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ゴスロリ・スピカ! その1 ~せめて女の子にしてください!~  作者: 首藤えりか
~せめて女の子にしてください!~編・第六部
30/30

第二十九話・決戦その三、終焉の時?

第二部の伏線が絡んでいるため、第一部の最終話であるこのお話は少し中途半端です。

ともあれ、第一部完結編、堂々ここに公開です!

「うわわっ!」


胸に重い衝撃を感じて、びっくりして飛び起きようとする僕。けどその重いものは僕の動きを完全に封じ込め、身動きができなくて。

仕方なく現状を確認してみると、左に寝ていた犬山いぬやま先生が僕に思いっきり抱きついてたりして!

まあつまり、僕たちはあの晩泊まるところに困って、二間続きの吉田さんの安アパートに泊まることにしたわけ。

一応・・男女別々の部屋に寝ることにはしたんだけどね。


「せ、先生重い!」


僕の胸に乗った手を押しのけようとしても、がっしりとした先生の手はびくともしない。それどころかもぞもぞと僕の胸を卑猥な動きでまさぐり始めてる。なにこれ、やだっ、なんかムズムズするよっ!


「や、やだよ先生……それ以上はやめてよ!」


ダメだよ、先生。僕たち男同士なんだよ!? なんて抑えた声で抗議しても、先生の手は引っ込む気配が全くなくて、それどころかおしりの方に新たなもぞもぞするものを感じ始めてて……


「や、やめてえぇぇぇぇっっっ!」


僕を襲っていた両方の手をべちっ! と叩くと、叩かれた当の二人はぼーっとした表情のままのそりと顔を上げ


留崎とめさきぃ、お前がかわいすぎるから、俺こんなになっちゃってるんだぞ……」


「シオン……お前ホントは女なんだろぉ? ヤラせてくれよぉ……」


右と左で二つの口が、なんかとんでもないこと口走ってるんですけど!


「先生も一平いっぺいも、僕にいやらしいことするのはやめてくれよぉ!」


ついつい身の危険を感じて叫ぶ僕。有り合わせの掛毛布からゴソゴソと体を引きずり出し、ほんのり明るくなり始めた部屋の中をジーッと伺うと


「俺、お前の事が好きだ……一つになろう……!」


「え、虎縞とらじま? こら、そこはやめろって!」


僕の二つ左隣、犬山先生の向こう側で寝ていた吉田よしださんに絡みつき、左手をもっこりの部分へと伸ばしている虎縞さんがいて、そのアブナイ絡み加減に僕はただ口をパクパクさせることしかできなくて!


「だーかーらっ、みんなしっかりしてよっ!」


ついつい大声で叫んでしまい


「うるせえっ、今何時だと思ってやがるっ!? 近所迷惑ってものを考えろっ!」


「俺等の安眠を邪魔する気かっ! 表に出やがれっ!」


なんか隣近所がすごい剣幕で喚いてるんだけど!?


「うわっ、これやばいって! こら虎縞、とにかくその手をどけろっ!」


もう真っ青な表情で手早く絡みつく虎縞さんの体を引き剥がし、吉田さんはアパートの自室から飛び出すと近所にペコペコ平謝り。

アパート暮らしって大変なんだね……


「お兄ちゃん、どぉかしたのぉ?」


そんな中、隣部屋に通じる引き戸が開いて寝ぼけた顔を覗かせるシエリがいたりして。

時刻が時刻だから寝ぼけているのは分かるけど、スカートがめくれて下着が見えそうになってるぞ!


「バカ! 自分の身なりをよく見ろ!」


「え? うそっ、いやあんっ!」


「「シエリちゃん♪」」


慌ててスカートの裾を直すシエリに釘付けとなり、血走らせた目を皿のようにして見つめ続ける先生と一平の前に立ちはだかり、僕は大切な妹、シエリを守るために彼女の前に立ち上がる。


「見るなっ! あ、あれ?」


変に足下に絡みつくものを感じて自分の身なりを見ると、なんとジーンズとトランクスはすっかり足先まで引き下ろされていて、恥ずかしい僕のもっこりは一糸纏わぬ姿で、先生たちに向けて盛大に披露されている有り様で!


