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クラスから追放された最弱の俺。最強スキル【コピペ】で成り上がる。  作者: あーる


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新たなる戦術

 街の西門を抜け、俺は西街道を歩いていた。今日の依頼は、この街道付近に出没するというゴブリン斥候の討伐だ。


 昨日までの不安は薄れ、むしろ軽い高揚感すらあった。もちろん、油断は禁物だ。斥候ということは、ただのゴブリンより狡猾かもしれない。


 街道は比較的よく整備されているが、人通りはまばらだった。


 目的地に近づくにつれ、俺は街道から少し外れ、周囲への警戒レベルを上げた。


 地面にゴブリンのものらしき足跡が残されていないか、茂みが不自然に揺れていないか、注意深く観察しながら進む。食べかすのようなものや、焚き火をしたような跡も見つかった。どうやら、この辺りを縄張りにしているのは間違いなさそうだ。


(索敵にもスキルが使えれば楽なんだが……例えば、空を飛んでるあの鳥の視界を一時的に借りるとか……)


 試しに、上空を旋回している鳥に意識を集中し、「コピー」と念じてみる。


 結果は……やはり失敗。《生物の感覚の直接コピーは困難です》という、もはやお馴染みのメッセージ。まあ、そう簡単にいくはずはないか。地道に自分の五感で探すしかない。


 茂みの多い場所を、音を立てないように慎重に進んでいた、


 その時だった。前方の大きな岩陰から、二つの緑色の頭がぬっと現れた。


(いた!)


 ゴブリンだ! しかも、ただのゴブリンではない。片方は粗末ながらも木の弓を構え、もう片方は先端を尖らせた木の槍を手にしている。斥候というだけあって、森で遭遇した棍棒持ちのゴブリンよりは装備が整っているし、目つきも鋭い気がする。


 ゴブリンたちも、ほぼ同時に俺の存在に気づいたようだ。警戒を示す低い唸り声を上げ、武器を構える。


「……先手必勝!」


 発見された以上、迷っている暇はない! 俺はショートソードを一気に抜き放ち、地面を蹴ってゴブリンたちに向かって駆け出した!


 弓持ちのゴブリンが慌てた様子で矢をつがえようとする。その前に、槍持ちのゴブリンが「ギャア!」と奇声を発し、俺を迎え撃つべく前に飛び出してきた!


 槍が鋭く突き出される!


 俺はそれを、新しいショートソードで側面から叩きつけるように弾き返した! ガキン! と硬い音が響く。以前の錆びた短剣なら、こうはいかなかっただろう。


 ショートソードの確かな重みと長さが、相手の攻撃をしっかりと受け止め、弾き返すことを可能にしている。リーチが伸びた分、反撃もしやすい!


 しかし、その隙に弓持ちのゴブリンが矢を放ってきた! ヒュン、と風を切る音。俺は咄嗟に横っ飛びでそれを回避する。危なかった!


 だが、回避した先には、体勢を立て直した槍ゴブリンが待ち構えていた!


(くそっ、二方向からの攻撃はやっぱり厄介だ!)


 俺は一旦距離を取り、同時にスキルを発動させる。クリップボードに常備しておいた「石ころ」データを選択!


(ペースト、5個!)


 MPゲージがごっそりと削られるのを感じる! だが、その効果は絶大だ! 俺の手元から放たれた5個の石ころが、散弾のように弓ゴブリンめがけて飛んでいく!


「ギャッ!?」


 避けきれなかった数個の石が、弓ゴブリンの顔や体に命中。その衝撃でゴブリンは怯み、持っていた弓を取り落とした。


 よし、これで遠距離攻撃は封じた!


 俺はすぐさま、槍ゴブリンとの一対一に集中する。相手の繰り出す槍の突きを、ショートソードで捌き、いなし、弾く。以前より格段に立ち回りやすくなっているのを実感する。そして、相手の体勢が崩れた一瞬の隙を見逃さず、懐に鋭く踏み込み、ショートソードを横薙ぎに閃かせた!


 ザクッ!


 鈍い手応えと共に、槍ゴブリンの胸部に深い傷を刻む! ゴブリンは苦悶の声を上げ、よろめきながら後退した。


 だが、まだ倒れない。槍を杖代わりにして、必死にこちらを睨みつけてくる。しぶとい奴だ。


 そして、その間に体勢を立て直したもう一匹のゴブリンが、弓を捨てて腰の汚い短剣を抜き、加勢しようと近づいてきていた。やはり、1対2の状況は簡単に覆せない。


 俺はMP残量を確認する。残り3割程度。複数同時ペーストは、あと一回使えるかどうか……。


(短期決戦だ!)


 俺は覚悟を決め、まず手負いの槍ゴブリンに狙いを定める。一瞬の隙をついて相手の足元を蹴り払い、体勢を大きく崩す。そこに、追撃のショートソードを叩き込んだ! 今度こそ、槍ゴブリンは断末魔の悲鳴を上げて地面に倒れ伏した。


 残るは一体! 短剣を構えたゴブリンが、警戒しながらもじりじりと距離を詰めてくる。


(これで終わりだ!)


 俺は最後のMPを振り絞り、再びスキルを発動!


(ペースト、3個!)


 MPがほぼ空になるのを感じながら、3個の石ころを生成し、ゴブリンに投げつける!


 突然の石つぶてにゴブリンが一瞬怯んだ。その隙を見逃さず、俺はショートソードを構えて一気に間合いを詰め、渾身の一撃を叩き込んだ!


 ゴブリンは短い悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちた。


「……はぁ……はぁ……っ」


 二匹のゴブリンの死骸を前に、俺は肩で大きく息をついた。


 MPはほぼ空っぽだ。だが、体力の消耗は、以前のゴブリン戦や下水道での戦いよりも明らかに少ない。新しいショートソードの性能と、複数同時ペーストによる攻撃手段の増加。その効果は絶大だった。


 自分の成長を、はっきりと実感できた。


 俺は討伐の証拠として、ゴブリンたちの耳を丁寧に切り取り、布袋にしまった。ふと、ゴブリンが落とした粗末な木の弓と槍が目に入る。


(これも、コピーしておくか)


 構造を理解すれば、いつか自分で作る際の参考に、あるいはスキルで複製する際の精度向上に繋がるかもしれない。俺は弓と槍、それぞれの構造を意識しながら「コピー」を実行した。


《[粗末な木の弓]をコピーしました》

《[ゴブリンの槍]をコピーしました》


 クリップボードの容量を消費するが、損はないだろう。

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