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クラスから追放された最弱の俺。最強スキル【コピペ】で成り上がる。  作者: あーる


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スキル屋の噂

 ゴブリン斥候を二匹仕留めた帰り道、MPがほぼ空であるにも関わらず、妙に軽かった。


 西街道に吹く風が心地よい。腰に差したショートソードの確かな重みと、戦闘での確かな手応え。


 街に戻り、真っ直ぐに冒険者ギルドへ向かう。扉を開けると、いつものように活気のある喧騒と、受付カウンターで笑顔を向けるエマさんの姿があった。


「エマさん、ただいま戻りました。依頼のゴブリン斥候、二匹討伐完了です」


 俺はカウンターに寄りかかりながら、証拠として切り取ってきたゴブリンの耳を二つ、布袋から取り出して提出した。


 エマさんは手慣れた様子で耳を確認すると、すぐに台帳に何かを書き込み、にっこりと微笑んだ。


「はい、確認しました! さすがソウマさん、もうゴブリン斥候くらいは問題ないみたいですね! 無事に帰ってきてくれて何よりです。こちら、報酬の銅貨8枚になります」


 差し出された銅貨を受け取る。これで所持金は合計で銅貨20枚近くになった。少しずつだが、確実に資産が増えている。


 報酬を受け取った俺に、エマさんはギルドカードの記録が書かれた羊皮紙に目を落としながら、ふと思い出したように言った。


「そういえばソウマさん、登録してからまだ本当に数日ですけど、ポポ草採取に始まって、下水道のネズミ駆除、そして今回のゴブリン討伐と、着実に依頼をこなして実績を積んでいますね」


 彼女は顔を上げ、期待のこもった目で俺を見た。


「この調子なら、もうすぐFランクからEランクへの昇格試験を受けられる資格が得られるかもしれませんよ」


「昇格試験、ですか?」


 初めて聞く言葉に、俺は思わず聞き返した。


「はい!」


 エマさんは嬉しそうに頷く。


「冒険者ランクを上げるための試験です。もちろん、誰でも受けられるわけではなくて、ギルドが定めた一定数の依頼達成や、推薦が必要になる場合もありますけど。内容はランクによって様々ですが、FランクからEランクへの昇格なら、そうですね……指定された少し強めのモンスター、例えばホブゴブリンとか、大型のスパイダーとかの討伐、あるいは街の近くにある簡単なダンジョンの指定区域までの探索とマッピング、とかが多いですね」


 ランクアップ……! それはつまり、より難易度が高く、報酬の良い依頼を受けられるようになるということだ。今の俺にとって、それは非常に魅力的な響きを持っていた。


「合格すれば、受けられる依頼の幅もぐっと広がりますし、ギルドからの信用も上がります。ソウマさんなら、きっとすぐに挑戦できると思いますよ!」


 エマさんの言葉に、俺の胸は少し高鳴った。


 ランクアップという新たな目標に心を躍らせながら、俺はふと、ギルド内の他の冒険者たちの様子に目を向けた。何か、他にも情報を得られないだろうか。


 掲示板を眺めたり、談笑しているグループの会話にそれとなく耳を傾けてみる。


 すると、カウンターから少し離れたテーブルで、鎧姿の屈強な冒倉者が二人、声を潜めて話しているのが聞こえてきた。


「おい、聞いたか? 例の『スキル屋』で、新しい剣技スキル、仕入れてきたぜ」

「おお、マジか! どうだった?」

「いやあ、まだ全然使いこなせねえが、なかなか面白い動きをしやがる。金はかなり吹っ飛んだがな!」

「へえ、俺も今度覗いてみるかな……」


(スキル屋……?)


 俺はその単語に、ピクリと反応した。


 スキルを売買したり、教えてくれたりする場所が存在するのか? 俺の【コピーアンドペースト】のような特殊で、誰も知らないようなスキルについて、何か情報が得られるかもしれない。


 あるいは、スキルの新しい使い方や、もしかしたら強化する方法なんてものも……?


 未知の可能性に、俺の好奇心は強く刺激された。しかし、同時に「金はかなり吹っ飛んだ」という言葉が耳に残る。


 今の俺の財力で、果たして利用できるような場所なのだろうか。


 ギルドを出て、街の通りを歩きながら、俺は今後の行動について考えを巡らせた。

 ランクアップは、実力を証明し、より良い報酬を得るための確実なステップだ。昇格試験の内容をエマさんにもっと詳しく聞いて、挑戦する価値は十分にあるだろう。


 一方で、「スキル屋」の存在も非常に気になる。自分のスキルの謎を解き明かすヒントがそこにあるかもしれない。場所を突き止め、まずは情報だけでも集めてみるべきか。


 それから、クリップボードにコピーしたゴブリンの弓と槍のデータ。

 これを【コピペ】で実体化させれば、もしかしたら売れるかもしれない。


 そして、最大の課題であるMP管理。複数同時ペーストは強力だが、燃費が悪すぎる。


 戦闘中にMPが尽きれば命取りになりかねない。回復ポーションのようなものが必須になるだろう。


 薬屋を覗いて、値段を調べてみる必要がありそうだ。もし高価なら、ポポ草のように、自分で材料を集めて作るといった方法も考えなければならないかもしれない。


 様々な考えが頭の中を駆け巡る。やるべきこと、試したいことが多すぎる。


 俺は安宿に戻り、今日の稼ぎである銅貨8枚を、なけなしの財産が入った革袋に加えた。銅貨が擦れ合う音が、少しだけ心強い。


 ベッドに腰を下ろし、改めて所持金を確認する。武器は新調できたが、防具はまだ心許ないままだし、ポーションやスキル屋のことを考えると、まったく足りない。


 クリップボードを開き、中身を整理する。[石ころ]、[ネズミの牙データ]、[粗末な木の弓]、[ゴブリンの槍]。容量にはまだ空きがある。


 昨日ペーストしてベッドの下に押し込んだネズミの毛皮は……やはり使い道が思いつかない。あれのデータはもう不要だろうか?


 いや、待てよ。もしかしたら、スキル屋で何か加工する方法が聞けるかもしれない。データだけなら場所も取らない。もう少しだけ残しておくか。

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