「あんっ、いやあんっ!」


真っ赤になりながら元気いっぱいのもっこりを手で覆い隠し、おぼつかない手つきでトランクスとジーンズを引き上げる。ベルトを締め終わって改めてみんなを見ると


「留崎立派だぞ! 朝からいいモノを見させてもらった!」


「いやあ若いねぇ! そして青春してるねぇ!」


「俺も興奮してきたぞ! さあ吉田、俺を奪ってくれ!」


「だからこの状態じゃ無理だしその気もないから……って虎縞、すぐに服を着ろ! みんな見てるぞ!?」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「……頭痛い……」


不眠症かな? 昨夜は急遽吉田さんのアパートで寝たのはいいけど……


「狭い上に留崎に絡まれて、俺も眠れなかったよ」


「シオンが妙にエロい声で誘ってくるから、俺超元気になっちゃったじゃないか!」


「待ってよ! それじゃみんなが眠れなかったのは僕のせい!?」


「「「「そうだよな!」」」」


僕の悲鳴混じりの詰問に強く同意する全男性陣! 一人「元」のつく人がいるけど。


「あの声は凄かったな! 『そこ、ダメェ……』ってまるで留崎、誘ってるように喘いでたんだからな!」


「先生それ以上は勘弁してくれよ! 俺我慢出来なくなっちゃうよっ!」


なにそれ? 僕そんな変な声出してたのっ!? そーっとみんなに上目づかいの目線で問いかけると、もうこれでもかというくらい強く何度も頷く男性陣。ううっ、ショックだよ! 僕ってそんなに女の子みたいな声してたなんて!


「「「も、萌えぇ♪」」」


「いやあっ! 近づかないでっ!」


みんなから不意に襲われそうになり、僕が思わず上げた悲鳴もまるで女の子! そんなぁ、僕、僕、男なのにぃ……


「やっぱりお兄ちゃんはお姉ちゃんだったんだね、あたし、お姉ちゃんなお兄ちゃんも大好きだよっ♪」


チュッ!


嬉しそうに叫びながら僕の胸に飛び込み、完璧な不意打ちで唇を奪うシエリ。そして僕は……


「い、いやあんっ!」


真っ赤になりながら顔を覆い、ただただ小さくなるばかり。


「シオン君って、最近女の子が板について来ていないかしら?」


「やっぱりいつもスピカに変身してるから、そっちの影響受けてるのかもね!」


僕の後ろでは、彩花あやかさんとアリサさんがとんでもない推測を始めている始末。やっぱり嫌だ! 僕は男なんだってばっ!


「うええええんっ!」


「泣き虫なところもまるで女の子だな、シオン!」


そんなっ、そんなのってないよぉ! そうやって、そうやってみんなは僕をいじめるんだ! クスン……


一人すすり泣く僕を囲んで大爆笑のみんな、いいもん! いつかギャフンと言わせてやるんだからっ!


◆ ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ここからは冗談はなしだ! 泣いても笑っても最終決戦、また対策を取られたら俺たちに勝ち目はないと思えよ!」


「「「「おおっ!」」」」


犬山先生の喝に、僕たち全員の喚声が応える。そう、敵が自分たちの弱点に気づいていない今こそが僕たちの攻め入るチャンスなんだ! 技とスピード、両方の対策を取られたらきっと僕たちに勝ち目はないだろう。


「みんな気合はいってるわね! これならきっと勝てるわ!」


「というより、今回負けてしまったらもう後が無いのですけど」


「メイドスターズ頑張れっ! シオンもシエリちゃんも応援してるぞっ!」


うわあ、みんなも盛大に応援というか、プレッシャーかけてくれちゃって逆に僕は気が重いんだけどなあ。

とにかく、今は勝つことだけ考えなきゃ!


