そして伝説へ
見た目は幼女、中身は大人なモンスターを仲間にしながら様々なイベントをクリアしつつ、リアル幼女に頼まれた想い出のお花探しのためブルセラ子4をリーダーとする捜索隊を結成して送り出した
惰眠をむさぼるとはこのことか。
さすがに夜通しモンスター集めをしていたのでぐっすりと寝てしまったようだ。
「あ、起きたぷるね」
「おはようにゃ!」
「二人ともちゃんと寝たのか?」
「さっき起きたとこぷる」
「同じくにゃ!」
グリスラ子とタマは、そういいつつ、ちゃんと身だしなみを整えている。
一方、フェアリ子はまだ寝ているようだ。
「フェアリ子も寝てるし、先に昼飯食うか」
「起こさなくていいプルか?」
「気持ちよさそうに寝てるにゃ」
「ああ、腹が減ったら勝手に起きるだろう」
そう言って、俺達は昼食をとる。
それから、ふと思うところがあって街をぶらぶらしてみる。
派遣したブルセラ子4達が帰ってくるまでにはまだ時間があるだろう。
用事を済ませ、街の外でブルセラ子4が帰ってくるのを待った。
「あ、兄者……、遅くなったのじゃセラ」
ボロボロになったブルセラ子4が帰って来た。
「ご苦労。残ったのはお前だけか?」
「そうなのじゃセラ。一緒に行った青子も、聖羅も、わっちの犠牲になって魔物にやられたのじゃセラ。
最後に残ったのはわっちと紗羽の二人だけ。その砂羽もドラゴンからわっちを助けるために……」
「まあ、途中経過はどうでもいい。どうせ大多数が帰って来ないとは思ってたからな。さすがに生き残りが一人とは思わなかったが」
「ということは襟巻蜥蜴さんチームはやはりかえって来てないのじゃセラな」
「そのチームに誰が居るか知らないが、戻っては来てないぞ」
「そう……セラか……」
「大変だったぷるね」
「お疲れにゃ」
グリスラ子とタマがブルセラ子4を労う。
「じゃあ、まあ約束だしブルセラ子4は放牧に出してやろう。後で一緒に牧場まで行ってくれ」
「わかったのじゃセラ。あ、それより目的の花なのじゃセラ。一杯咲いていたのじゃセラが持ち帰ってこれたのはこれだけなのじゃセラ」
ブルセラ子4の手には一輪の小さな花が大事そうに握られていた。
「ああ、それなんだがな。もういらねえ」
「えっ? どういうことなのじゃセラ?」
「いや、そういえばネルルは花屋には無かったって言ってたけどな。たまに流れの花売りが珍しい花を売りに来るんだ。橋が治ったのを聞きつけて、隣街からたまたま今日も来てた。その花売りの少女がたまたまネルルの目当ての花を売っててな。たまたま見つけたから買ってネルルに渡しといた。野に生えているのと違ってちゃんと世話して育てている奴だから、ブルセラ子4が持ち帰ってきたそのちんけな花よりも、見た目も綺麗で数もそれなりにあったからな」
「ネルルよろこんでたニャ!」
「そ、それじゃあわっちたちの尊い犠牲は……」
「まあ結論から言えば無駄ということになるな。しかし、安全地帯の外の危険度がどれくらいかってことがわかってよかった。もし似たような状況になればあの3倍ぐらいの軍団を作らなきゃ安全マージンとれないということだろう。二度と安請け合いはしないでおこうとおもうが」
そんなわけで、ネルルとのお使いイベントはこれにて終了。
今日はその辺で経験値稼ぎをしたり、旅の準備をしたりしながら、だらだら過ごそう。ブルセラ子4も牧場に連れていかなけりゃならないし。
明日からまた、新たなモンスターと出会って仲間に入れるという旅の始まりだ。
そろそろフェアリ子がうざくなってきたので、フェアリーを諦めて別の回復要員を探そうとも思っている。
性格の良さ、何故か身に着けた特殊能力、新たに仲間になったモンスターから得る信頼なんかからグリスラ子は今の所、パーティから外すことは考えていないが、もうレベルが最大の10に上がってしまったので、そろそろ見切り時だろう。
タマは、性格も悪くないし将来性もあるから他のメンバーとの折り合いや今後の仲間との兼ね合い次第だな。
そもそもにして俺の目的は世界を救う勇者としての役目から、ゲーム内で愛したあの|子(幼女)に出会うためとだんだんシフトしている。
無理はする気は無いが、あまり時間をかける気もない。
これからは必須のイベントなどはクリアしていく必要があるが、出来ればこの世界の一般人――ネルルのような存在からのお願いごとはできるだけスル―する方向で。まあ、今回は橋が治るまでどうせ時間があったから良かったが。
「それじゃあ、行くぞ、グリスラ子、タマ。俺の冒険はまだ始まったばかりだからな」




