後日談
僕は水晶の前に立った。そこから世界を覗く。
・・・
私は寝ている時に咲夜から起こされた。
「お嬢様、起きてください。」
「うーん…なによ。咲夜。」
「雪さんが…亡くなりました」
「え?」
そんな素っ頓狂な声が出た。彼が死んだ?私の脳はその情報を処理することができなかった。
「咲夜。」
「はい。」
「今すぐ雪に会いに行くわ。」
「わかりました。」
そして私はすぐに着替えて車に乗り病院に向かう。病院に着き雪のもとに向かう。どこか夢の中にいるような感覚だった。でも雪の姿を見て確信した。これは夢ではない。
「あ、あああ…」
私は嗚咽しながらその場に座り込む。
「私があんなことを頼んだから…ごめんなさい。」
この時私は気づいた。私は自分が思っていた以上に雪のことを信頼し信用しそして愛していたのだと。でも気づくのが遅すぎた。もうその気持ちは伝えられない。
・・・
あれから10年の年月が過ぎた。私はお父様から会社を受け継ぎ社長になっていた。他の友達も自分で会社を立てたりしている。雪が解決してくれた事件の裏には海外のマフィアがいたらしくやっと最近その事件に決着がついた。
「雪、やっとあなたのしたことが報われたわ。」
私はそんなことをつぶやく。すると私の部屋を誰かがノックする。
「入っていいわよ。」
入ってきたのは咲夜だった。
「失礼します。車の用意が終わりました。」
「そう。わかったわ。それじゃあ行きましょうか。」
私は車に乗る。車には私と咲夜と晴斗。むかっているのは…
・・・
「お嬢様、着きました。」
「わかったわ。」
私は車を降り目的の場所に向かう。そこには墓が1つ立っていた。
「雪、来たわよ。あなたが死んで10年が経ったわ。私は社長になったわ。晴斗は変わらず車の運転を任せているわ。美鈴も変わらず門番よ。咲夜はメイド長にまで成長したわ。あなたより上の立場になったわよ。あなたは向こうで何をしているのかしら。もし私が向こうに行ったら言いたいことがあるわ。それまで待ってなさいよ。」
私は目から流れてくる涙を拭き車の方向に歩き出す。
「帰るわよ。長居はできないわ。それに雪だってこんなのは苦手でしょう?」
「そうですね。雪さんはいつまでも私の上司です。また来ます。」
「雪さん。向こうであったらたくさん話しましょう!それまでネタをたくさん作りますので!」
そして私たちは帰って行った。
・・・
「ははは、いいね。まさかあのお嬢様が雪に恋心を抱いていたなんて。でもそれは運が悪かったですね。柳雪は死ぬ運命にある。これが変わらない限り、どれだけ恋心を抱こうとそれは届きませんよ。」
そして僕は水晶から目を離し元居た場所に戻る。
「さて次の世界ではこの呪いとも呼べる運命を変えられるんでしょうか。」