獄潰し ~特殊能力が欲しいお年頃~
天導時時雨:どこにでもいる男子生徒。
霜崎賢治:どこにでもいそうでいない男子生徒。
霜崎亜美:気が付いたら出てくる女子生徒。
天導時蕾:基本的に時雨の妹として出てくる女の子。
天導時千夏:時雨の姉として出てくることがまれにあるが、基本的に亡くなっていたりする。
獄潰し ~特殊能力が欲しいお年頃~
時雨「特殊能力ってさ、何か欲しいよね……主人公として」
賢治「お、そうかい。それじゃあぼくが授けてあげようじゃないか」
時雨「えっ、本当なのっ」
賢治「うん、時を止める特殊能力なんてどうかな」
時雨「やった、これでさまざまないたずらがばれないよっ」
賢治「よし、実装完了………後は時間よ、止まれって叫べば発動するから」
時雨「時間よ、止まれっ」
賢治「………」
時雨「………(あれ、時間は止まったようだけど僕も動けない………なんでだろ)」
――――――――
賢治「で、時間を止めてから何か楽しい事は起こったのかな」
時雨「いや、僕も動けなかったんだけど」
賢治「そりゃあ、そうだよ。だって、時間が止まるってことは全ての動きが止まる………空気も止まっている状態だから」
時雨「何それ」
賢治「ちょっとわかりづらいかな………たとえば、九枚のパネルで構成されているパズルを頭の中にイメージしてほしい」
時雨「うん、イメージしたよ」
賢治「その中央が時雨君とする、いいかな」
時雨「おっけーだよ」
賢治「周り八枚のパネルは全て空気……真ん中のパネルを動かすことは出来るかな」
時雨「いや、どこにも隙がないから動けないよ」
賢治「それと一緒。空気はそこにあるんだけど目に見えないから気がつかないけど時間が止まれば空気が動かなくなる、つまり、自分を動かすためのスペースがなくなるから動けないんだよ」
時雨「ええっ、ご都合主義で自分だけ動けるとかそんな能力じゃなかったのっ」
賢治「そりゃあ、ぼくがきみにあげたのは時間を止める力であって自分が動く為のものじゃないよ」
時雨「………」
賢治「あとさ、熱を伝道させて一部を溶解させるとか出来るものなのかねぇ。熱を伝道させた時点で熱が伝わっているんだから全部溶けるんじゃないかな」
時雨「いや、知らないから」
賢治「ともかく、特殊能力が欲しいだなんておこがましい。お手軽に手に入れるなんて見くびりすぎっ」
時雨「じゃ、じゃあどうすればいいのさっ」
賢治「ちょっとついてきなよ」
―――――――
時雨「ここは………」
賢治「あれを見てごらん」
亜美「………」
時雨「亜美ちゃん、二つの箱を前にして何をしているのさ」
亜美「これはね、中に何が入っているのかを当てる特殊能力よ」
時雨「は」
亜美「きっと、こっちにはシークレットが入っているわっ」
賢治「このように、厳しい修行を終えたものにこそ特殊能力はつくべきだよ」
亜美「お、やっとでたあっ」
時雨「……もうちょっとためになる特殊能力はないのかな」
賢治「じゃあ、こっちだね」
―――――――
先生「じゃあ、次の問題、行くぞぉ」
生徒「ぴぴーんっ」
時雨「あれは何さ」
賢治「先生が次の期末でどこら辺を試験に出すのか察知するKY(空気を読む)持つ生徒さんさ」
時雨「あ、それは実践的でいいかもしれないね」
賢治「作者の通っていた高校には地震を察知する英語教師がいたよ」
時雨「もはや生物レベルだよ………」
賢治「そして、時雨君には既に特殊能力があったのさっ」
時雨「え、嘘っ」
蕾「おにーちゃーんっ、ここの問題がわからないんだけどっ」
千夏「時雨、この前のテスト百点だったって言っていたわね、義姉ちゃん立派な弟もって鼻が高いぞ」
亜美「時雨くーんっ、今度一緒に遊園地行こうよっ」
賢治「これぞラブコメ主人公が持つRK。女の子を引き寄せる超特殊能力っ…………でもまぁ、大多数の女の子より、一人の女の子に死ぬほど愛されたほうがいいって思うけどね」
PLLLLL・・・・・
賢治「ん」
女『貴方に告白したのにこんなに手酷くするなんてひどいっ、だけどね、この世で貴方の事、一番愛してる。あたし、死んでも貴方の事忘れないからっ………ぶつっ』
賢治「………いや、間違い電話ですから。そろそろまとめないとグダグダが過ぎてるし………」
時雨「み、みんなを呼んでどうするのさっ。ちゃんとまとめてよっ」
賢治「大丈夫、最終手段があるから」
時雨「え、どんなの」
賢治「オーチ(お家)に帰ろう」
みんな「………」
特殊能力、欲しいですよねぇ。しかしまぁ、あなたが知らないだけですでに特殊能力の一つや二つ、持っているかもしれませんよ。他の人からみたら特殊なこと……十分、考えられますからね。