敵のアジト、古いビルのそばにある公園。そこのトイレに入り込んで交代で変身を済ませる。でもつくづくかっこ悪い変身方法だよね? だって一度丸裸すっぽんぽんになった上で、ゆっくり服が着せられていくんだもの。恥ずかしくて決めポーズすら取れないよ!


「今回はスピードが命だ! 気を引き締めて行けよ!」


「「「「はいっ!」」」」


よしっ、今度こそローザを倒して、マスターステッキを壊すんだ!


◆ ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ここからは静かに、素早く行動するぞ!」


ビルに入り、犬山先生ことシリウスがそっとみんなに指示を出す。声を出さずに顔だけで合意し、僕たちはできるだけ静かにビルの奥へと向かっていく。


「お前ら!?」


幾つ目かの曲がり角を抜けたところには見張りの白覆面マスク! どうやら警報のベルを鳴らしたらしくバタバタという大量の足音がどんどん近づいてくる。


「敵が態勢を整える前に強行突破だ!」


叫びながらスライディングで白覆面の足元をくぐり抜け、背後に立つなりひょいっ、とマスクを剥ぐシリウス。


「うおおっ!」


短い呻き声を上げ、白覆面は力を失う。僕らがそれを踏み越えると、醜い顔でげえげえ悲鳴を上げて目を回す。


「こんな具合にさっさと済ませるわよ!」


派手にスカートを翻らせながら、白い下着パンティで隠した力強いもっこりを晒して走るシリウス。本人はもう慣れたっぽいけど、同行する僕たちが逆に恥ずかしさを感じる始末。


「次は私が行きますわ!」


前方から重い足取りで駆けてくる三人の新たな白覆面たち。その中央を僕は大胆にすり抜けて、先頭の覆面を引っこ抜く。勢いで剥いだ覆面が破れたのでそれを投げ捨て、大きく回り込んで二人目の覆面に手をかける。させまいと身を捩る白覆面だけど反応は鈍く、その覆面もあっさり僕の手の中に。

最後の一人は勝てないと思ったのか、元来た廊下を駆け戻り、大声で仲間を呼んでいる。


「すみません、一人取り逃がしてしまって」


「大丈夫、あとは全員でかかるわよ! 逃げるやつは逃がしちゃっていいから、とにかくここは強行突破よっ!」


「「「「はいっ!」」」」


先陣を切るシリウスに続き、僕たちは飛びかかる白覆面たちを軽くいなしてどんどん先へ向かう。幾つもの廊下を駆け抜け、幾つもの階段を上り、行き着いたのは……


「くっ、あんたたちがこんなに早く立ち直れるなんて大誤算だったわ! でもね、三下カスを突破したくらいでいい気になってると、この親衛隊の前では痛い目を見るわよ!」


屋上の一角に陣取り、ファンシーなお面をつけた逞しい男たちを従えた銀髪美女、ローザはまだ強気の態度だ。親衛隊の人数は僕たちと同じ五人。全てががっしりした体格の若い男性で、体格、性別だけても単純に考えれば僕たちの方が圧倒的に不利! 仮に互角に戦えるとしてもそれは、シリウスとベガの二人だけ。


「さぁ、早く降参なさい! 今なら全員醜い姿にして下僕にするだけで勘弁してあげるわよ? もちろんシェリー、あんたには積年の恨み、トコトン晴らさせてもらうけどねっ!」


「……嫌よ……」


「何か言ったかしら、そこの美人オカマ少年君?」


「私は嫌って言ったんですっ! アトリアを、シエリを、私は何があっても絶対に誰の手にも渡しませんわ!」


「……スピカ……?」


誰かが心配そうに僕に問いかけてくるけど、僕は、スピカは何があっても妹を、シエリを守らなきゃならないんだ!


「はあああっ!」


「無茶よっ! 戻りなさいっ!」


親衛隊のど真ん中に突進していく僕。シリウスが制止の叫びを上げるけど、うかうかしてたら倒していない白覆面たちが集まってくるはず。そうなったらもう絶対勝てないんだ! だから、例え無茶と分かっていても攻めるなら今しかない!


