヒュン


腹黒は騒ぎを広めないうちん、ステルスを使って基地まで撤退した。

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