創造主代理
俺が目を覚ますとそこには白い空間が広がっていた。そして後ろから足音がする。俺は即座に振り返る。そこには1人の男性が立っていた。
「よく来たね。雪君。」
「誰だ?」
「僕は創造主の代理人だよ。」
「創造主?」
「創造主は君の世界を造った人物さ。」
「そんなことがあり得るのか?」
「あり得るから今僕がここにいるんだよ。」
「そうか。まあ納得は行かないがいったんはおいておこう。で、その代理人が俺に何の用だ?」
「君は死んだ。これは理解できているかな?」
「ああ、あの出血だ。しかも急激に体を動かしすぎた。出血死だろ?」
「そうだね。」
「それがどうした。」
「創造主は君を生き返らせてもいいと思っているんだよ。」
「なんでなんだ?」
「君は自分の能力に気が付かずに死んだからね。創造主としてはもっと活躍してほしかったんだよ。でも君は死んだ。創造主はそれに納得してない。」
「だから生き返らせたい。そういうことか?」
「話が早くて助かるよ。で、どうだい?別に断ってもらっても大丈夫だよ。その場合は君の世界は閉じるってだけだから。」
「閉じる?」
「そうだよ。君のいた世界は君を中心に物語ができていたんだ。過去も未来も君を中心に出来ていた。そのように創造主が造ったからね。そしてその中心だった君が消えれば世界は閉じる。当然だと思わないかい?」
「閉じた場合、お嬢様や咲夜たちはどうなる?」
「そうだね。いなくなる。」
「俺が戻れば消えないのか?」
「それは君次第さ。君の行動で全てが決まる。ただ1つ言えることはいままで柳雪で生きて素敵な暮らしをしている世界はない。ある世界は教師を庇い、ある世界は仲間を庇い、ある世界は部下を庇い死んだ。君もきっとそんな感じに死ぬ。」
「…何故そいつらは生き返らなかった?」
「創造主が納得したからだよ。まあ納得してなかった時もあったけどね。」
「いま、そいつらはどこにいるんだ?」
「奥の扉の中で楽しく談笑中だよ。」
「創造主なら閉じた世界を再び動かすことは出来るのか?」
「その気になればできるよ。」
「じゃあ俺は創造主に会う。あって俺が居なくても世界が動くように直談判する。」
「生き返るって選択肢はないのかい?生き返れば君の大切なものは全て戻る。」
「人の命は軽くない。俺は生き返っても創造主の思い通りになる気はしない。それに見世物になるのは気に食わない。」
「そうか…やっぱり柳雪だね。そうだな。君を別世界で転生的なのはどうだい?」
「どういうことだ?」
「君の知り合いのレミリアさんも咲夜さんもいる。そんな世界に転生。そうすれば世界は動くよ。」
「だが、それは俺の知っているお嬢様たちじゃないんだろ?」
「まあ、そうだね。」
「じゃあダメだ。」
「そう。じゃあ無理だよ。」
「…なら諦める。お前をぶちのめしてからな!」
俺は目の前の代理人に殴りかかる。代理人は余裕の表情で躱す。
「はは、面白いね。創造主が造っただけはある。」
「お前も作られたんだろ!」
「はは、そうだよ。君のように戦うことはなかった。だから今、とても楽しいよ!」
代理人はどこからともなく拳銃を取り出し発砲してくる。俺は寸でのところで避けるが頬を弾が掠る。そこからは血が流れる。俺は再び距離を縮める。そして俺の射程範囲内に代理人が入った瞬間渾身の一撃を放つ。その攻撃は代理人に当たり、代理人は吹っ飛ぶ。
「ははは、これが痛みってやつなんだね。わざと食らったけど、とてもいい感覚だ。」
「やっぱわざとだったか。」
分かっていた。攻撃をする瞬間代理人は力を抜いていた。確実にわざとだと確信していた。
「じゃあ、もう終わらせようか。スペルカード【創造(仮)】《夢想封印》」
代理人がそう唱えると急に白い玉が俺に向かって襲いかかってくる。俺は避けようとするが量が多すぎた。玉が消えたときには俺はボロボロだった。
「さすが柳雪だ!あんなに食らって生きているなんて!普通なら四肢が千切れてもおかしくないんだよ?」
「怖いこと…をいう…な」
「はは、そうだね。それじゃあ君は生き返らないってことで奥の部屋にご案内!」
そして俺は代理人に担がれ無理やり部屋に入れられた。
「さてさて僕はあの世界の続きを少しだけ観察しようかな」