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はる浅きころ
村に来て
村は枯れ木ばかり
風はひどく冷たいけれど
空はクリームソーダ色
日だまりは熱いくらいなのだ
もうすぐ
裸の森に
若草色の
新緑が
萌だすだろう
それまでは
生きていよう
若葉が
春風に
ひるがえる
その日までは
若葉が
ぎらぎらした若草色の
太陽のすみかになる
その日までは
古いＳＰのゼンマイ式蓄音機を
買おうかな
シャンソンの古い歌などを聴きたいな、などと
夢想しながら生きながらえて
その日が来たら
空を掃いている
こぶしの白い花が
激しい雪解けの沢音が
さらなる明日の夢を紡ぎ出して
くれるに違いない
