魔鉱石サンプル採掘
三匹か…囲まれた! まずいな!
目の前のロックイーターたちが、低い唸り声を上げる。
「グルルル……」
一匹が突進してくる! ショートソードで受け止めようとするが――ガギンッ!
剣が弾かれた。くそっ、硬すぎる! これではダメだ。
別のやつが横から噛みついてくる!
「危ねぇ!」
咄嗟に飛び退く。さっきまで俺がいた場所の岩が砕け散った。危なかった…!
動き自体は…コピー! よし、読める。だが、どうやってダメージを与える?
石ころを複数ペーストしてみるが、硬い甲羅に弾かれるか、頭を引っ込めて防御される。これも効果なしか。
どうする? 剣も石もダメなら……
待てよ、さっき放り投げたピッケル。あれなら、あの硬い甲羅を砕けるんじゃないか? やってみる価値はある!
意識を集中する。
コピー!
《[ピッケル]をコピーしました》
よし! ペースト、3つ! 行けぇ!
MPを消費し、ロックイーターたちの頭上にピッケルが3本出現し、落下する!
ガンッ! ゴンッ!
鈍い音が響き、数匹の甲羅にヒビが入った!
「ギャッ!?」
ロックイーターたちが怯む。
よし、効いた! これだ!
手元にも生成しておいたピッケルを掴み、甲羅にヒビが入ったやつに叩きつける!
「くらえっ!」
ガッ! バキッ!
よし、甲羅が砕けた! とどめだ!
ショートソードを突き立て、一匹目を仕留める!
あと二匹!
ピッケル生成とショートソードのコンボで攻める! さらに…
足止め! 地形コピー、ペースト!
敵の足元に岩の突起を生成し、動きを阻害する!
よし、あと一匹…! でもMPがかなり減ってきた…! 速攻で決める!
最後の力を振り絞り、残った一匹の砕けた甲羅に剣をねじ込む!
「……ッ!」
ロックイーターが動きを止める。
「はぁ…はぁ…っ……き、つかった……やった…」
その場にへたり込み、荒い息を繰り返す。
少し休んでから、ロックイーターの死骸を確認する。
この甲羅、やっぱり硬いな…何かに使えるか? この顎も鋭いし…一応、持っていくか。
使えそうな甲羅の破片と顎をいくつか回収し、リュックに詰める。
さて、と…邪魔者はいなくなったし、本命の魔鉱石を…
壁に向き合い、ピッケルで慎重に掘り進める。
あった! キラキラしてる…綺麗だな…
手のひらサイズの、青白い光を放つ鉱石をいくつか掘り出す。
よし、これだけあれば依頼のサンプルとしては十分だろう。
ここで、試してみたかったことを実行する。
この鉱石も、コピーできるか? スキルレベルが低いから無理か? いや、試してみよう。コピー!
《[魔鉱石(低品質)]をコピーしました》
低品質、か。なるほど、オリジナルそのままとはいかないらしい。スキルレベルや、対象物の複雑さが関係しているのかもしれない。
次に、ペーストを試みる。
ペースト! 消費MPがかなりデカいな…。
目の前に、元の鉱石より一回り小さく、輝きも弱い鉱石が出現した。
やはり質は落ちるか。これじゃあ、あんまり意味がないかもしれない。
いや、待てよ? 低品質でも、数が集まれば何かに使えるかもしれない。それに、スキルレベルが上がれば、もっと高品質なものもコピーできる可能性は…? これは今後の課題だな。
ふと、坑道の奥から、さらに冷たく、淀んだ空気が流れてくるのを感じた。
さて、依頼の鉱石は手に入れた。残りは地図作成だが…。
MPゲージを確認する。残りわずかだ。松明の火も心もとない。
それに、奥からなんか嫌な感じがする。深入りは危険だ。
「よし、無理は禁物だ。Eランク初仕事としては上出来だろう。今回はここまでにして、帰ろう」
俺は採取した魔鉱石サンプルとロックイーターの素材を慎重にリュックにしまい込んだ。
落とさないように、と。さあ、帰るぞ。
残り少ない松明の炎を頼りに、今来た道を引き返し始めた。
早く地上に戻りたい…。




