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婚約発表

読んでいただきありがとうございます。ようやく婚約式になりました。

 想いを通じ合わせた二人の関係は甘いものになった。ギルバートは誰が側にいようと甘い言葉を囁くようになっていた。

「アメリーは髪が黒くて色が白いからどんな色のドレスも似合うと思うんだよ。ドレスメーカーを呼んで作らせよう。僕の瞳の青色のドレスもいいな。卒業式は出たい?学院にはあまりいい思い出がないよね?」


確かにギルバートと(仮の)婚約するまでは目立たない存在だった。アナトリアと普通の学生生活を送っていた。(仮の)婚約者になってからは嫌なことが多かったが、こうして両想いになったのだ。

ギルバートは友達が多かった。

卒業式くらいは会いたいのではないだろうか。



「ギルバート様はお友達も多かったですし私もアナトリアという友達がおります。最後ですから出席した方がいいのではないでしょうか」

「信頼できる友人なんていないよ。僕の立場に寄ってくる奴ばかりだった」

「そうだったのですか」

アメリーはギルバートの闇を初めて見た気がした。



「でもアメリーが行きたいと言うなら出席しても良い。友達に会いたいんだろう?」

「アナトリアとは個人的にでも会えますし、暫く学院に顔を出していないので雰囲気もわかりませんので、実は少しためらいがあったんです」

「じゃあ婚約の披露宴を親しいものだけを呼んで開くことにしようか。まだ病み上がりだし無理は良くないから」

「ありがとうございます」

アメリーの髪をひと掬いしながらキスをするギルバートには何とも言えない色気があった。



親しいものだけを呼んだ内輪の婚約披露宴のつもりだったが結局公爵家の繋がりが多く思ったよりも大きな規模のものになった。

采配は公爵夫人が取り仕切った。良く見ておくように言われたのでアメリーはメモを取りながら頭に入れることにした。



軽食の置き場所やグラスの数、ゲストによっての飲み物の選択の仕方、花の飾り方等テキパキと使用人に指示する姿は、尊敬に値する物だった。母の伯爵夫人もこういう場所で采配をしていた。しかし規模の大きさと招待客が高位貴族ばかりというプレッシャーが違った。侍女たちに的確に指示をする姿にアメリーは惚れ惚れした。


アメリーには招待客の名前を全て覚えるという仕事もあった。主役が覚えていなくては話にならない。招待者への宛名書きはギルバートと半分ずつになった。

本当は次期公爵夫人がするべきなのだそうだが、ギルバートが半分は自分の仕事だと言って取ってしまった。


ドレスはギルバートが手配してくれた。彼の方で考えてくれると言うので安心していられた。


目の回るような忙しさだった。結婚式にはどうなるのだろうと心配になったが頼りになる婚約者が隣にいるのだ。考えるのは止める事にした。


午後のお茶は二人で飲める。ようやくほっとできる時間になった。庭園の東屋にお茶の準備ができていた。風が気持ちが良くどこからか仄かに花の香が漂ってきた。

ギルバートはアメリーを膝の上に乗せ肩に顔を乗せてすりすりとし、匂いを吸い込んでいた。


「恥ずかしいです、それに重くないですか?」

「重くなんてないよ。それよりアメリーに却って忙しい思いをさせてしまったなと思って反省してるんだ。もっと小さな規模を予定していたんだけど」

「それはありがとうございます。でも膝の上に乗っているのはどうしてでしょう?」

「これは僕の癒しタイム。もっと一緒にいてベタベタするつもりだったんだ。アメリーが足りない。ほらクッキーも食べさせてあげるから口を開けて」

「えっ自分で食べられます」

「アメリーにも癒しをあげないとね、恥ずかしがるアメリーも可愛いね。ほら口を開けないと指が疲れてきてしまう」



仕方なくアメリーは口を開けクッキーを食べることにした。流石公爵家のシェフの作るクッキーは美味しい。


「食べているアメリーも可愛いね」

蕩けるような瞳のギルバートが耳の側で囁いた。いい声だ。声で色気を出せるなんて凄い。くらくらして来た。

「もっとアメリーを僕なしでは生きていけないようにするつもりだから覚悟してね」


今でも充分虜になっているのでギルバートがいないと生きていけないと思っているアメリーだが、恥ずかしくて口には出せなかった。




婚約式当日になった。アメリーは朝から侍女たちに磨かれていた。美容担当は数人いるらしく若い侍女が担当になった。このままメグと共に専属侍女になるようだ。もうすっかり慣れたのでアメリーは身を任せるだけだ。ドレスを着る前に軽食を食べ飲み物を摂っておいた。挨拶で忙しく食べる時間がないだろうというギルバートの配慮だ。



ドレスはとても軽かった。最高級の生地を使っているのだろう。いつも着ている物より身体に負担がない。青色で裾に向かって色が濃くなっていた。金色で薔薇の刺繍が施してある。

コルセットもいらないデザインになっていた。靴もそれほど高いヒールではない。全てギルバートの愛情だと思うと胸の奥が温かくなった。


アメリーを迎えに来たギルバートは黒の正装だ。金の蔦の刺繍がしてある。超絶美形が神様になった気がした。

隣に立つのが私でごめんなさいと思いながら、侍女たちの努力を無駄にできないと心を強くした。



「とても綺麗だよ、女神のようだ。後ろを向いてごらん」

「ギルバート様は言葉にならないくらい素敵です」

アメリーが言われた通り後ろを向くとダイヤモンドのネックレスが着けられた。

「鏡を見てご覧」


そこには輝くような笑顔のアメリーが立っていた。

愛されているという自信からなのか以前からは考えられないほどのオーラが漂っていた。


お揃いのイヤリングも着けて貰いギルバートのエスコートで会場に入ると一斉に拍手が起きた。様々な視線に負けないように前を向いた。


誤字報告ありがとうございます。感謝しています。

少しだけ甘い雰囲気を入れることができました。

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