#4 ほんの些細なこと
「モロー君! どこに行ってたの~~!」
ハシ!
唐突に抱きしめられる。
かかかかかかかかかかかかかかかかかかかかか。
「なぁ~~に、顔を赤らめてやがんたよ、手前は!」
ギィドロニカが大きくため息を漏らした。
「! っべ、別に照れてなんかいないし‼」
「あーーはいはいっと」
ギィドロニカが白けた様子で、どこかに行こうと離れようとする。
ガッシリ!
「!? あんだよっっ、気持ち悪ィ奴だな~~手前わっっ‼」
「ちょ! 勝手に行かないでくんない??」
「はぁ?! 気色悪ィっつ~~の‼」
ブンブンブン‼
ギィドロニカが、モローに掴まれた腕を回す。
外そうとするも、ビクとも動かない。
「……ぶっ殺されてぇようだな~~手前わ~~‼」
「お、女の子が怖いんだよ!」
「……はぁ??」
ランも目を丸くした。
あんなにも近くで会って、喋ったというのに。
「嘘つくんじゃねぇっつーの‼」
「嘘なんかついてど~~すんのさ!」
「君が、新入りのモロー君だってね」
家の前でギャーギャー喚いているモローに、
「……モカ」
少し顔色の悪い女性が傍にやって来る。
ぅひ~~~~~~ぃ‼
「ちょい、ストップな。こいつが倒れそうだ」
ギィドロニカが手で静止させた。
「? あ~僕も女だったか! ごめん、ごめん」
ギシギシ。
「おい。手前、腕が痛ェっつーの‼」
ボカ!
しかし、モローはそれどころではない。
ガクガク。
「ったく!」
とーーそこへ。
「あ!」
ランが声を上げた。
「ん? おや、救援物資ですねェ」
みんなが視線をやる方向に、モローも見た。
パラシュートが悠々と降りてくる。
「何だ……ありゃーー」
「はぁ?? 手前、救援物資も知らねぇって、どんなところで暮らしてやがったんだよ??」
ギィドロニカが呆れた口調になる。
「俺の故郷には壁なんかなかったし。こんな救援物資ってのもなかった」
ドッシーーン。
ドッスーーーーーン‼
「自給自足だった」
目に映る光景に、ただーーモローは気味が悪いもののように見ていた。
一体、誰が……何の真似で、こんなものを??
ボカッッ!
「‼ ったぁ‼」
モローの頭を、ギィドロニカが思いっきり殴りつけた。
「! 何?? 何で殴ったし‼」
「……覚悟、決めろや」
ギィドロニカが口を尖らせた。
モローは、ようやく、ギィドロニカの腕を離した。
「俺がついててやっから」
しかし、モローからの返事はない。
「ま。時間はいくらだってあんだ、いくらでも悩めばいいべ」
「「ギィドロニカのクセに生意気~~~~」」
シロズニィとデンが声を同調させた。
ギィドロニカの顔が真っ赤になる。
「んだよ! あ~~ムカつく~~‼ クソが‼」
どかどか、とギィドロニカががに股で家の中へと入って行った。
その背中を、モローは見送った。
有難う、と。