「みんな、こうなったら力比べよ! アトリアにフォローは任せるから、あとは全員、親衛隊をねじ伏せて!」


「行くアル!」


「負けないザマス!」


シリウス、リゲル、ベガの三人がそれぞれ親衛隊員に襲いかかる。そうだよ、今までの白覆面みたいに素早さを活かして戦えばきっと勝てるよ!


「甘いぜぇ!」


「えっ!?」


僕がスピードを活かしたフェイントをかけ、背後に回ったと思った途端


ドスッ!


信じられないことに、僕のみぞおちに親衛隊の拳がまともに食い込んでいたんだ!


「はうっ……な、なん……で……!?」


思わず膝をつき、がっくりと崩れていく僕。まさか、こんなにあっさり負けてしまうなんて……!


見るとシリウスさんもベガさんも激しくど突き回され、リゲルさんにいたっては床面に這いつくばってもう虫の息! そんな、ここで僕たちが負けるなんて! 絶対に勝たなきゃいけない戦いなのに!


「みんな頑張ってなのっ!」


悲鳴混じりの声で声援を送りつつ、水魔法で屋上への登り口を包んで白覆面たちを食い止めているアトリア。でも僕たちが親衛隊を押しとどめない限り、アトリアに劣勢を挽回する余裕なんてあるはずがない。


「ううっ、まだ、負けるわけには……!」


「大人しくおネンネしてな!」


重い痛みを堪えて立ち上がろうとするところに、モモヒキだけを身につけた親衛隊員が足蹴を加えてねじ伏せる。これじゃあ反撃どころか、立ち上がることすらできやしないよ!


「ちょっとお待ちなさい」


なにか考えがあるのか、ローザがモモヒキ男に下がるよう命令する。一応自由にはなったけど、ボコボコに蹴り回された僕にはすでに体を起こす余力すらなくて、僕を覗きこむローザを、彼女の持っているマスターステッキを、手を伸ばせば届く位置にあるそれらに触れることすらできなくて……

うつ伏せ状態だった体をひっくり返され、僕の目の前に青空が広がる。ああ、空ってこんなにキレイだったんだね、などと脈絡もないことをふっと考えている僕、もう体力の限界を通り越して、頭まで変になっちゃったみたいだ。


不意にローザが僕の着ているゴスロリドレスの胸の部分を引き裂く。パット付きのブラが同時にちぎれ飛び、ほっそりした僕の、男の胸がむき出しになる。


「あらあら、せっかく女の子の格好をしてるのに胸がないなんてかわいそうねえ、そんなあなたに、私からいいプレゼントを上げるわ!」


言うなりローザは、ステッキを持っていない左手を僕の胸に当て、小声で素早く何かを呟いたかと思うと、もこもこっ、と僕の胸に不思議な違和感が!


「ほおら、これであなたも気兼ねなく女装ができるわね? 安心なさい、下の部分は手付かずにしておいてあげるから♪ ああ、あなたのこれからの滑稽な生活が目に浮かぶようだわ!」


「え……!?」


ギシギシ言っている首を必死に起こして自分の胸を見ると、若々しくてそこそこ立派なサイズの女の子のバストが目に飛び込んでくる。まさか、まさかこれって、本物の僕の胸なんてことは……?


「そんな……お兄ちゃんに、胸が……!」


僕をただまじまじと見つめて呆然と佇むシエリことアトリアは、あまりのショックで白覆面たちを押しとどめることも忘れ、いつしか彼らに取り囲まれている。これじゃ何のために僕たちが頑張ってきたんだ? シエリが捕まるのはもう時間の問題じゃないか!


