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幸せな未来へ

ここまで読んでいただきありがとうございました。最終回です。

 婚約発表会をやり切った二人は暫く屋敷でゆっくりすることにした。アメリーの両親も公爵家で娘が幸せそうにしているのを見て安心して帰っていった。

義両親にも気に入られたようだ。


ますますギルバートはアメリーを甘やかすことに全力をかたむけた。結婚してからの新居は公爵家の敷地に新しい物が建てられていた。いずれ義両親が領地に帰って爵位をギルバートに譲る日が来れば、ギルバート達が本邸に移り新館は義両親が王都に来た時のための屋敷にするつもりだ。

しかし義両親は若いのでまだまだ先の話だろう。



二人で手を繋ぎながら庭園を散歩しながら色々なことを話した。

「今日のドレスも可愛いね。午後からはマッサージをして貰うの?」

「はい、結婚式までは二日に一度はするように侍女たちから言われていますの」

「僕との時間が減ってしまうけど綺麗になるなら我慢しなくてはね」

「こんな日が来るなんて思ってもみませんでした。とても幸せで夢のようです」

「僕も幸せだよ。最初から可愛かったけどますます綺麗になったから誰かに取られないか心配だよ。

新居の夫婦の寝室の壁の色は淡いクリーム色はどうかな?アメリーの部屋は可愛くしていいよ」

「ギルバート様以外誰も取りません。私はギルバート様さえ一緒にいてくださればそれで良いのです。

私の部屋の壁紙は淡い小さな花柄でお願いしようかと思っています。お花の中にいるような感じがすると思うので」

「本も沢山入れるようにしよう」


熱のこもった眼差しで言われるとアメリーは身体が熱くなるような気がした。額へのキスは序の口、頬や指先首筋にとキスはとどまるところを知らない。

婚約中でさえこれなのだ、結婚したときの暴走を思うと恥ずかしくなってしまう。まだ唇へのキスはして貰っていなかった。


ギルバートによると歯止めが効かなくなるらしい。乙女のアメリーは本で読んで知ってはいるが実際がどうなのかわからないので、その辺はギルバートにお任せしようと思っていた。胸は甘酸っぱくなるばかりだった。


「そこの東屋で休もうか」

東屋にはちゃんとお茶の準備ができていた。紅茶は最高級な茶葉が使ってあり濃く淹れてあるが苦みがない。

相変わらずアメリーはギルバートの膝の上だ。

餌付けも慣れてきて何の違和感もなくなってきた。小さく作られたマカロンやチョコレートが美味しそうに盛り付けられている。それに加え今日は葡萄が出されていた。ギルバートが食べさせてくれるので手も汚れない。


「ギルバート様このままでは人として駄目になりそうです。仕事を与えてください」

「アメリーは綺麗にして僕の傍で笑って色々話をして欲しい。外国語で話をしてみてもいいけど、堪能すぎて居なくなる気がするんだ」

「いなくなりません、ギルバート様から離れたらもう生きていける気がしないのですもの」

「それなら良いんだ。愛してるよ」

「私も愛しています」


強く抱きしめられ唇が塞がれた。最初はついばむようなキスをされ、柔らかいと思った唇だったのに、だんだん深い大人のキスに変わっていった。

気持ちがトロンとしてきてギルバートに更に抱きつくように縋った。彼の腕の中で安心感だけが支配していった。止まらなくなると言ったギルバートの言葉はこの事かと薄れゆく意識の中で思っていた。



気がつくといつものベッドの上だった。目が覚めたアメリーはベルを鳴らしてメグを呼んだ。


「お目覚めですか、ドレスと髪を直したらご主人様をお呼びします」

「東屋で気を失った気がするの」

赤くなったアメリーはメグに言った。

「ご主人様が手加減されないから」

と言うメグの文句を聞きながら、これでも手加減してくださっているのだと思い知ったアメリーだった。


メグからアメリーが気が付いた事を聞いたギルバートが急いでやって来た。


「大丈夫かい?あれくらいで気を失うなんて思っていなかった。すまなかった。結婚式までに耐性を付けておかなくてはね。これから毎日練習しようね」

「えっ、お手柔らかにお願いします」

「アメリーの純情を甘く見ていた僕がいけないのだから気にしないで」


出来る侍女のメグはいつの間にか姿を消していた。


「可愛くしてもらったんだね。僕を見て」

慣れるため、慣れるためと呪文をつぶやきながら懸命に口付けに応えようとするアメリーの姿はギルバートの情欲に火を付けた。

それを鋼の意志で抑え込んだギルバートはぎりぎりのところで我慢をした自分を褒めた。


ようやく結婚式を迎えることが出来た美しい花嫁と花婿は初夜を迎えていた。

薔薇の香りのするお風呂に入れられ全身を洗われたアメリーはオイルで肌を整えられ、タオルで丁寧に拭かれた上に、薄い初夜用の戦闘服を着せられた。侍女たち全員で選んでくれたらしい。

髪ももちろん艶があり手ざわりもしっとりしていた。


この日のために頑張った侍女たちは自分たちの仕事に一層誇りを持った。

「お美しいです、奥様。旦那様がメロメロですよ」

「ありがとう、皆のおかげよ」

にっこり笑いアメリーはお礼を言葉にした。



薄暗い照明の部屋にはレモン水とアルコールの低い度数のワインがつまみとともに用意されていた。ベッドの上には薔薇の花びらが散らしてあり香りも薔薇に統一されていた。

「着てないような薄さだわ、透けて見える」

ガウンを羽織ろうかと迷っているうちにギルバートがドアをノックして入って来た。

「アメリー、なんて扇情的なんだろう。今日まで我慢して良かった。綺麗だよ」

「ギルバート様がいつも綺麗と言ってくださるからそうなのかなって」

アメリーの言葉はギルバートの唇で塞がれた。


ガウンを脱いだギルバートは細マッチョで肌がすべすべしており、シミ一つ無かった。腕に抱かれるだけで包みこまれるような安心感がある。流石超絶美形と言われるだけの容姿の持ち主だった。夢の中にいるような危うい感覚が癖になりそうだ。


甘い甘い夜はこうして更けていった。


翌朝ギルバートの美し過ぎる寝顔を見つめながらそっと唇に触れてみた。この口から出た愛の言葉を反芻していると自然と顔が赤くなってしまった。


この人の沼から出られる気がしないと思うアメリーだ。


「もっと愛して欲しそうだね。どこも痛くない?」

返事をする前にレモン水を口移しにされた。

「昨夜は沢山啼いたから喉が乾いただろう、飲ませてあげよう。後で食事も持ってくるように言ってある」


真っ赤な顔でシーツを被ってしまったアメリーが可愛すぎて身が持つのだろうかと考えるギルバートだった。


新婚夫婦が三日間部屋から出て来ず屋敷の雰囲気が生暖かいものになったのは言うまでもない。


誤字報告ありがとうございました。感謝しています。

真面目が取り柄の頭の良い普通の女の子と学院のハイスペック貴公子は色々乗り越え幸せになりました。

めでたしめでたしです。また読んでくださると嬉しいです。

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