表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスから追放された最弱の俺。最強スキル【コピペ】で成り上がる。  作者: あーる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/21

魔法の脅威

 今日の依頼は、この街道で商隊を襲うという小鬼、インプの討伐だ。


(インプ……素早くて、簡単な魔法を使う、か)


 歩きながら、エマさんから聞いた情報を反芻し、対策を練る。


 素早い動きは、俺の【コピーアンドペースト】スキルで相手の動きをコピーすれば、ある程度は対応できるはずだ。


 複数同時ペーストによる牽制も有効だろう。問題は「魔法」だ。火の玉のようなもの、と言っていたが、威力はどれくらいなのか。スキルで生成した壁で防げるだろうか? 回避に専念すべきか?


(いっそ、あの魔法自体をコピーできれば最高なんだが……いや、さすがにそれは期待しすぎか)


 そんなことを考えているうちに、依頼エリアとされる地域に到着した。


 ここからは、さらに慎重に行動しなければならない。街道から少し脇道に入り、インプの痕跡を探す。地面には、ゴブリンとは違う、奇妙な三本指の小さな足跡が点々と残っていた。木の幹には鋭い爪痕のようなものや、何かが燃えたような小さな焦げ跡も見つかる。間違いなく、この辺りに潜んでいる。


 俺は息を潜め、周囲の気配を探る。風の音、木の葉の擦れる音に混じって、何か小さな、甲高い声が聞こえるような……? ふと、視界の端で木の枝が不自然に揺れた気がした。


 視線を上げる。そこには――いた!

 鬱蒼と茂る木の枝の上に、緑色の肌をした小さな人影が三つ、こちらを窺っていた。インプだ! ゴブリンよりも一回り小さいが、その目はらんらんと知性(あるいは狡猾さ)を感じさせる光を宿している。


 見つかった! インプたちも俺に気づき、警戒とも威嚇ともつかない、キーキーという甲高い奇声を発した。そして次の瞬間、驚くほど身軽な動きで木から飛び降りてきた!


「来るか!」


 俺は即座にショートソードを抜き放つ。3匹のインプは、着地と同時に素早く散開し、あっという間に俺を包囲する陣形を取った。ゴブリンとは明らかに違う、統率された動きだ。


 間髪入れず、一番近くにいた一匹が、目にも留まらぬ速さで懐に飛び込んできた! 鋭く尖った爪が、俺の喉元を狙って閃く!


「速い!」


 俺はショートソードで辛うじてその一撃を受け止める。だが、その速度と軽妙な動きに、ゴブリンとは質の違う脅威を感じた。


 そして、それとほぼ同時に、別のインプが短い、呪文のような言葉を呟いた。その手のひらに、ボッと小さな炎が灯る。


(魔法か!)


 インプは手のひらの火の玉を、野球のボールのように俺に向かって投げつけてきた!


「うおっ!」


 俺は咄嗟に横へ跳んで回避する。火の玉は、先ほどまで俺が立っていた地面に当たり、パチンと小さな音を立てて爆ぜ、草を焦がした。威力自体は、それほど大きくないのかもしれない。だが、戦闘中にこんなものを的確に当てられたら、かなり厄介だ。


(あの魔法……コピーできないか?)


 好奇心と、わずかな期待を込めて、魔法を放ったインプに意識を集中し、「コピー」を試みる!


 結果は……やはり、というべきか、失敗。《魔法や複雑なエネルギー体のコピーは現時点では不可能です》という、冷たいシステムメッセージ。ですよね。


 ならば、まずは動きを封じる! 俺は回避に専念しつつ、インプたちの素早い動きを観察し、そのパターンを「コピー」する。


《[インプの高速移動パターン]をコピーしました》


 よし、これで少しは動きに対応しやすくなるはずだ。続けて、牽制のためにスキルを発動!


(ペースト、3個!)


 MPを消費し、クリップボードにストックしてあった石ころを3個同時に生成し、インプたちに向けて放つ!


「キィ!?」

「チッ!」


 素早いインプたちは、いくつかは身軽にかわすが、避けきれないものもある。石つぶてが体に当たり、インプたちの動きが一瞬鈍った。


(今だ!)


 俺はその隙を突き、一番近くにいたインプにショートソードで鋭く斬りかかる! 手応えあり! だが、インプは致命傷を避け、素早く距離を取った。


 しかし、他の二匹がすぐにカバーに入ってくる。一匹は爪で、もう一匹は再び火の玉を生成して攻撃してくる! 俺は回避と、時折スキルで生成した瓦礫の壁で火の玉を防ぐので手一杯になり、なかなか決定的な一撃を打ち込めない。MPゲージだけが着実に減っていく。


(まずいぞ、このままじゃMPが先に尽きる……!)


 焦りが生まれる。このままではジリ貧だ。何か、状況を打開する手はないか?


 俺は一計を案じた。わざとらしく、大きく体勢を崩すような動きを見せ、インプの一匹に火の玉を撃つように誘う。狙い通り、一匹が短い詠唱の後、火の玉を放ってきた!


 俺はその軌道を予測し、回避すると同時に、火の玉が飛んでいく先に別のインプがいるように、巧みに位置取りを変えた!


「キシャー!?」


 火の玉は見事に狙いを外れ、あろうことか味方であるはずの別のインプに向かって飛んでいく! そのインプは慌てて身を翻して火の玉を避けるが、そのせいで一瞬、インプたちの連携が乱れた。


(もらった!)


 俺はその千載一遇のチャンスを見逃さなかった。一番近くにいたインプ――さっき斬りつけて手傷を負わせていた個体――に、全速力で駆け寄り、ショートソードを全力で叩き込んだ!


「ギャアアッ!」


 断末魔の悲鳴を上げ、そのインプは動かなくなった。


 よし、これで2対1! 数的有利(実質的に)を作り出した! 俺は残る二匹に向き直る。仲間がやられたことで、インプたちの動きにわずかな動揺が見えた。


 俺は残り少ないMPを振り絞り、最後の「石ころ複数ペースト(2個)」で牽制しつつ、ショートソードで猛攻を仕掛ける! 素早いインプたちも、連携が崩れ、数が減ったことで、次第に俺の剣を防ぎきれなくなっていく。


 そして、数合の打ち合いの後、ついに二匹目、三匹目のインプを仕留めることができた。


「はぁ……はぁ……っ……!」


 三匹のインプの死骸が転がる中で、俺は膝に手をつき、荒い息を繰り返した。全身は汗でびっしょりで、服のあちこちには火の玉による小さな焦げ跡が残っている。ゴブリン戦とはまた違う、神経をすり減らすような疲労感があった。


 インプの死骸を調べる。ゴブリンとは違い、額に小さな黒い角のようなものが一本生えている。これが討伐の証拠になるのだろう。俺は短剣を取り出し、3匹分の角を丁寧に切り取って布袋に収めた。


 それにしても、魔法か……。スキルとは違う、この世界の力。インプのような小さな魔物でも使えるということは、それほど珍しいものではないのかもしれない。だが、その原理も、種類も、俺にはまだ全く分からない。これから先、もっと強力な魔法を使う敵と遭遇する可能性も十分にあるだろう。


 そして、やはりMPだ。今日の戦闘でも、MPはほぼ完全に空になってしまった。複数同時ペーストは強力だが、燃費が悪すぎる。MP回復手段の確保は、本当に急務だと改めて痛感した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