#6 よくある出来事
食べ物には困らなかった。だが、どうにも理解が出来ないでいた。
「モロー? また空みているのォ?」
ランがひょいとモローの顔を見る。
「ああ。見てる」
「家が恋しいのね」
「ああ。恋人がいたんだ」
「! っそ、そうなんだァ~~っは、ははは」
ランの言葉が強張る。
「デリカシーのない男な」
たまたま、通りかかったギィドロニカが呟いた。聞こえるように。
「! あ、どこ行くんだよ」
「? 食糧見てくんだよ。手前はランと、うふふ! ってお花畑してろよ」
トットットッ。
「行く! 俺も行く‼」
ギィドロニカが嫌そうな顔をする。
ランの顔を見たを上でだ。
(こいつ、もうちょっとよ~~はァ…)
無言で行く。
「あ! 待てよ‼」
それにモローもついて行く。
ランが泣きべそになりながら「何よぉう」とぼやいた。
◆
「何か。最近空気、淀んでねェか?」
モローが手を宙に持ち上げた。
「ま、いつもこんなんだぞ? あ゛ッ」
「?! え、何? 何??」
ギィドロニカが思い出しように身体をびくつかせた。
「もうちょいしたら、エラい目に合うぞ……」
「!? なななな。何だよ、ソレッ」
「だから。腹はいつもいっぱいにしとけな」
手元にあったパンをモローに投げつけた。
「っと! 脅すなよな‼」
ガジ!
モグモグ。
「ま。もうちょいしたら分からァ」
ゴックン!
◆
間もなくして、ギィドロニカが言うようなことが起きた。
空が荒れだした。
大きく揺れるような地震。
「わ゛ァ゛!」モローの身体が揺れる。
「おい、落ち着けっての」
「そぅだよ~~モロー」
シロズニィも微笑ましく、のほほん、と言う。
「でも~~うちもいつも怖いよぉ~~う」
シロズニィがランの頭を撫でた。
そして、身体が横に浮かんだ。
「ぅお゛!?」
そこからはあっという間で。
モローたちは空へと吸い込まれていった。