「シエリ……逃げ……て……!」


彼女に向けて必死に手を伸ばし、かすれた声で叫ぶ僕に、シエリはそっと首を振り


「こんな時だから、こんな時だからあたしはみんなの役に立たなきゃなのっ! みんな、あたしのパトス、受け取ってなのっ!」


感極まって叫んだアトリアは、覚悟を決めたのか自分のスカートをいきなりバサリと大きくめくってみせる。もろに僕たちの前にさらけ出されるピンクと白のしましまショーツ、よほど恥ずかしかったらしく、真っ赤になった彼女は下を向いたまま顔を上げることができないでいる。

僕の中で何かがはじけた。シリウスの、ベガの、リゲルの中でも同じように。


「もう許さないんだからっ!」


一気にみなぎっていくもっこりパワーを感じつつ、僕は体を素早く起こす。もちろん狙うのはローザの持つマスターステッキ! 金銀の豪華な装飾の施されたそれをガシっと掴み、力づくで奪うなり、激しく床に叩きつける!


ガシャンッ!


軽い金属音を放ちながら粉々に砕け散るステッキからはものすごい光の奔流がほとばしる。ローザの、シリウスの、ベガの、リゲルの、僕の、親衛隊や白覆面たちの身体にその光は注ぎ込まれ、しばらくは目も開けられないほどに輝いていたんだけど。


「……あれ? 俺たちどうしたんだ?」


「なんでびしょ濡れなんだろうなあ?」


覆面を失い、正気に戻ったらしい白覆面たちは皆怪訝そうな顔でお互いに声を掛けあっている。

親衛隊はというと、同じくお面を失い、それぞれなかなかに凛々しい顔に困惑の色を浮かべ、ただただ互いの顔を見つめ合っている。


「おい、虎縞! お前元に……!」


「なにっ!?」


変身の解けた吉田さんの指摘に、同じく変身の解けた虎縞さんが不思議そうな顔をして、というか、虎縞さんだよね? そのまま美系モデルとして通用しそうなイケメンさんがそこにいるんだもの!


「虎縞……さん?」


「ああ、そうだが、スピカ、お前の胸……!」


「え?」


美形の虎縞さんに言われてはっと下を向くと、引き裂かれたゴスロリドレスの胸元から恥ずかしそうに顔を覗かせる、僕の女の子の胸が!


「い、いやあぁぁぁぁっ! こんな、こんな姿にするなら、せめて完全な女の子の姿にしてよぉ!」


「お兄ちゃんっ、助けてっ!」


悲鳴を上げ、慌てて胸を隠しながらしゃがみ込む僕に、悲痛な叫び声を上げるシエリの声が。


「こ、このままで済むと思わないでよっ! 近いうちに、きっと復讐してやるんだからっ!」


シエリを羽交い絞めにしつつ、長い赤毛にタヌキのような、普通のおばさん顔になったローザは転落防止用の手すりへと手を掛ける。まさか、五階建てビルの屋上であるここから飛び降りる気なんじゃ!?


「覚えてなさいよおっ!」


僕たちが手を差し伸ばす余裕もないままに、シエリごと屋上から飛び降りるローザ。慌てて屋上から地上を見下ろしたものの、そこにはローザやシエリと思える存在はすでになく。


「くそっ! 逃げられてしまったかっ!」


悔しそうに舌打ちする犬山先生。って、あれ? 僕以外は全員変身が解けてたけど、これってどういうこと?


「先生、なんで僕だけ変身が解けてないんですか?」


「きっとそれは、君の胸と一緒だな。ステッキじゃなく指輪とか、他の媒体で魔法をかけているんだろう。だから、ここから先は君一人で戦うしかないな」


「そんなっ! 先生たちも一緒に戦ってよっ!」


「手助けはできるが、ステッキという変身手段を失ったからね。それは無理な相談なんだ」


そんなっ! これからは僕一人でシエリを探し、そして僕一人で戦わなきゃならないんだね、シクシク……


ようやく到着した警察官たちに白覆面たちを引き渡しながら、僕は一人泣いていました。


「シエリぃ、どこ行っちゃったんだよぉ!」


僕たちの、いや、僕の戦いはまだ続く……みたいです……


えーと、このお話で第一部である~せめて女の子にしてください!~は完結です。

第二部は……ごめんなさい、執筆開始まで少々時間をもらうことになるかと。

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